アブラナ科野菜はインコに与える野菜として人気がありますが、「甲状腺腫の原因になるって聞いたけど本当?」「毎日与えても大丈夫?」など、飼い主さんの間では様々な疑問や不安があるようです。
アブラナ科野菜には小松菜、キャベツ、ブロッコリーなどが含まれ、ビタミンやミネラルが豊富で栄養価が高い反面、ゴイトロゲン(甲状腺機能に影響を与える物質)も含んでいます。特に小型のセキセイインコなどは甲状腺腫を発症しやすい傾向があるため、与え方には注意が必要です。
しかし、正しい知識を持ち、適切な量と頻度で与えれば、アブラナ科野菜はインコの健康的な食事に彩りと栄養を加える素晴らしい食材となります。適切な調理法や他の野菜とのローテーション、ペレット食との組み合わせ方など、安全に与えるためのポイントを押さえることが大切です。
アブラナ科野菜の種類と栄養価、ゴイトロゲンの影響
セキセイインコなど小型鳥への適切な与え方
甲状腺腫を予防するための調理法と注意点
ペレット食・シード食との組み合わせ方
バランスの良い食事でインコの健康を守る方法
この記事では、アブラナ科野菜についての疑問を解消し、インコに安全に野菜を与えるための正しい知識をご紹介します。参考にしてください。
アブラナ科野菜をインコに与える際の基礎知識と注意点
アブラナ科野菜はビタミンやミネラルが豊富で栄養価が高い反面、ゴイトロゲン(反栄養素)という成分を含みます。
青菜を与えたい理由は、βカロチンの摂取とエンリッチメントです。βカロチンは抗酸化作用があり、摂取後ビタミンAに変換されます。必要な分だけ変換されるため過剰症になることはありません。そして生鮮野菜を食べることは楽しみの一つになります。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) October 3, 2020
与えてはいけない野菜が本や獣医師によって異なるのは知識と経験による私見だからです。シュウ酸がカルシウム、ゴイトロゲンがヨードの吸収を阻害するのは間違いありません。しかしこれらを少量含む野菜を副食として食べた量が摂取した全てのカルシウムやヨードの吸収を阻害することはありません。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) September 1, 2021
アブラナ科野菜とは?代表的な種類
アブラナ科野菜は、私たちの食卓でもおなじみの多くの野菜を含む植物グループです。代表的なものには、小松菜、キャベツ、ブロッコリー、水菜、ケール、芽キャベツ、カブ、大根などがあります。これらの野菜は一般的にビタミンA、C、Kなどのビタミン類やミネラルを豊富に含んでいるため、人間の食事では健康的な選択肢として知られています。
インコの食事においても青菜や野菜は重要な役割を果たしますが、アブラナ科野菜には特有の特性があり、与える際には注意が必要です。特にセキセイインコなどの小型インコでは、その影響をより慎重に考慮する必要があるのです。
ビタミン・ミネラルが豊富
種類によってリスク度が異なる
小型インコほど影響を受けやすい
適切な量と調理法が重要
野菜名 | 特徴 | インコへのリスク度 |
---|---|---|
小松菜 | 栄養価が高く、カルシウムも豊富 | 低~中程度 |
キャベツ | 水分量が多く、栄養価はやや低め | 中程度 |
ブロッコリー | ビタミン類が豊富 | 中程度 |
水菜 | 葉が細く、食べやすい | 低~中程度 |
芽キャベツ | ゴイトロゲン含有量が特に多い | 非常に高い |
アブラナ科野菜はすべて同じではなく、種類によってインコに与える際のリスク度が異なります。これらの違いを理解しておくことで、インコにとって安全な野菜選びができるようになります。
実際の飼育現場では、アブラナ科野菜を選ぶときは「何を選ぶか」だけでなく「どれくらい与えるか」も重要です。例えば、小松菜は比較的安全とされていますが、毎日大量に与え続けるのは避けるべきです。野菜の種類を日替わりで変えることで、特定の成分の蓄積を防ぎ、多様な栄養素を摂取できるという利点もあります。
インコの基本的な栄養ニーズ

ハリソンペレットの推奨例
インコが健康で長生きするためには、バランスの取れた栄養摂取が欠かせません。インコの食事は、主食となるシードミックスやペレットを基本に、新鮮な野菜や果物を適量加えることで、必要な栄養素をバランスよく摂取することができます。
