セキセイインコが「ピュイ」と鳴く時、愛鳥はどんな気持ちなのでしょうか? この可愛らしい鳴き声は、インコの豊かな感情表現のひとつであり、飼い主さんへの大切なメッセージが込められています。
「ピュイ」という鳴き声は、主に「ここにいるよ!」と伝える居場所確認、飼い主さんへの返事、そして「大好き!」という飼い主への好きサインという3つの意味を持ちます。これは野生時代の群れ生活のなごりであり、あなたを「大切な仲間」として認識している信頼の証です。
この記事では、セキセイインコの「ピュイ」という鳴き声に隠された心理、状況別の意味、そして飼い主さんが取るべき適切な対応方法まで、愛鳥との絆をさらに深めるためのコミュニケーション術を、初心者の方にも分かりやすく解説します。
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セキセイインコの鳴き声「ピュイ」に込められた本当の気持ちとは?

セキセイインコの「ピュイ」は嬉しい・楽しい気持ちの表れ
セキセイインコの「ピュイ」という鳴き声は、主にポジショニングコール(居場所確認)、飼い主への返事、愛情表現の3つの意味を持ちます。この小さな鳴き声には、愛鳥の素直な気持ちが込められているのです。
「ピュイ」はポジショニングコール(居場所確認の鳴き声)
セキセイインコの「ピュイ」という鳴き声で最も基本的な意味は、ポジショニングコールと呼ばれる居場所確認の鳴き声です。これは、野生時代に群れでお互いの位置を確かめ合い、はぐれないようにしていた頃の習性のなごりです。
存在アピール
- 「自分はここにいるよ」という意思表示
- 群れで生活する野生の本能的な行動
- 仲間と繋がることで安心感を得たい心理
- 飼い主を群れの一員として認識している証拠
仲間への呼びかけ
- 「みんなはどこ?」という位置確認
- 複数飼いの場合はお互いに鳴き合いが発生
- 返事を求める社会的なコミュニケーション
- 群れの結束を保つための重要な手段
飼い主への返事としての「ピュイ」
セキセイインコが名前を呼ばれた時に発する「ピュイ」は、人間の「はーい」や「なあに?」に相当する、とても賢い返事です。喉を鳴らすような優しい声なら、嬉しい気持ちの表れです。
知能の高さの証明
- 自分の名前を覚えていることの証拠
- 飼い主との絆が深まっている証
- 呼ばれたことに応答する高度な知的活動
- 信頼関係がしっかりと築けている状態
コミュニケーション能力
- 単なる条件反射ではない、意思のある応答
- 社会的なやり取りをしようとする意欲の表れ
- おしゃべりの才能を伸ばす第一歩
- 飼い主を「会話できる仲間」として認識
オスの愛情表現・求愛のサイン
特にオスのセキセイインコが発する「ピュイ」には、飼い主への好きサインや、縄張り主張といった、より複雑な意味が含まれていることがあります。
愛情表現
- 飼い主への深い愛情や甘える気持ち
- 「大好きだよ!」「そばにいて!」というアピール
- メスへの求愛行動のなごり
- 感情的なつながりを求める大切なサイン
縄張り意識
- 「ここは僕の場所だ」という主張
- 飼い主を自分の大切なパートナーとして認識
- メスではあまり見られないオス特有の行動
- お気に入りの場所や人に対する所有権の表現
いつ「ピュイ」と鳴く?飼い主が見逃しがちな場面とインコの心理

野生の群れ生活での鳴き合いが「ピュイ」の原点
セキセイインコが「ピュイ」と鳴く場面は多岐にわたり、状況によって微妙な気持ちの違いがあります。その心理を読み解いていきましょう。
名前を呼ばれた時の反応
最も一般的で分かりやすいシチュエーションは、飼い主さんが愛鳥の名前を呼んだ時の反応です。これは信頼の証であり、コミュニケーションの基本となります。
