発情抑制ペレットの選び方|低脂肪がカギとなる理由

インコの発情過多は、卵詰まりや肝疾患など命に関わるリスクを伴います。これを防ぐための食事管理において、最も重要なのが「低脂肪・低カロリー」なペレットを選ぶことです。
なぜ「低脂肪」が発情抑制に効くのか?
野生のインコは、食べ物が豊富で栄養価が高い時期を「繁殖期」と認識します。つまり、脂肪分たっぷりの食事を与え続けることは、愛鳥に「今は繁殖に最適な時期だよ!」という誤ったメッセージを送り続けているのと同じなのです。
- 高脂肪食(シードなど)は発情スイッチをONにする
- 低脂肪ペレットは「今は繁殖期ではない(維持期)」という信号を送る
- シードの選り好みを防ぎ、栄養バランスを整えてホルモンを安定させる
失敗しない選択基準:粗脂肪6%以下を目安に
パッケージの成分表を確認し、以下の基準で選ぶことが成功への近道です。
特に注意したいのが「ハイポテンシー」や「ハイエナジー」と書かれた商品です。これらは換羽期や病後の回復には最適ですが、健康な成鳥に常食させると発情や肥満の原因になります。
発情抑制に最適!おすすめ低脂肪ペレット比較

数あるペレットの中から、発情抑制に特に効果的な「低脂肪」ブランドを厳選しました。迷ったらまずはこの中から試してみてください。
※成分値は各メーカーの保証分析値(min/最小値)を参照しています。
【海外製】ラウディブッシュ デイリーメンテナンス

食いつきの良さと入手のしやすさで人気の定番ブランドです。「デイリーメンテナンス」は脂肪分6.0%(保証値)と低く抑えられており、発情対策の第一選択肢として非常におすすめです。
さらに脂肪分を抑えたい場合は、同ブランドの「ローファット(低脂肪)」という選択肢もありますが、まずは入手しやすいデイリーメンテナンスから試してみるのが良いでしょう。
ここがポイント!
- 脂肪分約6.0%で体重管理に最適
- 独特の「サクサク食感」で切り替え成功率が高い
- サイズ展開が豊富(セキセイならニブルズかミニ)
【国産】黒瀬ペットフード NEOシリーズ

「海外製は粒が大きすぎる」「入手が不安定で不安」という方には、国産の黒瀬NEOシリーズが最強の味方です。粗脂肪3.0%前後という驚異的な低脂肪設計は、発情抑制において大きなアドバンテージとなります。
セキセイインコでも食べやすい「超小粒」サイズがあるのが嬉しいポイントです。
【最高品質】ハリソン アダルトライフタイム

via:アダルトライフタイム ファイン
動物病院で最も推奨される、世界最高峰のオーガニックペレットです。保存料・着色料完全不使用で、脂肪分は6%に抑えられています。
「とにかく体に良いものをあげたい」「添加物が気になる」という方は迷わずハリソンを選びましょう。

【コスパ】ズプリーム ナチュラル

多頭飼いの方や、コストパフォーマンスを重視する方におすすめ。無着色のナチュラルタイプは脂肪分4.0%と非常に低く、発情抑制に最適です。
ほんのり野菜の香りがして嗜好性も悪くありません。フルーツブレンドから切り替える場合は、混ぜて与えることでスムーズに移行できます。
食事制限の成功率を上げる「与え方」のコツ

良いペレットを選んでも、与え方が間違っていては効果半減です。発情をピタリと止めるための、プロ直伝の運用ルールをご紹介します。
給餌量は「体重の10%」を厳守する
発情しているインコにとって、「いつでもお腹いっぱい食べられる」環境は毒です。心を鬼にして、1日の総餌量を体重の10%(セキセイなら3~4g程度)に制限しましょう。
- 目分量は絶対NG!0.1g単位のスケールで毎日計量する
- 朝と夕方の2回に分けて与え、空腹時間をあえて作る
- 毎朝、フンをする前の体重を記録し、急激な減少がないかチェックする
最初は可哀想に見えるかもしれませんが、これが愛鳥の命を守ることにつながります。