特に注目すべきは、高品質なペレットです。ペレットは総合栄養食として開発されており、シードだけでは不足しがちなビタミンやミネラルをバランス良く含んでいます。ペレットを主食にすることでインコの栄養バランスを整えやすくなります。
主食はペレットが理想的(7~8割)
野菜は副食として適量を与える
多様な食材でバランスを取る
水分補給も重要
野菜はあくまで補助的な食材であり、食事全体の2~3割程度に抑えるのが理想的です。また、同じ野菜ばかりではなく、様々な種類の野菜をローテーションして与えることで、栄養バランスを整え、特定の成分の過剰摂取を避けることができます。
多くの飼い主がシード食からペレット食への切り替えに苦労します。インコはグルメな個体が多く、新しい食べ物への抵抗感があるからです。しかし、ペレットへの切り替えは、長期的なインコの健康のために非常に重要なステップと言えます。根気強く、少しずつシードに混ぜたり、様々な形状やブランドのペレットを試したりする工夫が必要です。
担当医にはなると言われましたが、過去の海老沢先生のツイートを見るにペレットの場合ヨードは必要ないと拝見したので…。(ラウディブッシュメインです)
ヨード過多になってしまっては逆に甲状腺腫を引き起こすと拝見したので、もし良くないのであればセカンドオピニオンを考えています。— ぴくちん (@bunbunbuncho01) June 19, 2021
おはようございます。
お忙しい中、返信をくださりありがとうございます。
疑問に思いつつヨード剤を入れていましたが、先生からのリプでその疑問が晴れ、早急にセカンドオピニオンを受ける決心がつきました。
本当にありがとうございました。
大切な家族を守れるよう、最善を尽くします。— ぴくちん (@bunbunbuncho01) June 20, 2021
ゴイトロゲンとインコの甲状腺への影響
アブラナ科野菜がインコの食事において議論の的となる主な理由は、これらの野菜に含まれる「ゴイトロゲン(Goitrogen)」という天然の化合物です。ゴイトロゲンは甲状腺によるヨウ素の取り込みを阻害する可能性があり、それによって甲状腺ホルモンの生成に影響を及ぼすことが知られています。
特にセキセイインコは、甲状腺腫(甲状腺の肥大)を発症しやすい傾向があるため、ゴイトロゲンの摂取には注意が必要です。甲状腺は、インコの代謝や成長に不可欠なホルモンを分泌する重要な器官であり、その機能不全は様々な健康問題を引き起こす可能性があります。
ゴイトロゲンはヨウ素摂取を阻害
セキセイインコは甲状腺腫になりやすい
ヨウ素不足と組み合わさるとリスク増大
症状は呼吸困難や声の変化など
豆苗は、えんどう豆の若菜です。時折イソフラボンが含まれるとの記述がありますが、豆苗には含まれていません。イソフラボンが含まれるのは大豆です。またゴイトロゲンが微量含まれますが、豆苗の摂取で鳥に甲状腺腫が発生した報告はありません。ヨードを摂取していれば、与えていて大丈夫です。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) June 24, 2020
ペレットを5割以上食べていればヨードは取れています。シードメインでしたら、ネクトンSがお勧めです。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) June 25, 2020
ゴイトロゲンの影響は、元々ヨウ素が不足している食事をしているインコにおいて、より顕著に現れる傾向があります。このことから、シード食中心かペレット食中心かによって、アブラナ科野菜のリスク許容度が変わってくる のです。
ありがとうございます😭レントゲンをしてもらった結果だったので、このままでいいのか不安でたまりません。お薬は甲状腺ホルモン剤と言ってましたが…ホルモン剤の影響なのかいつもより動きが毎日激しいです…セカンドオピニオン考えてみます。
— ちくわ (@piyo1piyo2love) July 17, 2021
特に気を付けたいのは、甲状腺腫が進行すると、肥大した甲状腺が気管を圧迫し、呼吸困難を引き起こすことがあるという点です。小さなインコの体では、わずかな変化でも大きな影響を及ぼすため、早期発見と適切な対応が重要となります。飼い主は日々のインコの様子をよく観察し、少しでも異変を感じたら鳥専門の獣医師に相談することをおすすめします。
キャベツ・小松菜・ブロッコリーなど種類別の安全性と与え方
