インコの日光浴時間を正しく管理することは、愛鳥の健康維持に欠かせない重要な知識です。適切な時間と方法で日光浴させることで、ビタミンD3が生成され、カルシウムの吸収を助け、骨の健康を保つことができます。また、体内時計の調整や羽の美しさを保つ効果も期待できるのです。
「毎日どれくらいの時間、日光浴させればいいの?」「夏と冬で時間を変えるべき?」「赤目インコの日光浴は大丈夫?」など、多くの飼い主さんが疑問に思うことでしょう。実はインコの種類や季節、環境によって最適な日光浴時間は大きく異なります。
日光浴が不足すると、骨軟化症や卵詰まりなどの深刻な健康問題を引き起こす可能性があります。逆に長すぎると、熱中症や体力の消耗を招くリスクも。インコの健康を守るためには、適切なバランスが重要なのです。
この記事では、セキセイインコやオカメインコなど種類別の理想的な日光浴時間から、季節に合わせた実施方法、そして失敗しないための重要ポイントまで、インコの健康管理に欠かせない日光浴の知識を徹底解説します。
インコの種類別に最適な日光浴の時間と頻度
季節や天候による日光浴時間の調整方法
ガラス越し、網戸越しなど環境別の効果の違い
赤目インコや雛、換羽期の特別な配慮事項
自然光が得られない時のUVライト活用法
正しい日光浴管理はインコの健康寿命を大きく左右します。この記事を参考に、愛鳥に最適な日光浴環境を整え、健康で幸せな生活をサポートしていきましょう。
インコの日光浴時間:健康維持に欠かせない理由と効果
インコの健康維持に欠かせない日光浴。適切な時間と頻度で日光を浴びることで、ビタミンD3の生成を促し、カルシウムの吸収を助けます。これにより骨の健康が維持され、羽の美しさも保たれるのです。このセクションでは、インコの種類別・季節別の最適な日光浴時間と方法をわかりやすく解説します。
ビタミンD3が生成され、カルシウム代謝が促進される
体内時計が調整され、健全な生活リズムが維持できる
羽の健康維持と美しい羽艶に貢献する
メンタルの安定とストレス解消に効果がある
効果 | 詳細 |
---|---|
ビタミンD3生成 | カルシウムの吸収を助け、骨の健康を維持 |
体内時計の調整 | 自然な生活リズムを整え、問題行動を予防 |
羽の健康維持 | 美しい羽艶と健全な換羽を促進 |
ストレス軽減 | 毛引きや自咬などの問題行動を予防 |
日光浴が不足すると、ビタミンD3不足によるカルシウム代謝障害が起き、骨軟化症や卵詰まりなどの深刻な健康問題を引き起こす可能性があります。また、体内時計が乱れることで、生活リズムの悪化やストレスの増加につながることも。インコの健康長寿のためには、適切な日光浴管理が欠かせないのです。
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— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) July 15, 2021
インコの種類別・理想的な日光浴時間とポイント
インコは種類によって体の大きさや特性が異なるため、最適な日光浴時間も変わってきます。ここでは主な種類別に推奨時間と特に注意すべきポイントを解説します。
セキセイインコの日光浴時間と注意点
セキセイインコの理想的な日光浴時間は、一日あたり10〜15分程度です。小型のインコのため、比較的短時間でも効果が得られます。
基本は10〜15分、週に1〜2回なら20分程度
午前中の涼しい時間帯が最適
夏は特に短時間で、熱中症に注意
アルビノなどの赤目種は紫外線に弱いため、時間を短くする
状況 | 推奨時間 | 頻度 |
---|---|---|
通常時 | 10〜15分 | 毎日または2〜3日に1回 |
夏場(高温時) | 5〜10分 | 毎日または2〜3日に1回 |
換羽期 | 10分程度 | 体調に合わせて調整 |
