情報の正確性と免責事項
本記事で紹介する「マリアアザミ」は食品(ハーブ・サプリメント)であり、医薬品ではありません。記事内の情報は一般的な栄養学的知見に基づきますが、病気の治療や治癒を保証するものではありません。愛鳥の体調不良や肝臓疾患の疑いがある場合は、必ず獣医師の診察と指導を受けてください。
マリアアザミ(ミルクシスル)とは?

マリアアザミは、地中海沿岸原産のキク科の植物です。別名「ミルクシスル」とも呼ばれ、古くからヨーロッパではハーブとして親しまれてきました。その種子に含まれる成分が、人だけでなく、インコやオウムなどの飼い鳥の健康維持にも役立つとして、多くの愛鳥家に選ばれています。
有効成分「シリマリン」の特徴
マリアアザミの最大の特徴は、種子に含まれる「シリマリン」というフラボノイド混合物です。
シリマリンに期待されている働き:
- 肝細胞の健康維持をサポートする
- 優れた抗酸化作用を持つ
- 解毒作用のサポート
鳥類の肝臓は、代謝や解毒を一手に担う非常に重要な臓器です。特に脂肪分の多い食事(ヒマワリの種など)を好むインコや、代謝が落ちてきた老鳥にとって、肝臓のケアは健康寿命を延ばす鍵となります。
マリアアザミは薬ではありませんが、日々の食事に取り入れることで、肝臓の負担を和らげ、本来の働きを助ける「食べるサプリメント」として活用できます。
そのままでは硬すぎる!インコに与える時の「殻」問題

「肝臓に良いなら早速あげてみよう!」とマリアアザミのシードを購入したものの、愛鳥が全く食べてくれない…という失敗談は後を絶ちません。その原因のほとんどは「殻が硬すぎて割れない」ことにあります。
小型・中型インコのクチバシでは割れない?
マリアアザミの種は、硬い殻に覆われています。大型のオウムであればバリバリと噛み砕くことができますが、セキセイインコやオカメインコ、ウロコインコクラスでも、そのままでは歯が立たない(クチバシが立たない)のが普通です。
無理に硬い種を噛ませようとすると、インコが食事自体を嫌がってしまう可能性もあります。そこで必要になるのが、飼い主さんがひと手間加えて食べやすく加工してあげることです。
すり鉢・乳鉢が必須!マリアアザミの与え方

マリアアザミを愛鳥に与えるための神器、それが「すり鉢(乳鉢)」です。電動ミルを使う方法もありますが、少量を都度新鮮な状態で与えるには、手動の乳鉢が最も便利で無駄がありません。
乳鉢ですり潰して粉末にする手順
おしゃれな陶器製の乳鉢(にゅうばち)は、100円ショップやキッチン雑貨店でも手に入りますが、硬い種をしっかり潰すためには、ある程度重量があり、内側に溝のないタイプ(薬研のようなタイプ)や、しっかりとした乳棒がセットになったものがおすすめです。
🥣 マリアアザミ調理ステップ
殻ごとすり潰してしまって大丈夫です。粉々になれば、インコは殻ごと摂取するか、器用に中身だけを選り分けて食べてくれます。独特の香ばしい香りがあり、嗜好性は意外と高いのが特徴です。
なぜ「市販のパウダー」や「液体」じゃダメなの?
「すり潰すのが面倒だから、最初から粉末の商品や液体のサプリメントを使いたい」と思う方もいるかもしれません。しかし、あえて「種(ホール)ですり潰す」ことには大きなメリットがあります。
- 鮮度と香り(酸化防止): 粉末は空気に触れる面積が広く、酸化が早いです。都度挽くことで、新鮮な香りが立ち、食欲が落ちている子の刺激になります。
- 糖分の回避: 市販の液体肝臓サプリメントの中には、飲みやすくするために「ブドウ糖」などの糖分が含まれているものがあります。純粋なマリアアザミ種子なら、余計な糖分を摂取する心配がありません。
すりつぶすのが大変なら
摂取量の目安と注意点

マリアアザミは薬ではなく食品なので、厳密な用法用量はありません。しかし、いくら体に良いからといって与えすぎは禁物です。
1日の適量と頻度
マリアアザミの種子には油分(リノール酸やオレイン酸など)が多く含まれています。肝臓に良い成分が含まれているとはいえ、与えすぎると脂質の過剰摂取になり、かえって肝臓に負担をかける可能性があります。
目安としては、「週に1〜2回、指でひとつまみ(5〜6粒)程度」を基本にしましょう。これはセキセイインコ(小型インコ)を想定した目安です。体が大きいオカメインコ(中型インコ)の場合は、ひとつまみ~ふたつまみ程度に調整しても構いませんが、脂質が高いため与えすぎには注意してください。
- 健康維持の場合: 週に1〜2回、おやつ感覚で少量を与える。
- 換羽期・老鳥の場合: 頻度を少し増やすことも可能ですが、体重やフンの状態を見ながら調整してください。
あくまで「サプリメント」としての位置づけです。「毎日たくさん食べるほど元気になる」ものではないことを理解しておきましょう。
微粉末による「くしゃみ」に注意
乳鉢で細かくしすぎたパウダーをそのままシードの上に置くと、インコが顔を近づけた拍子に粉が鼻に入り、くしゃみをしてしまうことがあります。
これを防ぐためには、「ふりかけた後に指で軽く混ぜてシードやペレットに馴染ませる」のがコツです。それでもくしゃみをする場合は、餌をごくわずかな水で湿らせてからパウダーを絡めると、粉飛びを防ぐことができます。
よくある質問|マリアアザミとインコ

マリアアザミですり鉢デビュー!愛鳥の肝臓を守ろう

沈黙の臓器と呼ばれる肝臓。不調を隠すのが上手なインコたちだからこそ、日頃からのケアが大切です。マリアアザミ(ミルクシスル)に含まれるシリマリンは、そんな愛鳥の肝臓の健康を優しくサポートしてくれる頼もしい味方です。
「殻が硬い」という難点はありますが、すり鉢(乳鉢)を使って飼い主さんが手を加えてあげることで、愛鳥とのコミュニケーションにもなり、新鮮な栄養を届けることができます。毎日の食事にパラパラとふりかけるだけの簡単ケア習慣、ぜひ今日から始めてみませんか?
もちろん、マリアアザミだけに頼るのではなく、日々の主食のバランスを見直すことも肝臓ケアの基本です。シード食で脂質が気になる場合は、栄養バランスの整ったペレットへの切り替えも視野に入れてみてください。
すりつぶすのが大変なら