アブラナ科に含まれる代表的な野菜は、それぞれゴイトロゲン含有量や栄養価が異なるため、種類によって適切な与え方や注意点が変わります。
小松菜:栄養価と安全な与え方
小松菜はインコにとって比較的安全なアブラナ科野菜の一つで、多くの飼い主に推奨されています。ビタミンA、C、K、カルシウム、鉄分を豊富に含み、特にビタミンAはインコの免疫力向上に貢献します。また、ほうれん草と比較してシュウ酸の含有量が少ない点も利点とされています。
ビタミンA、C、Kが豊富
カルシウム、鉄分も含有
ほうれん草よりシュウ酸が少ない
多くのインコが好んで食べる
項目 | 推奨される方法 |
---|---|
適切な量 | セキセイインコの場合、1日に小さく切ったもの1枚程度から始める |
頻度 | 他の野菜とローテーションを組むのが理想的 |
調理・準備 | よく洗い、小さく食べやすい大きさに切る。室温に戻してから与える |
保存方法 | 新鮮なものを用意し、与えた後の残りは早めに片付ける |
小松菜はアブラナ科野菜であるためゴイトロゲンを含んでいますが、その含有量は比較的少なく、適量であれば安全に与えることができます。ただし、シード食中心でヨウ素が不足しがちなインコに小松菜を大量に与えると、甲状腺腫のリスクが高まる可能性があるため注意が必要です。
小松菜はインコの食事に変化を与え、栄養を補給するのに適した野菜です。多くのインコが喜んで食べるという点も、飼い主にとっては嬉しいポイントでしょう。飼い主の間では、野菜をあまり食べないインコでも小松菜だけは進んで食べることがよくあるという声が聞かれます。
アブラナ科植物にはゴイトロゲンと言う甲状腺腫誘発物質が入っています。しかしヨードを与えていれば甲状腺腫になることは極めて稀ですので与えてもらって大丈夫です。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) June 13, 2021
シードの場合はヨードを与えないといけませんが、ペレットにはヨードが入っているので特別与えなくても大丈夫です。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) June 13, 2021
キャベツ:注意すべきポイント
キャベツはセキセイインコに与える野菜としては、一般的に推奨されていません。その理由はいくつかあります。
ゴイトロゲン含有量が多いと言われる
水分含有量が非常に高く下痢の原因に
有益な栄養素の含有量が比較的少ない
シュウ酸含有量も小松菜より多い
いつもご教示ありがとうございます。
家には文鳥がいますが、キャベツについて、近隣の鳥の先生方からは『ヨードの吸収を妨げるゴイトロゲンという成分が含まれるため、おすすめしない。与えるとしても時々にして』と言われています。
甲状腺の疾病に対する懸念からとの事ですが、大丈夫でしょうか。— JB (@akarengatei) August 31, 2021
大変お忙しい中、ご回答ありがとうございます!
ゴイトロゲンの量や有無にかかわらず、必要量のヨードを補ってやれば心配いらないという事ですね。
うちはペレット7:シード3+青菜を目安に与えているので、全体量を把握して、コントロールしていきたいと思います。m(_ _)m
— JB (@akarengatei) September 1, 2021
いわゆる成分に対する過剰反応というやつです。アメリカでも同じようなことが起こっていて、少量しか含まれない物に過剰反応する必要はないと言われています。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) September 1, 2021
多くの獣医師や専門家が、セキセイインコへのキャベツの給餌に否定的または慎重な姿勢を示しています。
ヨウ素が十分に足りている食事であれば、少量なら問題ない可能性も示唆されていますが、一般的なコンセンサスとしては、避けるか、ごく少量に限定すべきとされる意見が多く見受けられます。
ブロッコリー:適切な与え方と調理法
ブロッコリーはアブラナ科野菜の中では、キャベツほど強い警告はされていませんが、やはりゴイトロゲンを含むため、適切な与え方が重要です。
緑黄色野菜として栄養価あり
適量なら安全性は比較的高い
加熱するとゴイトロゲンの活性が大幅低下
