免責事項:必ずお読みください
本記事は獣医学・鳥類栄養学の一般的な知見に基づいて作成されていますが、すべての個体に対する安全性を保証するものではありません。愛鳥の持病や体調によっては、微量でも体調を崩す可能性があります。不安な場合は、必ずかかりつけの獣医師に相談してください。
結論:インコに柿は「あげないほうが安心」です
結論から言うと、インコに柿を積極的にあげる必要はありません。
「一口食べたらすぐに倒れてしまう」といったアボカドのような即効性の猛毒ではありませんが、インコの小さな体には負担がかかる要素が多すぎるのです。
柿が「微妙」な3つの理由
胃の中で「石」になる?
柿の「渋み成分(タンニン)」は、胃酸と反応して固まってしまう性質があります。これが胃の中で「石(胃石)」のようになり、消化不良を起こすリスクがあります。
種による「腸閉塞」の危険
柿の種はツルツルしていて誤って飲み込みやすく、サイズも大きいため、腸に詰まる(腸閉塞)と命に関わります。誤飲事故は手術が必要になるケースもあるため、細心の注意が必要です。
体が冷えてしまう
柿は約80%以上が水分です。漢方でも「体を冷やす」と言われる通り、食べ過ぎると水っぽいフン(多尿・軟便)の原因になり、体調を崩しやすくなります。
初心者必読!「タンニン」って何が悪いの?
「甘い柿なら渋くないから大丈夫じゃないの?」
そう思う飼い主さんも多いはずです。でも、実は甘い柿にも見えないリスクが隠れています。
胃の中で固まってしまう恐怖
少し難しい話になりますが、柿に含まれる「タンニン(シブオール)」という成分には、タンパク質をギュッと固める作用があります。
人間でも、柿を食べ過ぎると胃の中に石のような塊ができる「柿胃石症(かきいせきしょう)」という病気が知られています。
人間よりはるかに体が小さく、繊細な消化管を持つセキセイインコやオカメインコにとって、胃の中に消化できない塊ができることは大問題です。
「甘柿」であっても、このタンニンは不溶性(溶けにくい状態)になって含まれています。口の中で渋みを感じなくても、胃の中に入ればリスク要因になることに変わりはありません。
【絶対NG】干し柿はリスクの塊!
おじいちゃん・おばあちゃんの家に行くと、軒先に吊るしてある「干し柿」。
これは生の柿よりもさらに危険です。
- ネバネバして詰まる:干し柿特有のねっとりした粘着性は、インコの「そのう(喉にある袋)」に貼り付きやすく、炎症(そのう炎)の原因になります。
- 成分が濃すぎる:水分が抜けている分、糖分やタンニンがギュッと濃縮されています。高カロリーで肥満の元にもなります。
「一口だけなら…」という油断が、思わぬ事故を招きます。干し柿は絶対に見せないようにしましょう。
「野鳥は食べてるのになぜダメ?」
庭の柿の木に、メジロやヒヨドリが来て美味しそうにつついていますよね。
「野鳥が食べているんだから、インコも大丈夫なんじゃない?」と思うかもしれません。
でも、ペットのインコと野鳥は事情が全く違います。
野鳥とペットの決定的な違い
- 運動量が違う:野鳥は広い空を飛び回ってエネルギーを大量消費し、消化機能も活発です。一方、カゴの中で暮らすインコは運動量が少なく、消化能力もデリケートです。
- 食べ方が違う:野鳥は熟した柔らかい果肉だけを選んで食べ、種は上手に吐き出します。しかし、好奇心旺盛なインコは、危険な「種」をかじったり、タンニンの多い「皮」まで食べてしまうリスクがあります。
もし間違って食べてしまったら?
「目を離した隙に、テーブルの上の柿を少しかじってしまった!」
そんな時も、慌てすぎないでください。柿は猛毒ではないので、一口かじった程度ですぐに命に関わることは稀です。
飼い主さんがやるべきこと
- すぐに取り上げる:それ以上食べさせないようにします。
- 様子を観察する:半日〜1日は、愛鳥の様子をよく見てください。
- 吐き戻しをしていないか?
- 元気がなくなっていないか?
- フンが出ていない(詰まっている)、または下痢をしていないか?
- 異変があれば病院へ:少しでも「いつもと違う」と感じたら、迷わず動物病院へ連れて行きましょう。
※誤飲・誤食の手術体験談も参考に、早めの行動が大切です。
よくある質問|インコと柿
インコに柿を与える際によくある疑問をまとめました。
【総括】愛鳥の健康のために、柿は「人間だけ」で楽しもう
インコと柿の関係について、リスクを中心に解説しました。残念ながら、柿は愛鳥とシェアするのには向かない果物です。
- 基本はNG:タンニンが胃で固まるリスクや、種の誤飲(窒息・腸閉塞)リスクがあるため非推奨。
- 干し柿は論外:そのうに詰まる危険や、糖分過多の恐れがあります。
- 誤食注意:飼い主さんが食べている時は、ケージに入れておくのが一番の安全策。
「美味しいものを共有したい」という飼い主さんの愛情はとても素敵です。でも、体のつくりが違うインコにとっては、ありがた迷惑になってしまうこともあります。
「柿は人間が美味しく食べて、インコには安全なオヤツをあげる」。これが、お互いが健康で幸せに秋を過ごすための正解です。