典型的な反応
- 優しく穏やかな声で呼ばれた時
- 離れた場所からでも元気に反応する
- 目を合わせながら鳴くことが多い
- 体を飼い主の方に向け、首をかしげる仕草も
学習のプロセス
- 数週間から数ヶ月で自分の名前を覚える
- 信頼関係が深いほど積極的に応答する
- 元気な返事は健康状態のバロメーターにもなる
- ケージから出たい時はより大きくアピールするような声に

飼い主との深い絆を示すコミュニケーション
仲間や外の鳥に応答する時
外で鳴いている野鳥(特にスズメなど)や、同じ部屋にいる他のセキセイインコに対して「ピュイ」と応答することもあります。これは、鳥としての本能的な行動です。
外部への反応
- 窓辺でスズメの鳴き声に反応
- テレビから聞こえる鳥の鳴き声に応答
- 野生の本能が残っている証拠
- 特に活動的になる朝や夕方の時間帯に活発
複数飼いでの鳴き合い
- 他のセキセイインコとの会話や挨拶
- 1羽が鳴くと連鎖的に鳴き始める
- 群れの結束を確認し、安心する行動
- 社会性の高さを物語る微笑ましい光景
愛情を示したい時(主にオス)

オスの愛情表現としての「ピュイ」
オスのセキセイインコは、飼い主さんや好きなおもちゃ、鏡の中の自分などに対して、愛情を表現したい時に特徴的な「ピュイ」を発します。
愛情表現の特徴
- 飼い主に寄り添い、優しく鳴く
- お気に入りのおもちゃにご機嫌に話しかける
- 求愛ダンス(頭を上下に振るなど)と組み合わせる
- おしゃべりの一部として「ピュロロピュロロ」と組み合わせる
性別による違い
- メスではあまり見られないオス特有の行動
- 野生での求愛行動のなごり
- 「家族のような特別な絆を築こう」という意思表示
- 飼い主を「自分のパートナー」として認識している証拠
鳴き声でわかるインコの感情!「ピュイ」「ピッ」「ピーピー」の違いと聞き分け方

様々な鳴き声で感情表現するセキセイインコ
「ピュイ」と似た鳴き声には「ピッ」や「ピーピー」などがありますが、それぞれ全く異なる感情を表すため、正しく聞き分けることが愛鳥の気持ちを理解する上で重要です。
「ピッ」との違い(警戒音との区別)
「ピュイ」と「ピッ」は音が似ていますが、意味は正反対です。「ピッ」という短く鋭い声は、何かに驚いたり不安を感じたりしているサインです。愛鳥が「ピッ」と鳴いたら、何に驚いたのか周囲を見渡し、原因(例:急な物音、見慣れない物)をそっと取り除いてあげましょう。
「ピッ」の特徴(警戒・不安)
- 短く、鋭く、途切れるような音
- 驚いた時や不安を感じた時
- 体がこわばり、緊張している状態
- ストレスの原因を取り除く必要があるサイン
「ピュイ」の特徴(安心・友好)
- 柔らかく、少し長めで伸びやかな音
- リラックスして安心している状態
- 積極的なコミュニケーションの意図
- 優しく応答することで絆が深まる機会
「ピーピー」との違い(呼び鳴きとの区別)
鳴き声 | 感情 | 音量 | 対応方法 |
---|---|---|---|
ピュイ | 安心・愛情・返事 | 小~中 | 優しく名前を呼んで応答する |
ピッ | 警戒・不安・驚き | 小~中 | ストレス源を探して除去する |
ピーピー(呼び鳴き) | 寂しさ・要求・不満 | 大 | 要求に応えず、鳴き止んだら褒める |
「ピーピー!」は呼び鳴きと呼ばれ、飼い主さんの姿が見えなくて寂しい時や、「ケージから出して!」といった要求がある時に発せられる、大きくて長い鳴き声です。呼び鳴きに応えてしまうと癖になるため、鳴き止むまで待ち、静かになったら褒めてあげるのが効果的です。一方、「ピュイ」は穏やかなコミュニケーションなので、優しく応答してあげましょう。