ブロッコリーに対する評価は専門家の間でもやや分かれる傾向にあり、「賛否両論あるが問題ないようだ」との見方もあります。ゴイトロゲンを含むことは認識されつつも、「適量であれば問題ない」とされることが多いようです。
飼育者の間では、ブロッコリーを好むインコは比較的多いようです。しかし、好むからといって大量に与えることは避け、少なめの頻度で他の野菜とバランスよくローテーションすることが大切です。また、ブロッコリーの茎は固いので、小さく細かく切るか、外側の硬い部分を取り除いてから与えるとよいでしょう。
ブロッコリーに関しては、世界的に賛否両論です。ブロッコリーにはゴイトロゲンが含まれており、セキセイインコにおける集団発生例が報告されています。そのため与えない方が良いと言われています。食べ過ぎずヨードを与えていれば甲状腺腫の発生は低いと思いますが、種差と個体差があると思います。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) September 18, 2020
水菜とその他の比較的安全な葉物野菜
水菜はアブラナ科野菜の中でも比較的安全とされており、多くの獣医師や専門家によって推奨されています。細長い葉が特徴で、インコが食べやすいという利点もあります。
栄養価が高く、軽い食感
ゴイトロゲン含有量は比較的少ない
洗って生のまま与えられる
多くのインコが好む
野菜名 | アブラナ科かどうか | 特徴と与え方 |
---|---|---|
チンゲン菜 | アブラナ科 | 比較的安全。よく洗って小さく切る |
豆苗 | アブラナ科ではない | 栄養価が高く、軽い食感で食べやすい |
サラダ菜・リーフレタス | アブラナ科ではない | 水分補給になるが栄養価はやや低め |
春菊 | アブラナ科ではない | 香りがあるが栄養価が高い。少量から試す |
これらの野菜をローテーションして与えることで、特定の成分(例えばゴイトロゲン)の過剰摂取リスクを最小限に抑えつつ、栄養バランスを整えることができます。多くの専門家が野菜のローテーションを推奨していることからも、この多様性の原則がいかに重要であるかがわかります。
また、非アブラナ科の野菜を組み合わせることで、より安全な食事を提供できます。例えば、パプリカや人参などのカラフルな野菜は、インコの視覚的な興味も引きつけやすく、食事の多様性を高める良い選択肢となります。
アブラナ科野菜のゴイトロゲンを減らすには
アブラナ科野菜をインコに与える際は、適切な調理と与え方が重要です。ゴイトロゲンを減らす方法や適量、多様性の確保など安全な与え方のコツを紹介します。
洗浄・裁断・加熱の効果
アブラナ科野菜をインコに与える前の適切な調理は、安全性を高めるために重要です。
洗浄で農薬や汚れを除去
適切な大きさに切ることで食べやすく
加熱でゴイトロゲンを失活させる
冷蔵庫から出したものは室温に戻す
調理方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
流水での十分な洗浄 | 農薬や汚れを落とせる | 栄養価・ゴイトロゲンに変化なし |
2~3cmに裁断 | インコが食べやすくなる | 栄養価・ゴイトロゲンに変化なし |
茹でる(湯通し) | ゴイトロゲン酵素を変性させる | 水溶性ビタミンが失われる |
蒸す | 茹でるよりビタミン損失少なめ | 茹でるよりゴイトロゲン残存率高め |
加熱(茹でる・蒸す)は、アブラナ科野菜に含まれるゴイトロゲンの含有量を減らす効果が期待できます。ただし加熱の効果は万能ではなく、水溶性のビタミン類の一部が失われる というデメリットもあります。
そのため、リスクの低い野菜は生のまま与え、リスクの高い野菜は加熱するか、そもそも避ける という選択肢もあります。
適量と多様性:バランスの良い食事のために
アブラナ科野菜を含め、インコに野菜を与える際の最も重要な原則は「適量」と「多様性」です。
野菜は食事全体の2~3割程度に
様々な種類をローテーションする
アブラナ科とそれ以外をバランスよく
主食(ペレット)を基本に据える
食材カテゴリー | 推奨される割合 | 具体例 |
---|---|---|
主食(ペレット) | 70%~ | 高品質な市販ペレット |
シード類 | 10~20% | ヒエ、アワ、キビなど |
野菜類 | 15~20% | 小松菜、水菜、ニンジン、パプリカなど |
果物類 | 5~10% | リンゴ、ベリー類(少量)など |
その他 | 0~5% | おやつ、栄養補助食品など |
