インコにカトルボーンは必要?ボレー粉との違いや食べない時の対策

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免責事項

本記事は鳥類栄養学の一般的な知見に基づき作成されていますが、すべての鳥の健康を保証するものではありません。愛鳥に持病がある場合や、体調に不安がある場合は、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。

カトルボーンとは?ボレー粉との決定的な違い

イカの甲であるカトルボーンの全体像。白い舟形の形状で、ボレー粉とは異なる独特の質感が分かる断面写真。

カトルボーン(Cuttlebone)は「イカの甲」とも呼ばれますが、正体はコウイカというイカの背中にある舟形の骨(正確には貝殻の痕跡)です。

「カルシウムならボレー粉(カキ殻)で十分では?」と思うかもしれませんが、実はカトルボーンとボレー粉には、インコの体にとって大きな違いがあります。その秘密は「溶けやすさ」にあります。

カトルボーン vs ボレー粉 比較表

それぞれの特徴を理解して、愛鳥の年齢や好みに合わせて使い分けるのが正解です。

カトルボーンとボレー粉の違い
特徴 カトルボーン(イカの甲) ボレー粉(カキ殻)
成分の結晶構造 アラゴナイト(溶解しやすい) カルサイト(硬くて丈夫)
硬さ 柔らかい・サクサク 硬い・石のよう
消化吸収 非常に良い(胃酸で即溶ける) ゆっくり吸収される
おすすめの鳥 全年齢OK
(特にヒナ・老鳥・繁殖期)
健康な成鳥・中型インコ

栄養成分と「アラゴナイト」の凄さ

少し専門的な話になりますが、カトルボーンの成分は約85%が炭酸カルシウムです。最大の特徴は「アラゴナイト」という結晶構造をしている点。これはボレー粉(カルサイト)に比べて胃酸に溶けやすく、体内への吸収効率が非常に高いというメリットがあります。

🐦 こんな鳥さんに特におすすめ!

  • 消化能力が未発達なヒナ・幼鳥:骨格形成の重要な時期に効率よくカルシウムを吸収できます。
  • 消化機能が落ちた老鳥:硬いボレー粉が負担になる場合でも、カトルボーンなら安心です。
  • 産卵期のメス:卵の殻を作るために大量のカルシウムを急速に必要とするため、溶けやすいカトルボーンが役立ちます。

なぜ必要?カルシウム補給とストレス解消

インコにとってカトルボーンは、単なる栄養剤以上の役割を果たします。特に主食がシード(種子)の場合は、命綱とも言える重要な存在です。

シード食の子には「必須」のアイテム

ヒエやアワなどのシードは美味しいですが、栄養学的には「リンが多く、カルシウムが極端に少ない」という欠点があります。このバランスの悪さを放置すると、鳥は骨からカルシウムを溶かして補おうとするため、骨折しやすくなったり、脚弱症(ペローシス)になったりするリスクがあります。

シード食の場合、カトルボーンやボレー粉によるカルシウム補給は「おやつ」ではなく「主食の一部」と考えて、常時ケージに入れておく必要があります。

💡 ペレット食の場合は?
総合栄養食であるペレットを7割以上食べている場合は、基本的にカトルボーンによる追加のカルシウムは不要です。しかし、次項で紹介する「遊び」の目的で入れてあげることは推奨されます。

齧って遊んでクチバシもピカピカ!

カトルボーンの魅力は、その独特の噛み心地にもあります。爪で押すと跡がつくくらいの「サクサク」とした感触は、インコの「齧りたい欲求」を刺激します。

カトルボーンの行動学的メリット
メリット 解説
クチバシの伸びすぎ防止 齧ることで自然にクチバシが削れ、適切な長さと形をキープする天然のヤスリ効果があります。
ストレス発散 ガリガリと破壊する行為は、退屈なケージ生活の中で良い刺激(エンリッチメント)になります。
安心感 ボレー粉のような石と違い、適度な粘り気と風味があり、夢中になる子が多いです。

危険はないの?金属中毒と黒いシミの正体

天然素材だからこそ、安全性には注意が必要です。「表面に黒いシミがあるけど大丈夫?」「海で拾ってきたものをあげてもいい?」といった疑問にお答えします。

黒いシミ:インクならOK、カビはNG

市販のカトルボーンにも、時々黒や茶色のシミがついていることがあります。これには「安全なもの」と「危険なもの」の2種類があります。

  • 【安全】イカ墨(インク)
    コウイカの墨が骨に染み込んだもの。のっぺりとした茶色〜黒色のシミで、臭いはありません。これは無害なので与えても大丈夫です。
  • 【危険】カビ・腐敗
    緑や青黒く変色し、表面が毛羽立っていたり、カビ臭・腐敗臭がしたりするもの。これは猛毒な場合があるため、絶対に与えずに廃棄してください。

見分けがつかない場合や、なんとなく嫌な臭いがする場合は、迷わず捨てて新しいものを与えるのが安全策です。

海で拾ったものはリスク大!