赤目種(アルビノなど) | 5分程度 | 日陰での実施を推奨 |
セキセイインコは小さな体に対して羽が多いため、暑さに弱い傾向があります。特に夏場は短時間の日光浴を心がけ、常に日陰に逃げられる環境を用意することが大切です。
また、アルビノなどの赤目の個体はメラニン色素が少ないため紫外線の影響を受けやすく、通常よりも短い時間で実施するようにしましょう。
網戸越しでも良いですが、かなり紫外線をカットされますので長時間やらないと充分とは言えないかもしれません。赤目の仔は紫外線に弱いので、強い紫外線は避け、ビタミンDを補うしかないと思います。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) July 22, 2021
オカメインコの日光浴時間と特徴
オカメインコは中型インコのため、セキセイインコよりもやや長めの日光浴時間が推奨されます。一般的には20〜30分程度が適切です。
毎日20〜30分が理想的
週に1〜2回の場合は30分程度
暑い季節は時間を短縮し、涼しい場所を確保
冬は暖かい日中を選んで実施
季節 | 推奨時間 | 最適時間帯 |
---|---|---|
春・秋 | 20〜30分 | 午前8時〜10時頃 |
夏 | 15〜20分 | 午前7時〜9時頃 |
冬 | 30分程度 | 午前10時〜12時頃 |
オカメインコはセキセイインコよりも体が大きく、温度調節能力もやや優れているため、比較的長い時間の日光浴が可能です。しかし、夏場の高温時は注意が必要で、常に様子を観察しながら適切な時間で終了させましょう。
コザクラインコ・ボタンインコの日光浴
コザクラインコやボタンインコサイズのインコは、15〜30分程度の日光浴が適切です。セキセイインコより少し長めの時間が望ましいとされています。
基本的には15〜30分程度
体調や季節に合わせて調整する
日陰と水分を必ず確保する
換羽期は少し短めに設定する
条件 | 推奨内容 |
---|---|
時間 | 15〜30分/日 |
頻度 | 毎日または週2〜3回 |
環境 | 直射日光+日陰の両方を確保 |
季節調整 | 夏は短く、冬はやや長めに |
コザクラインコやボタンインコは体は小さいですが、自然界ではよく日光を浴びる習性があります。ただし、長時間の日光浴はストレスになることもあるため、インコの様子を見ながら調整しましょう。特に暑い季節は熱中症に注意し、常に新鮮な水を用意することが大切です。
季節別・インコの日光浴時間と安全な実施方法
季節によって日光の強さや気温が大きく変わるため、インコの日光浴方法も調整が必要です。夏と冬、それぞれの季節に合わせた適切な日光浴の方法を解説します。
夏のインコ日光浴の時間と熱中症対策
夏場は紫外線が強く、気温も高いため、インコの日光浴には特に注意が必要です。短時間かつ涼しい時間帯での実施を心がけましょう。
朝の涼しい時間帯(7時〜9時頃)に実施
小型インコは5〜10分、中型インコは10〜15分程度
必ず日陰となる場所を確保する
常に新鮮な水を用意する
羽を広げたり口を開けたりする様子が見られたら中止
対策 | 具体的方法 |
---|---|
時間帯の選択 | 朝7時〜9時の涼しい時間 |
環境の工夫 | ケージの半分以上に日陰を作る |
水分補給 | 新鮮な水を多めに用意 |
時間管理 | タイマーをセットし、時間を厳守 |
夏場の日光浴で最も危険なのは熱中症です。インコは汗をかくことができないため、体温調節が難しく、短時間でも熱中症のリスクがあります。特に直射日光が当たる場所では、ケージ内の温度が急上昇することも。日陰を必ず作り、インコが自分で日光と日陰を選べるようにすることが大切です。
また、温度計を設置してケージ内の温度を監視することもおすすめします。30℃を超える場合は、日光浴は中止して涼しい場所に移動させましょう。