健康な「ピュイ」と病気のサインの見分け方
健康な鳴き声
- 明瞭で力強く、声に張りがある
- リズミカルに楽しそうに発せられる
- リラックスした自然な姿勢で鳴く
- 目の輝きも良く、全体的に元気
注意が必要な鳴き声(病気のサイン)
- 声がかすれる、声が出ない(鳴管炎など)
- 声が小さい、弱々しい(体調不良、甲状腺腫)
- 呼吸が苦しそう、「キュッ」という異音
- 普段と明らかに違う鳴き方をする
鳴き声は健康のバロメーターです。もし異常な鳴き声に気づいたら、様子を観察し、早めに動物病院を受診しましょう。
愛鳥の「ピュイ」への正しい対応とコミュニケーションのコツ

適切なコミュニケーションで信頼関係を深める
「ピュイ」という鳴き声は、愛鳥からの大切なコミュニケーションのサインです。適切に対応することで、愛鳥との信頼関係を深め、より良い関係を築くことができます。
返事をする時の効果的な応答
基本的な応答方法
- 「どうしたの?」と優しく穏やかな声で応答する
- 愛鳥の名前を呼び返すと効果的
- 目をしっかりと見ながら話しかける
- 真似をして「ピュイ」と鳴き返すのも良い
効果的なフレーズの例
- 「〇〇ちゃん(名前)、どうしたの?」
- 「はーい、ママ(パパ)はここにいるよ」
- 「いい子だねぇ」
- 「可愛いね」
無視すべき場面と応答すべき場面
状況 | 時間帯 | 対応方法 | 理由 |
---|---|---|---|
穏やかな「ピュイ」(コミュニケーション) | 日中 | 積極的に応答する | 信頼関係と絆の構築のため |
夜中の鳴き声(不安・恐怖) | 夜間 | 静かに様子を見る(基本は無視) | 鳥の睡眠リズムを維持するため |
過度に頻繁(発情の可能性) | 日中 | 遊びに誘うなど気を逸らし、環境を見直す | 発情を過度に刺激しないため |
コミュニケーションを深める接し方
日常的な取り組み
- 定期的な声かけで信頼関係を築く
- 行動と言葉をセットで教える(例:「ごはん」と言いながらエサを交換)
- 手からおやつをあげる練習と組み合わせる
- 愛鳥の性格に合わせたアプローチを探す
応用的なコミュニケーション
- 毎日決まった時間に放鳥し、会話する時間を設ける
- 歌を歌ってあげたり、音楽を一緒に聴いたりする
- 好きなおもちゃを使って一緒に遊ぶ
- 褒める時や挨拶は、いつも同じ言葉を使う
「ピュイ」の鳴き声に関するよくある質問と回答
セキセイインコが「ピュイ」と鳴く頻度が多すぎるのは問題?
ほとんどの場合、セキセイインコが頻繁に「ピュイ」と鳴くのは問題ありません。むしろ、心身ともに健康で、飼い主さんや環境に安心感を抱いているポジティブなサインです。
この鳴き声は、仲間との位置確認やコミュニケーションの基本となるものです。飼い主さんを信頼できる「群れの仲間」と認識しているからこそ、安心して頻繁に鳴き交わそうとします。
ただし、以前と比べて明らかに頻度が増え、落ち着きなく鳴き続ける場合は、発情のサインである可能性も考えられます。その際は、愛鳥の健康を守るためにも、発情を過度に刺激しない環境の見直しをお勧めします。
- 正常な行動:健康で飼い主との関係が良好な証拠です。
- 発情の可能性:以前より明らかに頻度が増し、落ち着きがない場合は発情期のサインかもしれません。
- 対策:発情が疑われる場合は、日照時間の管理や巣を連想させるおもちゃの撤去などを検討します。
- 病気の可能性:元気がなく、羽を膨らませながら弱々しく鳴く場合は体調不良のサインです。
メスでも「ピュイ」と鳴くの?オスとの鳴き方の違いは?
