オカメインコホワイトフェイスとは?チークがない遺伝的背景を解説

オカメインコの象徴ともいえる頬のオレンジ色のチークパッチ。その常識を覆す、頬紅を持たないクールで洗練された品種が「ホワイトフェイス」です。白とグレーを基調としたモノトーンのシックな姿は、他の品種とは一線を画す独自の魅力を放ち、多くの愛鳥家を惹きつけています。ホワイトフェイスオカメインコのこの美しい外見は、偶然ではなく、明確な遺伝子の働きによって生み出される特徴なのです。
🔗 白いオカメインコの種類選びで迷っている方へ
ホワイトフェイス以外にも「白いオカメインコ」には複数の種類があります。白オカメインコの種類区別ガイドでは、アルビノ・ルチノー・ホワイトフェイスの違いと選び方を詳しく解説しています。
ホワイトフェイスのチークがないのは、両親から受け継ぐ劣性遺伝が原因です。色素を作る能力を遺伝的に持たず、見た目では分からない遺伝子を持つ個体もいます。
🧬 頬紅がない科学的な理由|色素遺伝と常染色体劣性遺伝の仕組み

ホワイトフェイスオカメインコにチークパッチがないのは、黄色やオレンジ色を発現させる色素(プシタシン色素)を作り出す能力を、遺伝的に持っていないためです。これは「常染色体劣性遺伝(両親から同じ遺伝子を1つずつ受け継ぐ仕組み)」という形式で、両親からホワイトフェイスの遺伝子を一つずつ受け継いだ場合にのみ、その特徴が姿を現します。つまり、ホワイトフェイスオカメインコは生まれながらにして、オレンジ色の色素を持たない特別な存在なのです。
【初心者向け解説】専門用語をわかりやすく
- 常染色体劣性遺伝って?
人間の血液型や髪質のように、両親から特定の遺伝子をセットで受け継いだ時だけ現れる特徴のことです。ホワイトフェイスの場合、両親がどちらも「白い顔になる遺伝子」を持っていないと、雛は白い顔になりません。とても珍しい組み合わせだからこそ、ホワイトフェイスは特別なのです。 - プシタシン色素って?
インコやオウムが持つ、赤・オレンジ・黄といった鮮やかな色を作り出すための「絵の具」のようなものです。ホワイトフェイスはこの絵の具を遺伝的に持っていないため、チークパッチのオレンジ色が出ず、クールな白い顔になります。
見た目はチークパッチのある普通のノーマルオカメインコでも、内にホワイトフェイスの遺伝子を隠し持っている個体(保因者、スプリット)が存在します。保因者同士を交配すると、ホワイトフェイスの雛が生まれる可能性があります。
たとえば、両親がどちらもノーマルの見た目でも、両方がホワイトフェイスの遺伝子を1つずつ持っている場合、その子供の4羽に1羽の割合でホワイトフェイスが誕生します。このように、遺伝子は見た目に現れなくても次世代に受け継がれていくのです。お迎えするだけであれば気にする必要はありませんが、こうした遺伝的背景を知ることで、より愛鳥への理解が深まります。
🎨 パステルフェイスとの違い
ちなみに、ホワイトフェイス(白い顔)に対して「パステルフェイス(PF)」という、チークパッチが黄色になる品種も存在します。WFとPFは全く異なる遺伝形式を持つ別品種です。ホワイトフェイスは黄色とオレンジの色素を持たないのに対し、パステルフェイスはオレンジ色素だけが黄色に変化した品種で、見た目も遺伝の仕組みも大きく異なります。
具体的には、パステルフェイスのチークパッチは淡い黄色で、ホワイトフェイスのように完全に色素が欠けているわけではありません。また、遺伝形式もパステルフェイスは伴性劣性遺伝であり、ホワイトフェイスの常染色体劣性遺伝とは異なります。初心者の方は混同しやすいですが、遺伝的には全く別の品種として理解しておきましょう。詳しい品種比較はオカメインコの種類完全ガイドをご覧ください。
ホワイトフェイスのカラーバリエーション|あなたに合う子は?

