セキセイインコがペレットでオエオエする原因【なぜ詰まるのか】

セキセイインコがペレットを食べる時にオエオエとえずくような仕草を見せるのは、ペレットが喉やそのうに引っかかっているサインです。インコは本来シードを食べる生き物ですが、ペレットはシードと物理的な性質が大きく異なるため、うまく飲み込めずに苦しむことがあります。
インコの食べ方の特性|本来は殻をむいて砕く習性

引用元:インコのための最高のお世話
セキセイインコは本来、くちばしで種子の殻を剥き、細かく砕いてから飲み込みます。飲み込んだ餌は「そのう」という器官に一時的に貯蔵され、そこで水分を含んで柔らかくなってから胃へと送られます。野生では捕食者から身を守るため、素早く食事を済ませて「そのう」に溜め込む習性があります。そのため、早食いになりがちな個体も多いです。
しかし、ペレットはシードの殻よりも硬く圧縮されているため、うまく砕くことができません。そのため、砕ききれない大きな塊のまま飲み込もうとして、喉やそのうの入り口で詰まってしまい、オエオエとえずく仕草につながります。これは習性というよりも、ペレットの硬さに対応できていない状態と言えます。
ペレットとシードの物理的な違い

ペレットとシードでは、以下のような物理的な違いがあります。
- シード(中身)は自然な形状で喉を通りやすい
- ペレットは重くて表面がザラザラしているため、喉に引っかかりやすい
- ペレットは水分を吸収して膨張するため、飲み込んだ後にさらに詰まりやすくなる
- ペレットは崩れにくいため、そのう内で柔らかくなるまでに時間がかかる
特に、セキセイインコ用として販売されているペレットでも、個体によってはサイズが大きすぎることがあります。体格の小さいセキセイインコや、早食いの癖がある個体では、小粒サイズのペレットでもオエオエすることがあります。
早食い・水で流し込む癖も原因に
オエオエする原因として、インコの食べ方の癖も関係しています。特に以下のような食べ方をする個体は、ペレットが詰まりやすい傾向があります。
- ガツガツと早食いする
- 水を飲みながらペレットを流し込む
- ペレットをほとんど砕かずに飲み込む
- 一度に大量のペレットを口に入れる
これらの食べ方をしているインコは、ペレットを砕いてあげることで、オエオエする頻度を大幅に減らすことができます。
ペレットでオエオエするのは危険?窒息リスクの真実

ペレットでオエオエする仕草を見ると、「窒息するのでは?」と心配になる飼い主さんも多いでしょう。実際のリスクと、正常な吐き戻しとの違いを正しく理解することが大切です。
獣医師の見解|実際の死亡例について
こちらはペレットをウグウグしながら食べるセキセイインコです。ペレットの丸飲みや食べる速度が速い時にこの行動が見られます。ペレットは水分を吸収するため食道の通過が遅くなります。これは飲み込もうとしている行動で吐き気ではありません。しかし食道で塊ができるとそれを吐くことがあります。 pic.twitter.com/aMns2GvKve
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) April 19, 2022
鳥専門の獣医師である海老沢和荘先生は、ペレットの嚥下困難について、ペレットは水分を吸収するため食道の通過が遅くなること、これは飲み込もうとしている行動で吐き気ではないことを指摘しています。また、臨床上、ペレットが詰まって窒息死したケースは聞いたことがないとのことです(2022年4月23日投稿のX)。
ただし、海老沢先生も「人のお餅と同じで、問題があるかないかで答えられない」と述べています。つまり、窒息のリスクはゼロではないものの、実際の死亡例は極めて稀ということです。
とはいえ、オエオエする仕草が頻繁に見られる状態は、インコにとって明らかに不快でストレスがかかっています。窒息の心配がなくても、快適に食事ができるよう、ペレットを砕いて与えることをおすすめします。
正常な吐き戻しとオエオエの見分け方
ペレットでオエオエする仕草と、発情期の正常な吐き戻しは、見た目が似ているため混同されることがあります。以下の表で両者の違いを確認してください。
病院に行くべきサイン
以下のような症状が見られる場合は、単なるペレットの詰まりではなく、病気の可能性があります。すぐに鳥を診察できる動物病院を受診してください。
- オエオエが30分以上続く
- ペレットを食べていない時もオエオエする
- 首を左右に激しく振りながら吐く(そのう炎の可能性)
- 食欲がない、または体重が減少している
- フンの状態が異常(下痢、緑色の絶食便など)
- 羽を膨らませてじっとしている
そのう炎やメガバクテリア症などの消化器系の病気でも、オエオエする仕草が見られることがあります。ペレットを砕いてもオエオエが改善しない場合は、病気を疑って獣医師に相談しましょう。
なお、セキセイインコのメガバクテリア症の症状と治療については、別記事で詳しく解説しています。
ペレットを砕く具体的な方法【4つの実践テクニック】