メスのセキセイインコも「ピュイ」と鳴きます。しかし、オスと比較すると、その鳴き方や頻度、目的に一般的な違いが見られます。
最大の違いは、オスが「ピュイ」の音を複雑なさえずりや歌に組み込み、求愛や縄張り主張の一環として多用する点です。そのため、オスの方が一般的にバリエーション豊かで、より頻繁に鳴く傾向があります。
一方、メスの「ピュイ」は、より機能的なコミュニケーションとして使われることが多いです。例えば、飼い主からの呼びかけへの返事や、仲間の位置を確認する際の合図など、シンプルで直接的な目的で発せられます。
- メスも鳴きます:ただし、オスに比べて頻度やバリエーションは少ない傾向にあります。
- オスの特徴:求愛のために「ピュロロ…」と複雑にさえずったり、おしゃべりの一環として多用したりします。
- メスの特徴:主に居場所確認や返事など、よりシンプルで機能的な目的で使うことが多いです。
- 個体差:活発でおしゃべりなメスもいれば、物静かなオスもいるため、あくまで一般的な傾向です。
夜中に「ピュイ」と鳴くのはなぜ?やめさせる方法は?
夜中に「ピュイ」と鳴く場合、それは日中のようなポジティブな感情ではなく、何らかの不安や恐怖、驚きを示しているサインです。小さな物音や、カーテンの隙間から差し込む光などに反応している可能性があります。
この行動は、時に「夜驚症(ナイトフライト)」と呼ばれるパニック発作につながることがあります。暗闇で突然暴れることで、インコ自身が怪我をする危険があるため、注意が必要です。
最も効果的な対策は、安心して眠れる環境を徹底して作ることです。厚手のおやすみカバーでケージを覆い、光と音を完全に遮断しましょう。また、毎日決まった時間に寝かせることで生活リズムを整え、不安を軽減させることができます。
- 原因:物音や光による驚き、不安、悪夢などが考えられます。
- 夜驚症(ナイトフライト):パニック状態に陥っている可能性もあり、怪我につながるため注意が必要です。
- 対策①(遮光・遮音):厚手のおやすみカバーでケージを覆い、静かで暗い環境を徹底します。
- 対策②(規則正しい生活):毎日同じ時間に寝かせ、安心できる睡眠リズムを作ってあげます。
「ピュイ」の鳴き声が急に変わった・声が出ない時の対処法は?
鳴き声の急な変化、特に声がかすれたり出なくなったりする症状は、病気のサインである可能性が非常に高いため、飼い主による迅速な対応が求められます。
このような症状が見られる場合、鳥の声を出す器官である「鳴管」の炎症や、呼吸器系の感染症、甲状腺の腫れ(甲状腺腫)などが疑われます。これらは自然に治ることは少なく、専門的な治療が必要です。
飼い主ができる応急処置として、まずはケージ内を28〜30℃程度に保温し、インコの体力を温存させてください。そして、自己判断で様子を見ることはせず、一刻も早く鳥を専門に診てくれる動物病院へ連れて行くことが最も重要です。
- 病気のサイン:声のかすれ、声が出ない、弱々しい声は健康問題の可能性があります。
- 疑われる病気:鳴管炎、甲状腺腫、呼吸器系感染症などが考えられます。
- 応急処置:病院へ行くまでは、ケージ内を保温(28〜30℃)・保湿し、安静にさせます。
- 必須の行動:自己判断は絶対にせず、一刻も早く鳥専門の獣医師の診察を受けてください。
📚 参考文献・出典
📝 記事監修者情報
飼い鳥歴30年以上、現在30羽以上の鳥と暮らし、ブリーディング経験もある愛鳥家が監修する、セキセイインコとオカメインコを中心とした小型〜中型インコ専門サイトです。
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