「ホワイトフェイス」と一言でいっても、実はそのカラーバリエーションは多岐にわたります。オカメホワイトフェイスは他の品種の遺伝子が組み合わさることで、驚くほど多彩な表情を見せてくれるのです。オカメインコの品種全体の中でも特に人気の高いホワイトフェイス系統について、代表的な種類をご紹介します。
🎨 19種類の品種比較を確認したい方へ
ホワイトフェイス以外の品種との詳しい比較や、目的別の選び方については、オカメインコの種類完全ガイドで19種類の特徴を写真付きで解説しています。
ホワイトフェイスには基本のノーマルからシナモン、パールなど多彩な種類が存在します。他の品種との組み合わせで生まれる個性的な美しさから、好みに合わせて選べます。
👑 WF(ホワイトフェイス)ノーマル:王道のモノトーン

ホワイトフェイスの基本形であり、その魅力を最もシンプルに味わえるのがWFノーマルです。純白の顔とチャコールグレーのボディが織りなすコントラストは、王道の美しさを表現しています。クールでスタイリッシュなパートナーを求める方にぴったりです。
🤎 WF(ホワイトフェイス)シナモン:優しく温かい印象

グレーの部分が、温かみのあるブラウンに置き換わったのがオカメインコホワイトフェイスシナモンです。モノトーンのクールさに、シナモン特有の柔和な雰囲気が加わり、優しく上品な印象を与えます。穏やかな色合いを好む方におすすめです。詳しくはシナモン品種の完全ガイドをご覧ください。
🤎 シナモンパールに興味がある方へ
ホワイトフェイスとシナモン、パールの3つが組み合わさった複合品種「WFシナモンパール」については、パール品種の詳細ガイドで遺伝の仕組みや美しい模様の特徴を詳しく解説しています。
✨ WF(ホワイトフェイス)パール:繊細で美しい模様

体全体にレースのような繊細な模様が入る、優雅な品種がオカメインコホワイトフェイスパールです。ただし、この美しい模様は基本的にメスだけの特権となります。オスは成長と共に模様が消えてしまうため、「生涯美しい模様を楽しみたい」という方はメスを選ぶのがおすすめです。詳しくはパール品種の完全ガイドをご覧ください。
🎭 WF(ホワイトフェイス)パイド:世界にひとつだけの個性派

パイドの遺伝子が加わることで、体にランダムな白い色抜け模様が入ります。その模様の入り方はひとつひとつまったく異なり、同じ個体は二羽といません。個性的な子を求める方に、特別なパートナーとなるでしょう。
🎭 パールとパイドの違いを詳しく知りたい方へ
どちらも「模様がある品種」として混同されがちですが、実は全く異なる遺伝的背景と模様の特徴を持ちます。パイド品種の詳細解説で、パールとの決定的な違いをご確認ください。
🤍 WF(ホワイトフェイス)ルチノー(通称:アルビノ):純白の美しさ

全身が一点の曇りもない純白の羽毛に覆われ、瞳は美しい赤色。多くの人が「アルビノ」と呼ぶこの品種は、遺伝学的には「ホワイトフェイス」と「ルチノー」という二つの品種が組み合わさったものです。その特別な美しさは、見る人の心を惹きつけます。詳しくは「白いオカメインコ」の比較ガイド記事やルチノー完全ガイドでも解説しています。
💎 より希少な品種に興味がある方へ
ホワイトフェイスも希少品種の一つですが、さらに珍しいエメラルドやシルバーなどの超レア品種については、オカメインコレアカラー完全ガイドをご覧ください。
ホワイトフェイスの性格・値段と「体が弱い」噂の真相

ホワイトフェイスをお迎えする前に、多くの方が気になるのが「性格」「値段」、そして何よりも「健康面」に関する不安でしょう。特に「ホワイトフェイスは体が弱い」という噂は、根強く残っています。ですが結論から言えば、現代では心配する必要はほとんどありません。
性格は他のオカメと変わらず、個体差が大きいです。値段は繁殖の難しさから高価ですが、「体が弱い」という噂は過去のもので、現在では他品種と同様の健康状態を保てます。
🐦 性格はクール?それとも甘えん坊?個体差の真実