海岸に落ちているカトルボーン(ビーチコーミング)を拾って愛鳥にあげるのは、そのままでは非常に危険です。

拾ったカトルボーンのリスク
リスク要因 愛鳥への影響
高濃度の塩分 体の小さなインコにとって塩分過多は腎臓に致命的なダメージを与えます。
雑菌・腐敗 腐った肉片が付着しており、サルモネラ菌などが繁殖している可能性があります。
重金属汚染 汚染された海域のものは、カドミウムなどの有害物質を含んでいる可能性があります。

もし拾ったものを使う場合は、「1週間以上の真水での塩抜き(毎日水換え)」と「煮沸消毒」、そして「完全乾燥」という徹底的な処理が必要です。手間とリスクを考えると、品質管理された市販品を購入することを強くおすすめします。

食べない・落ちるを解決!賢い与え方

「せっかく買ったのに怖がって食べてくれない」「金具がすぐ外れて落ちる」というのは、カトルボーンあるあるです。ここではそんな悩みを解決する、プロおすすめの方法を紹介します。

【イチオシ】食べるか不安なら「パウダータイプ」が正解!

もし愛鳥が臆病な性格だったり、初めてカトルボーンに挑戦したりするなら、最初から「パウダータイプ(粉末)」を選ぶのが最も賢い選択です。

白い塊を怖がる(ネオフォビア)子でも、粉末ならいつものご飯にふりかけるだけで、知らず知らずのうちに栄養を摂取できます。

🌟 パウダータイプ 3つのメリット

  • 確実な栄養補給:選り好みさせず、狙った量のカルシウムを確実に与えられます。
  • 無駄がない:固形タイプのように、齧って粉々になった破片がゴミになることがありません。
  • 手間いらず:自分で削る手間も、設置場所を考える必要もゼロ。時短で衛生的です。

特に「齧る力が弱い老鳥」や「換羽期・産卵期で急いで栄養をつけたい時」には、消化吸収の早いパウダータイプが最強の味方になります。

固形派には「結束バンド」がおすすめ

もちろん、「齧る楽しみ」を与えたい場合は固形タイプが一番です。しかし、付属の金具は外れやすいのが難点。そこでおすすめなのが、100円ショップの「結束バンド(インシュロック)」を使った固定方法です。

  1. カトルボーンは柔らかいので、キリやドライバーで簡単に穴が開きます。上下2箇所に小さな穴を開けます。
  2. その穴に結束バンドを通し、いつも使う止まり木の近くの金網に直接ガッチリと固定します。
  3. 【重要】余ったバンドの先はニッパーで根元からきれいに切り取り、切り口で愛鳥が怪我をしないよう、外側に向けて設置するかヤスリで丸めてください。

これなら、愛鳥が乗っても落ちることなく、安心してガジガジ楽しんでもらえます。


よくある質問|カトルボーン

カトルボーンについての素朴な疑問にお答えします。

Q1. 毎日ケージに入れっぱなしでいいですか?

A1. はい、基本的には入れっぱなしで大丈夫です。

鳥は自分に必要なカルシウム量をある程度調整できると言われています。ただし、汚れたりフンがついたりした場合は不衛生なので交換してください。また、齧りすぎて粉々になった場合も新しいものに取り替えましょう。

Q2. 使用期限はありますか?

A2. 明確な期限はありませんが、カビに注意が必要です。

湿気を吸いやすいので、梅雨時などはカビが生えていないかこまめにチェックしてください。未開封のものは乾燥剤と一緒に密閉容器で保存すれば長期保存が可能です。

Q3. オカメインコには小さすぎませんか?

A3. サイズ選びが重要です。

セキセイインコ用などの小さいサイズだと、オカメインコの力では一瞬で粉砕されてしまうことがあります。オカメインコや中型インコには、大きめで厚みのあるカトルボーンを選んであげると、長く楽しめます。

カトルボーンで骨太な健康ライフを【総括】

カトルボーンを齧るインコと、カルシウム摂取により健康で丈夫な骨格と羽毛を維持しているイメージ画像。

カトルボーンは、単なる白い塊ではありません。消化吸収に優れた良質なカルシウム源であり、同時にインコの「齧りたい」という本能を満たしてくれる素晴らしいアイテムです。特にシード食中心の生活を送っている愛鳥には、健康維持のために欠かせないパートナーと言えるでしょう。

ボレー粉とは異なる「柔らかさ」と「溶けやすさ」は、まだ消化機能が未熟なヒナや、老鳥にとっても優しい設計です。もし愛鳥がまだカトルボーン未体験なら、ぜひ一度試してみてください。

日々の食事と適切なエンリッチメントで、愛鳥との健やかで楽しい時間を一日でも長く守ってあげてくださいね。