ペレットでオエオエするインコには、ペレットを砕いて与えることが最も効果的な対策です。ここでは、自宅で簡単にできる4つの方法を、メリット・デメリットとともに詳しく解説します。
方法1|電動ミル・手動ミルを使う

電動ミルや手動ミル(コーヒーミル、ペッパーミルなど)を使えば、短時間で均一にペレットを粉砕できます。粒の大きさを調整できるタイプもあるので、インコの好みに合わせて細かさを変えられるのが最大のメリットです。
メリット
- 短時間で大量のペレットを砕ける
- 粒の大きさを調整できる(ミルの種類による)
- 均一な大きさに仕上がる
デメリット
- 電動ミルは音が大きく、インコが怖がる可能性がある
- ペレットの油分でミルが汚れやすい
使い方のコツ
一週間分のペレットをまとめて砕いて、密閉容器で冷蔵保存しておくと便利です。ただし、砕いたペレットは酸化しやすいので、冷蔵保存の場合は1週間以内に使い切りましょう。より長期保存したい場合は、小分けにして冷凍庫で保存し、1ヶ月以内に使い切ってください。ハリソンペレットなど無添加のペレットを使用している場合は、特に冷蔵庫または冷凍庫での保存が必須です。
ハリソンペレットの保存方法については、別記事で詳しく解説しています。
方法2|すりこぎ・すり鉢を使う

すりこぎとすり鉢を使う方法は、昔ながらの手作業ですが、確実にペレットを砕くことができます。
メリット
- 音が静かなので、インコが怖がらない
- 力加減で粒の大きさを調整できる
- 特別な道具を買う必要がない(家にあるもので対応可能)
デメリット
- 時間と労力がかかる
- ペレットのかけらが飛び散ることがある
- 大量のペレットを砕くには不向き
使い方のコツ
すり鉢にペレットを入れ、円を描くようにすりこぎで押しつぶします。一度に砕く量は小さじ1〜2杯程度にすると、効率よく作業できます。すり鉢の溝にペレットの粉が詰まりやすいので、使用後はしっかり洗浄しましょう。
方法3|ジップロック+めん棒で叩く
ジップロックにペレットを入れて、めん棒で叩いて砕く方法は、最も手軽で道具も揃えやすい方法です。特別な器具を買う必要がないので、今日からすぐに実践できます。
メリット
- 特別な道具が不要(どの家庭にもあるもので対応可能)
- ペレットが飛び散らない
- そのまま保存できる
デメリット
- 叩く音がやや大きい
- 均一な大きさにするのが難しい
- 大量のペレットを砕くには不向き
使い方のコツ
ジップロックの空気をしっかり抜いてから、めん棒で均等に叩きます。叩く力が強すぎると、ペレットが粉々になりすぎて、かえって食べにくくなることがあるので注意が必要です。セキセイインコには、米粒大〜半分程度の大きさが食べやすいサイズです。
方法4|マッシュタイプペレットを活用する

砕く手間を省きたい方には、最初から粉末状になっている「マッシュタイプ」のペレットがおすすめです。代表的なものは、ハリソンペレットの「マッシュ」です。
メリット
- 砕く手間が一切不要
- シードにふりかけて与えられる
- 水で練って挿し餌にも使える
- オエオエする心配がない
デメリット
- 粒状のペレットより割高
- 食べる楽しみが少ない(噛む行動が減る)
使い方のコツ
マッシュタイプは、そのまま与えるだけでなく、通常のペレットに混ぜて与えることもできます。粒状のペレットに少しずつマッシュを混ぜることで、ペレットの味に慣れさせる「ペレット切り替え」にも有効です。