オカメホワイトフェイスの性格は、他のオカメインコと基本的に同じです。ブリーダーとしての経験から言えば、ホワイトフェイスも他のオカメインコと同様、育て方や接し方次第で飼い主さんにべったりの甘えん坊になります。そのクールな見た目とのギャップを楽しまれるオーナーさんも多いです。性格は羽の色ではなく、その子自身の個性と育った環境で決まります。個体によっては独立心が強い傾向を見せる子もいますが、これは品種の特性というより、その子の個性と考えるのが適切でしょう。
💰 値段の相場と、ノーマルより高価な理由

ホワイトフェイスの値段は、専門ブリーダーで30,000円~65,000円、ペットショップでは40,000円~90,000円が相場です。これはノーマルグレー(15,000円~)と比較すると高価に感じられるかもしれません。その理由は、ホワイトフェイスが劣性遺伝であり、ブリーディングで誕生させるのに知識と手間がかかるためです。その希少性が価格に反映されていると考えていただければ納得しやすいでしょう。
💰 価格相場をもっと詳しく知りたい方へ
ホワイトフェイス以外の品種も含めた詳しい価格比較や、値段の決まり方については、オカメインコの値段完全ガイドで19種類の価格を分析しています。
🏪 どこで買うべきか迷っている方へ
信頼できるブリーダーの見極め方や、ペットショップと専門店の違いについては、オカメインコどこで買う完全ガイドで詳しく解説しています。健康なホワイトフェイスを迎えるためには、購入先選びが特に重要です。
🏥 「体が弱い・寿命が短い」は過去の話?歴史的背景と現在の事実

この記事で最もお伝えしたいことです。「ホワイトフェイスは体が弱い」という噂は、現代では科学的根拠に乏しいものとなっています。
この噂が広まったのには理由があります。ホワイトフェイスが品種として確立されたのは1969年にオランダで確立されました。初期は個体数が極めて少なく、無理な近親交配が繰り返された結果、実際に健康面に問題を抱える個体がいたのは事実です。しかし、それは50年以上も前の話です。
世界中のブリーダーたちの努力により血統は多様化し、現在ではその問題は大幅に改善されています。信頼できるブリーダーから迎えた健康な個体であれば、他の品種と健康面において差はほとんどありません。適切な飼育環境を整えることが何よりも重要です。
📊 寿命について詳しく知りたい方へ
オカメインコの寿命全般については、オカメインコの寿命完全ガイドで、品種による違いや長寿の秘訣を詳しく解説しています。
頬白オカメ(ホワイトフェイス)に関するよくある質問【Q&A】