たとえ「体に良い」とされる野菜であっても、与えすぎは禁物です。この「適量」の原則は、繰り返し強調されるべき重要なポイントです。野菜はあくまでバランスの取れた主食(ペレットや適切に栄養強化されたシード)を補うもの であり、食事の主成分ではありません。
また、同じ種類の野菜ばかりではなく、様々な種類の野菜(アブラナ科野菜とそれ以外の野菜の両方)をローテーションして与えることで、幅広い栄養素を摂取させるとともに、特定の化合物(例えばゴイトロゲン)の過剰な蓄積リスクを最小限に抑えることができます。
飼い主の間では、特定の野菜しか食べないインコへの対応に悩むケースがあります。実際の経験から言えば、食べやすい大きさに切ったり、他の好きな食べ物と混ぜたりするなど、少しずつ工夫して多様な食材に慣らしていくことが大切です。例えば、好きな野菜と新しい野菜を並べて置いてみる、細かく刻んで混ぜる、インコが興味を持ちそうな形状にカットするなどの方法が有効です。
ヨウ素の補給法
インコにとって特に重要な栄養素であるヨウ素について、その補給方法を見ていきましょう。
ヨウ素はゴイトロゲンの影響を軽減
高品質ペレットには通常ヨウ素含有
サプリメントは過剰摂取に注意
ヨード不足は必ずしも甲状腺腫を起こすわけではなく、甲状腺機能低下症を起こしてホルモンの分泌が下がります。甲状腺ホルモンは、細胞の代謝率を上げる働きを持ちます。そのため不足すると肥満や高脂血症を起こします。またヨードの過剰摂取は甲状腺へのヨードの取り込みが下がるので注意しましょう。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) September 30, 2020
ペレットでしたら過剰になることはありません。ネクトンは用法を守っていれば、毎日与えても問題ありません。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) October 1, 2020
ヨウ素は甲状腺ホルモンの合成に不可欠なミネラルで、アブラナ科野菜に含まれるゴイトロゲンの影響を軽減するために特に重要です。
軽度の甲状腺腫であれば、ヨウ素を適切に補給することで改善が期待できますが、ヨウ素は不足しても過剰に摂取しても甲状腺腫を引き起こす可能性 があります。このバランスを理解することが、ヨウ素補給を安全に行うための鍵となります。
ネクトンSは、鳥類用に開発された水溶性の粉末総合栄養補助食品で、ヨウ素を含む多くのビタミンやミネラルをバランス良く含んでいます。特にシード食中心のインコには有用ですが、ペレットを主食としている場合は、ペレット自体に十分な栄養素が添加されているため、使用量を控えめにするべきです。
飼育者からの質問で多いのが、ネクトンSの使用方法に関するものです。ネクトンSはシード中心の食事をしているインコのビタミン・ミネラル補給や、特に換羽期・繁殖期などのストレス時期の栄養サポートに有効です。飲水250mlに対し付属スプーンすりきり1杯(約1g)を目安に使用し、毎日新しいものに交換することをおすすめします。
よくある質問と回答
インコにアブラナ科野菜を与える際によく寄せられる質問にお答えします。
セキセイインコに小松菜を毎日与えても大丈夫ですか?
小松菜はアブラナ科野菜の中では比較的安全と言われていますが、毎日大量に与え続けるのは避けた方が良いでしょう。小松菜にもゴイトロゲンが含まれているため、適量を守り、他の野菜とローテーションすることをおすすめします。
小松菜だけでなく、アブラナ科ではない野菜(パプリカやニンジンなど)も取り入れて、バラエティに富んだ食事にしましょう。
小松菜は栄養価が高く、多くのインコが好んで食べる野菜ですが、「良いものだから」と言って与えすぎるのは禁物です。適量と多様性を心がけることが、インコの健康を守るポイントです。
飼い主の中には、インコが小松菜を特に好んで食べるため、毎日与えたいと考える方もいます。しかし、食事の多様性を確保することは、単一の野菜に含まれる特定の成分(この場合はゴイトロゲン)の蓄積を防ぐだけでなく、より幅広い栄養素を摂取する機会を提供するという点でも重要です。
また、インコは同じ食べ物ばかりでは飽きてしまう傾向があります。日替わりで異なる野菜を提供することで、食事に対する興味と好奇心を維持し、結果として栄養摂取のバリエーションを広げることができるでしょう。
甲状腺腫の症状は?
