住環境の地震対策|ケージ固定と安全確保

地震対策の基本は、まず物理的に「ケージを倒さない」「落とさない」ことです。インコのケージは重心が高く不安定なため、震度4程度の揺れでも転倒する危険があります。
ケージの転倒・落下防止策
ケージを置いているラックや台の固定は必須です。その上で、ケージ自体が滑り落ちないよう対策を施しましょう。耐震ジェルなどは100円ショップでも入手可能です。
- 耐震ジェルの設置: ケージの四隅やラックの脚に設置。100均の「防振マット」でも代用可。
- 置き場所の再確認: 窓ガラスの近くや、背の高い家具の横は避ける(ガラス飛散防止フィルムを貼る)
- メタルラックの場合: 専用の「落下防止柵」を取り付ける(後述)
メタルラックユーザー必須!「サポート柵」のすすめ
インコの飼育にメタルラック(スチールラック)を使用している方も多いでしょう。メタルラックは便利ですが、棚板が滑りやすく、地震の揺れでケージがそのまま滑り落ちてしまうリスクが高いです。
そこで強く推奨するのが、メーカー純正の「サポート柵(ガイド)」です。
お使いのラックのポール径(19mmや25mm)に合ったサイズを選び、ケージを置いている棚の手前や左右に取り付けてください。これだけで安全性が格段に向上します。
※メーカーによって規格が微妙に異なるため、お使いのラックと同じメーカーの純正パーツを選ぶことをおすすめします。

アクリルケースとケージの安全性
保温や防音に便利なアクリルケースですが、地震時には「密閉」がリスクになることもあります。また、ケージ選びも防災の観点からは重要です。
夜間のパニック対策(IoT)|最新技術で見守る

夜中に地震が起きたとき、飼い主がすぐに駆けつけられるとは限りません。暗闇の中で驚いたインコがケージ内で暴れまわる「オカメパニック」は、翼の骨折や大量出血につながる危険な事故です。
人間より速い「自動あやし」システム
近年注目されているのが、スマートホーム機器「SwitchBot」を活用した対策です。人感センサーが「鳥が暴れる動き」を感知し、自動で部屋の明かりをつけ、飼い主の声を再生してインコを落ち着かせます。
このシステムは、外出中の見守りにも応用できます。「もしも」の備えとして、今最も推奨される対策の一つです。
留守中も安心!見守りカメラ活用術
外出中や就寝中にも、愛鳥の様子を確認できる見守りカメラは防災対策の必需品です。地震発生時の安否確認はもちろん、普段からインコの異変に気づくことができます。SwitchBotシステムと連携すれば、遠隔での環境コントロールも可能になります。
避難の準備(グッズ)|いざという時の逃走防止

自宅が被災した場合、インコを連れて避難所へ移動する可能性があります。その際、普段使っている大きなケージを持っていくのは現実的ではありません。
避難所生活のリアルと「同行避難」の注意点
まず言葉の定義ですが、「同行避難」はペットと一緒に避難所まで逃げること、「同伴避難」は避難所でペットと同じ空間で過ごすことです。
多くの避難所では「同伴避難(同室)」は認められていません。たとえ受け入れOKでも、小鳥は犬や猫と同じスペースになることが多く、捕食動物の気配や鳴き声で強いストレスを受けます。
⚠️ 避難所での注意点
- 環境ストレス: 不特定多数の人、ペットの鳴き声、臭い
- 周囲への配慮: 鳥アレルギーの人や、鳴き声・脂粉への苦情
- 放鳥禁止: ストレスが溜まっても、カゴから出すことは厳禁
自宅が倒壊していない場合は「在宅避難」が、愛鳥にとっては最も安全でストレスの少ない選択肢となります。しかし、万が一に備えて「いつでも移動できる準備」は必須です。
防災リュックの優先順位リスト

避難時に持ち出すものは、優先順位をつけて準備しておきましょう。以下のリストを参考に、インコ用の防災セットを作っておくことをおすすめします。
避難用キャリーとリュック

避難用キャリーは、両手が空くリュック型に入れるのが基本です。普段の通院や日光浴で使い慣らしておき、インコにとって「怖い場所」ではなく「安心できる場所」にしておくことが、スムーズな避難の鍵となります。
詳しくは:インコ用キャリーケースおすすめ8選|通院・避難に最適な選び方
もし逃がしてしまったら
地震の混乱で窓が開いていたり、キャリーに移す際にパニックになって逃がしてしまうケースも少なくありません。迷子対策は「逃がさない」ことが一番ですが、万が一の時の対応も知っておく必要があります。
【重要】いざという時、スッと入ってもらうための「避難訓練」

「防災グッズは完璧!」と思っていても、いざという時にインコがキャリーに入ってくれなければ意味がありません。普段キャリーを見慣れていないインコは、緊急時にパニックになり、捕まえることすら困難になります。
キャリーを「楽しい場所」にする克服作戦
インコがキャリーを嫌がるのは「キャリーに入る=病院(嫌なこと)」という図式ができているからです。これを「キャリー=楽しいこと」に上書きする必要があります。
👇 今日からできる「キャリー慣らし」ステップ 👇
- STEP 1:見慣れてもらう
部屋の目立つ場所にキャリーを置いておき、まずは「そこに在る」ことに慣れさせます。 - STEP 2:遊び場にする
キャリーの扉を開け放し、大好きなおやつやおもちゃを入れて「入るといいことがある」と教えます。 - STEP 3:楽しい外出をする
キャリーに入れたら病院ではなく、公園やベランダで日光浴をするなど「楽しいお出かけ」の記憶を作ります。
わが家のインコも以前はキャリー大嫌いでしたが、この方法で今では準備をしているといそいそと自分から入るようになりました。これができるようになると、緊急時の避難スピードが劇的に上がります。
二次災害を防ぐ(火事・熱中症)|震災後のリスク
地震の揺れが収まった後も、リスクは続きます。特に注意したいのが、電気復旧時の「通電火災」と、空調が止まったことによる「温度管理不能(寒さ・暑さ)」です。
ヒーターによる火事とスマートプラグ活用
倒れたヒーターに布団やカバーが被さり、電気が復旧した瞬間に発火する事故が恐れられています。避難する際は必ずブレーカーを落とすのが基本ですが、外出中の発災に備え、遠隔で電源をOFFにできる「スマートプラグ」や「見守りカメラ」の導入が有効です。
詳しくは:インコのヒーター火事が怖い!留守番中の不安を消す「配置」と「見守りカメラ」
停電時の熱中症・保温対策
夏場の停電はエアコンが止まり、室温が急上昇して熱中症になるリスクがあります。逆に冬場は命に関わる寒さになります。電池式のファンや、湯たんぽ・カイロの備蓄など、電気を使わない温度管理方法を確認しておきましょう。
よくある質問|インコの防災Q&A
備えあれば憂いなし。まずは「パニック対策」と「キャリー」の準備から【総括】

インコの防災対策は多岐にわたりますが、まずは「今日からできること」を一つずつ進めていきましょう。特に優先度が高いのは、地震の揺れによるケージの転倒防止と、夜間のオカメパニック対策です。
最新のIoT技術(SwitchBot)を使えば、留守中や就寝中のリスクを大幅に減らすことができます。また、避難用のキャリーや備蓄品を揃えておくことで、いざという時に慌てずに行動できます。物理的な対策とデジタルな見守りを組み合わせ、愛鳥との安全な暮らしを守りましょう。
この記事で紹介した各対策の詳細については、それぞれのリンク先記事で深掘りしています。ぜひブックマークして、防災マニュアルとしてご活用ください。