ここでは、ホワイトフェイスをお迎えする前や、一緒に暮らし始めてから抱きやすい疑問や悩みについてQ&A形式でお答えします。
ここでは、ホワイトフェイスの遺伝的な特徴や健康面の真実、品種の見分け方から価格、雛の選び方まで、飼い主さんが抱きやすい疑問にQ&A形式で詳しくお答えします。
Q.ホワイトフェイスにはなぜチークパッチがないのですか?
ホワイトフェイスが持つ特別な遺伝子が、チークパッチのオレンジ色や顔の黄色を作り出す色素(プシタシン色素)の生成を阻害するためです。この遺伝子は両親から1つずつ受け継がれる「常染色体劣性遺伝」で、両方揃って初めて白い顔になります。つまり、生まれながらにしてオレンジ色の「色素」を持たない特別な存在なのです。
遺伝の仕組み:
Q.ホワイトフェイスは他の品種と比べて体が弱いのですか?寿命はどうですか?
これは主に過去の繁殖方法に起因する誤解です。品種が確立された初期(50余年前)は、限られた個体数で近親交配が行われたため、一部に健康問題があったのは事実です。
しかし、現代では血統が多様化し、信頼できるブリーダーから来たオカメホワイトフェイスは、他の色のオカメインコと同様に健康です。適切な飼育環境下では他品種と変わらない健康状態を保てます。健康は色ではなく、血統と飼育環境によって決まります。
現代の健康状況:
Q.ホワイトフェイスにはどんな色の種類がありますか?
基本のWFノーマル(グレー)に加え、WFシナモン(茶色)、WFパール(鱗模様)、WFパイド(まだら模様)など多岐にわたります。これらを組み合わせたWFシナモンパールや、全身が白いWFルチノー(通称アルビノ)も人気です。それぞれ異なる美しさを持ち、価格も30,000円台から90,000円以上まで幅広く設定されています。
主な種類:
Q.ホワイトフェイスのオスメスはどうやって見分けますか?
最初の換羽後(生後6か月~1年)、オスは顔が真っ白になり、複雑な歌(オス鳴き)を歌います。メスは顔が灰色がかり、尾羽の裏に縞模様が残ります。雛やパイドなど、見た目で分かりにくい場合はDNA鑑定が確実です。特にパイドは模様が不規則なため、判別がつきません。DNA鑑定の利用をおすすめします。
性別判定のポイント:
Q.ホワイトフェイスの値段は他の品種より高いですか?
一般的に高価な品種です。専門ブリーダーで30,000~65,000円、ペットショップでは40,000~90,000円が相場で、ノーマルグレー(15,000円~)の約2倍です。これは、劣性遺伝であるホワイトフェイスを作出するには、ブリーダーによる計画的な繁殖と多大な労力が必要となるため、その価値が価格に反映されています。
高価な理由:
Q.「ホワイトフェイスシナモン」と「ホワイトフェイスパール」はどう違いますか?
WFシナモンは体が単色のシナモンブラウン(茶色)です。WFパールは体に鱗状の模様があります。大きな違いとして、WFパールのオスは成長すると模様が消えますが、WFシナモンの色は雌雄ともに生涯変わりません。美しい模様を生涯楽しみたい場合は、WFパールのメスを選ぶのがおすすめです。
主な違い:
Q.ホワイトフェイスの性格は大人しいですか?
性格は他のオカメインコと基本的に同じで、色によって決まることはありません。一般的に穏やかで、愛情深く、人懐っこいですが、個体差があります。クールな外見とは裏腹に、甘えん坊で飼い主さんべったりの子も多く、そのギャップも魅力のひとつです。適切に社会化された個体であれば、初心者でも飼いやすい性格をしています。
性格の特徴:
Q.ホワイトフェイスの雛を選ぶときのポイントを教えてください
健康な雛を選ぶ基本(活発さ、目の輝き、清潔さなど)に加え、ホワイトフェイスの場合は特に「誰からお迎えするか」が重要です。過去に近親交配による健康問題があった歴史的背景から、遺伝的な多様性に配慮し、健全なブリーディングを行っている信頼できるブリーダーや専門店を見極める必要があります。
価格の安さだけで選ばず、飼育環境の清潔さや、親鳥の情報を快く提供してくれるかどうかなどを必ず確認しましょう。特に、初期の健康診断を済ませている個体を選ぶと、より安心して新しい家族として迎えられます。詳しい雛の選び方や育て方については、オカメインコの雛完全ガイドも参考にしてください。
オカメインコホワイトフェイスの魅力を再確認し、最高のパートナーになろう【総括】

ここまで、オカメインコ「ホワイトフェイス」の遺伝的な背景から、多彩な種類、そしてお迎え前の不安を解消するための具体的な情報まで、詳しく解説してきました。ホワイトフェイスオカメインコは、単に「頬紅がない珍しいオカメインコ」ではありません。その背景には遺伝の神秘が隠されており、知れば知るほどに惹きつけられる奥深い魅力を持った品種です。
「体が弱い」という過去の噂は、現代では心配する必要はほとんどありません。現代の科学的証拠と、世界中のブリーダーたちの長年の努力により、ホワイトフェイスは他の品種と同等の健康性を持つことが確認されています。ちなみに、ホワイトフェイスの寿命や人間年齢換算については、専門ガイドで詳しく解説しています。
正しい知識を持ち、信頼できる場所から健康な雛を迎え、愛情を込めて接すれば、ホワイトフェイスはあなたの人生を豊かに彩る、かけがえのない最高のパートナーになってくれるはずです。美しいモノトーンの羽色と、温和で愛情深い性格を併せ持つホワイトフェイスとの生活は、きっとあなたに新しい喜びと発見をもたらしてくれることでしょう。
📗 オカメインコの種類をもっと詳しく知りたい方へ
本記事ではホワイトフェイスに特化して解説しましたが、オカメインコの種類に関する情報はまだまだあります。19種類の品種比較、目的別の選び方、価格と飼いやすさの関係など、愛鳥選びを成功させるための完全ガイドをご用意しています。