呼吸器症状
– ゼーゼー、ヒューヒュー、プチプチといった異常な呼吸音
– 努力性の呼吸(開口呼吸)
– 声の変化
– これらの症状は、特に夜間や部屋を暗くした際に悪化する傾向があります。
消化器症状
– 食後に食べたものを吐き戻す行動が見られることがあります。
全身症状
– 元気消失
– 羽毛の質の低下(羽が抜けたり、ボロボロになったりする)
– 食欲はあるのに体重が減少する
特に呼吸器症状に注意することが大切です。インコの呼吸は通常、穏やかでほとんど気づかないほどですが、甲状腺腫が進行すると、息をするたびに尾が上下に動いたり、口を開けて呼吸したりするなど、明らかな努力性呼吸が見られるようになります。
また、甲状腺腫は重症化してからでは治療が間に合わないこともあり、突然死に至るケースも報告されています。定期的な獣医師への健康診断も、早期発見のために役立ちます。
レントゲン検査をせずに甲状腺腫と診断して甲状腺ホルモン剤を投与するのは危険です。…
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) February 3, 2025
ヨウ素が不足しないようにするには?
高品質なペレットを主食にする
多くの市販ペレットにはヨウ素が添加されています。総合栄養食としてのペレットを主食(食事の60~70%程度)にすることで、ヨウ素を含む必要な栄養素をバランスよく摂取できます。


ネクトンSなどのサプリメントを適切に使用する
シード食中心の場合は特に、ネクトンSのような栄養補助食品が役立ちます。ネクトンSは水溶性の粉末総合栄養補助食品で、ヨウ素を含んでいます。
アブラナ科野菜の与えすぎに注意する
ゴイトロゲンを含むアブラナ科野菜の過剰摂取はヨウ素の利用を阻害するため、適量に留めましょう。
ネクトンsの必要性
ネクトンSは必要かどうかは、インコの基本的な食事内容によって異なります。
シード食中心の場合…ネクトンSなどのサプリメントは有用で、ヨウ素を含む多くの栄養素を補給できます。
ペレット食中心の場合…ペレット自体に十分な栄養素(ヨウ素含む)が添加されているため、ネクトンSのような総合サプリメントの追加は不要であるか、あるいは過剰摂取を避けるために慎重に使用する必要があります。
重要なのは、ヨウ素は不足しても過剰に摂取しても甲状腺に問題を引き起こす可能性 があるということです。「体に良いものだから多めに」という考え方はヨウ素に関しては通用せず、むしろ危険を伴う可能性があります。
ネクトンSについて飼い主の間からは、「毎日必要?」「どのくらいの量が適切?」という質問がよく寄せられますが、使用頻度や量は、インコの年齢、健康状態、主食の種類によって調整すべきです。
アブラナ科野菜とインコの健康:バランスの取れた食事で長生きを【総括】
アブラナ科野菜はインコの食事に変化と栄養をもたらしますが、適切な量と多様性 が鍵です。ペレットを基本に据え、野菜はバランス良く与えることで、愛鳥の健康を守りましょう。
アブラナ科野菜には栄養素とゴイトロゲンの両方が含まれる
セキセイインコは甲状腺腫になりやすいため注意が必要
適量を守り、多様な野菜をローテーションすることが重要
加熱調理によりゴイトロゲンを減らすことが可能
高品質なペレットを主食とすることでバランスの良い栄養摂取を
シード食中心の場合はヨウ素不足に注意
甲状腺腫の症状には呼吸困難や羽毛の質低下などがある
健康に不安がある場合は鳥専門の獣医師に相談を
ネクトンSはシード食中心の場合に有効
栄養素の過剰摂取も避けるべき
インコに与える野菜を選ぶとき、「これは安全?」「どれくらい与えていい?」と迷うことも多いでしょう。アブラナ科野菜については特に議論が分かれることもありますが、適量と多様性の原則を守ることで、リスクを最小限に抑えつつ、その栄養価を活かすことができます。
日々の食事管理は、インコの健康と長寿のために最も重要な取り組みの一つです。高品質なペレットを主食として、様々な野菜や果物を適量加えることで、バランスの取れた食事を実現しましょう。そして何か気になる症状があれば、早めに鳥専門の獣医師に相談することをおすすめします。