「朝ペレット・夕シード」で賢く切り替える
いきなりペレット100%にすると、頑固な子はハンガーストライキを起こします。おすすめは、お腹が空いている朝一番にペレットだけを入れ、夕方に少しのシードを与える方法です。
この方法なら、「お腹が空いたから仕方なくペレットを食べる」という状況を作りつつ、夕方のシードで最低限の栄養と楽しみを確保できます。ペレットを食べない場合の切り替え方法については、別記事で詳しく解説しています。
食事制限だけじゃない!「フォージング」で発情を強制終了

低脂肪ペレットに変えても発情が収まらない…。そんな時の切り札が「フォージング(採餌行動)」の導入です。
実は、暇な時間が長いほどインコは発情しやすくなります。野生のインコは1日の大半をご飯探しに費やしていますが、飼い鳥は餌皿から数分で食べ終わってしまいます。この「余った時間とエネルギー」が、発情へと向かってしまうのです。
「食べるのを難しくする」だけで発情は止まる

フォージングトイを使って「ご飯を食べるのに苦労する」環境を作ると、インコは「今はのんびり繁殖している場合じゃない!生きるのに必死だ!」と勘違いしてくれます。これが自然な発情抑制につながるのです。
- 食事時間が長くなり、退屈な時間が減る
- 頭を使って工夫することで、心地よい疲労感が得られる
- 早食いを防止し、満腹感を持続させる
らおうちゃんのフォージングスピンチャレンジ👊
回すとエサが出ることにすぐに気づきました❗️https://t.co/vibkPmb3zf pic.twitter.com/DipHf74tZD
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) June 27, 2020
病院のセキセイインコ、らおうちゃんのフォージング挑戦動画です。難易度が大分上がってますが、難なくクリア! pic.twitter.com/PhsjPIkUIF
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) May 28, 2020
初心者におすすめのフォージンググッズ

家にあるもので作ったフォージングトイで遊ぶオカメインコ
まずは簡単なものから始めましょう。転がすと少しずつペレットが出るボールや、紙を破らないと中身が出せないおもちゃなどがおすすめです。
低脂肪ペレットとフォージングトイを組み合わせることで、「カロリーは低いのに、食べる満足感は高い」という、発情抑制に理想的な環境が完成します。
らおうちゃんのフォージングボールチャレンジ
パワーがあり過ぎた。お皿をもっと大きくしないとね。 pic.twitter.com/CK0KWcgoFn— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) May 31, 2020
らおうちゃんのフォージングチャレンジ。このフォージングトイも難なくクリアしました!https://t.co/oX1kKYSduh pic.twitter.com/ntP1TMtvQ1
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) November 13, 2020
※以下はフォージングトイの一例です。愛鳥のサイズ(小型・中型)に合ったものを選んであげてください。
|
|
|
|
発情対策のペレットに関するよくある質問
食事と遊びの工夫で、愛鳥を「発情の苦しみ」から救おう【総括】

インコの発情抑制は、愛鳥の命を守るための待ったなしの課題です。かわいそうだからと高カロリーな食事を与え続けることは、卵詰まりや腫瘍などのリスクを高め、結果的に愛鳥を苦しめることになってしまいます。
成功の鍵は、「粗脂肪6%以下の低脂肪ペレット」への切り替えと、「フォージング」による退屈な時間の解消の2点です。ラウディブッシュのメンテナンスや黒瀬NEOシリーズなど、良質な低脂肪フードを活用し、まずは食事の「質」を見直しましょう。そして、フォージングトイを使って「食べる楽しみ」と「心地よい疲労感」を与えることで、無理なく自然に発情をコントロールすることができます。
最初は食べてくれないこともあるかもしれませんが、諦めずに少しずつ慣らしていってください。あなたのその努力が、愛鳥の健康で長い一生を支える土台となります。






































