ハリソンマッシュの与え方と活用法については、別記事で詳しく解説しています。ハリソンペレット全般について知りたい方は、ハリソンペレット完全ガイドもご覧ください。
4つの方法の比較表
砕いたペレットの保存方法
砕いたペレットは、粒状のペレットよりも酸化しやすいため、適切に保存することが重要です。
- 密閉容器に入れて冷蔵庫保存(1週間以内に使い切る)
- 長期保存する場合は冷凍庫(1ヶ月以内に使い切る)
- 小分けにして保存すると、使う時に便利
- 乾燥剤を一緒に入れると湿気を防げる
特に、ハリソンペレットのような無添加・オーガニックペレットは、保存料が入っていないため、砕いた後は早めに使い切ることが大切です。
その他のオエオエ対策【補助的な方法】

ペレットを砕く以外にも、オエオエを減らすための補助的な対策があります。ただし、これらは「ペレットを砕く」ことに比べると効果は限定的なので、メインの対策としてではなく、組み合わせて使うことをおすすめします。
- 小分け給餌でゆっくり食べさせる:1日の食事を2〜3回に分けることで早食いを防げます。詳しくはインコのペレット割合と栄養バランスをご覧ください。
- 適切なペレットサイズを選ぶ:直径3〜5mm程度の小粒が適していますが、オエオエする場合は砕くのが最も効果的です。ペレット選びはセキセイインコペレットおすすめ7選で比較しています。
- 十分な水分補給の環境を整える:新鮮な水を常に用意しておくことは大切ですが、ペレットを水で流し込む食べ方はNGです。インコが自分のタイミングで水を飲めるようにしましょう。
- フォージングで食事時間を延ばす:餌箱にビー玉を入れたり、専用トイを使うことで早食いを防げます。
病院のセキセイインコ、らおうちゃんのフォージング挑戦動画です。難易度が大分上がってますが、難なくクリア! pic.twitter.com/PhsjPIkUIF
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) May 28, 2020
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よくある質問

セキセイインコのオエオエはペレットを砕けば解決できる【総括】

セキセイインコがペレットでオエオエする原因は、ペレットの硬さと大きさにあります。インコは本来、種子を砕いて食べる生き物ですが、圧縮されたペレットはうまく砕けず、喉やそのうに詰まってしまいます。
オエオエ対策の5つのポイント
- ペレットを砕く:電動ミル、すりこぎ、ジップロック+めん棒、マッシュタイプなど、自宅で簡単にできる方法がある
- 適切なサイズに:米粒大〜半分程度の大きさが食べやすく、オエオエしにくい
- 保存方法に注意:砕いたペレットは酸化しやすいため、冷蔵庫で1週間以内、冷凍庫で1ヶ月以内に使い切る
- 補助的な対策:小分け給餌、フォージング、適切な水分補給の環境を整えることも効果的
- 病院に行くべきサイン:30分以上のオエオエ、食欲不振、フンの異常などが見られたら獣医師に相談
この問題の解決策は明確です。ペレットを砕いて与えることで、オエオエする頻度は大幅に減少します。電動ミル、すりこぎ、ジップロック+めん棒など、ご家庭にある道具で簡単に対応できます。また、マッシュタイプのペレットなら、砕く手間も不要です。
オエオエする仕草を見かけたら、まずはペレットを砕いて与えることから始めてみてください。ペレットへの切り替え方法については、インコのペレット切り替え成功ガイドもあわせてご覧ください。
参考文献・出典
本記事は、以下の信頼できる情報源を参考に作成しました。正確性と信頼性を確保するため、公式情報、実体験、および専門家の知見を組み合わせています。
獣医師の見解
- 海老沢和荘先生(鳥専門獣医師):X(旧Twitter)投稿より
- セキセイインコの消化器系に関する獣医学的知見
専門書籍
- インコのための最高のお世話:インコの食性と消化器官に関する記述
飼育経験者の実体験
- セキセイインコ飼育者コミュニティ:ペレットでのオエオエ対策の実践報告
- 当サイト運営者による30年以上の飼育経験
関連記事(当サイト内)
※本記事の情報は2025年11月時点のものです。ペレットの製品仕様や保存方法は変更される可能性がありますので、購入前に公式サイトや販売店の最新情報をご確認ください。
記事監修者情報
名前: 山木
経歴: フィンチ・インコ・オウム・家禽の飼育経験を持つ、飼い鳥歴30年以上の愛鳥家。オカメインコブリーダー。愛玩動物飼養管理士。現在はセキセイインコとオカメインコを中心とした小型〜中型インコ専門サイト「ハッピーインコライフ」を運営。科学的根拠と愛情に基づいた実体験を発信し、一羽でも多くのインコとその飼い主が幸せな毎日を送れるようサポートします。










