冬のインコ日光浴の工夫と補助方法
冬は日照時間が短く、気温も低いため、インコの日光浴には工夫が必要です。また、自然の日光浴が難しい場合は、UVライトの利用も検討しましょう。
日中の暖かい時間帯(10時〜14時頃)に実施
風を防ぎ、温かい環境を整える
急な温度変化を避けるため、徐々に慣らす
鳥用UVライトを使った室内での日光浴も効果的
方法 | 推奨時間 | ポイント |
---|---|---|
自然光(室内窓際) | 30分程度 | 窓を開けて網戸越しに |
UVライト照射 | 1〜2時間 | 距離30〜50cm、上部から照射 |
併用方法 | 週2〜3日は自然光、他日はUV | 天候や気温に応じて調整 |
寒い季節や地域、また雨や曇りの多い環境では、鳥用UVライトの活用が非常に有効です。UVライトは以下のポイントに注意して使用しましょう。
1. 鳥用のフルスペクトラムUVライトを選ぶ:爬虫類用は強すぎるため避ける
2. 適切な距離を保つ:30〜50cm程度が目安(製品により異なる。取扱説明書を確認)
3. 上部から照射する:横からだと目に負担がかかる
UVライトを使用する場合も、インコが光から逃げられる日陰スペースを確保することが大切です。また、ライトの寿命(多くは半年〜1年)にも注意し、適切なタイミングで交換しましょう。
雨や曇りの日の日光浴はどうする?
雨や曇りの日でも、実は紫外線はある程度地上に届いています。しかし、晴れた日よりは効果が弱くなるため、時間や方法を調整する必要があります。
曇りの日は晴れの日の約60%の紫外線
雨の日は晴れの日の約30%程度
曇りの日は時間をやや長めに設定
連続して曇りや雨が続く場合はUVライトを活用
天候 | 紫外線量(晴れを100%とした場合) | 推奨対応 |
---|---|---|
晴れ | 100% | 通常通りの時間で実施 |
薄曇り | 約80% | やや長めに(1.2倍程度) |
曇り | 約60% | 1.5倍程度の時間に延長 |
雨 | 約30% | 2倍以上または補助的にUVライト |
天候が不安定な季節や地域では、自然光とUVライトを組み合わせた日光浴管理が理想的です。例えば、晴れた日は自然光で、曇りや雨の日はUVライトを使用するといった方法が効果的です。
地表面では様々な物から紫外線が反射することも覚えておきましょう。砂や雪は反射率が高いため、日陰にいても意外と紫外線を浴びることができます。ただし、反射光のみでは十分な効果が得られないため、直接光または専用ライトでの補助が必要です。
インコの日光浴環境の選び方と正しい方法
日光浴の効果を最大限に得るためには、適切な環境選びが重要です。ガラス越し、網戸越し、直射日光など、それぞれの方法での効果と注意点を解説します。
ガラス越し・アクリル越しの日光浴は効果なし
多くの方が勘違いしがちなのが、ガラス越しの日光浴です。残念ながら、ガラスやアクリルは紫外線(特にUVB)をほとんど通さないため、効果はほぼありません。
ガラスはUVBを90%以上カットしてしまう
プラスチックやアクリルも同様に効果が低い
明るさを感じても、ビタミンD3生成に必要な紫外線は通らない
窓を開けて実施することが必須
素材 | UVB透過率 | 日光浴効果 |
---|---|---|
ガラス窓 | 5%未満 | ほぼなし |
アクリル | 約10% | 非常に低い |
プラスチック | 素材による(多くは低い) | 期待できない |
金属網(網戸など) | 70-90% | 高い |
「窓際に置いているから大丈夫」という考えは大きな誤解です。ガラス越しでは、インコは明るい光は感じられますが、ビタミンD3を生成するために必要なUVBはほとんど通過していません。これでは日光浴の最も重要な効果が得られず、結果的にカルシウム代謝障害などの健康問題につながる可能性があります。
正しい日光浴のためには、必ず窓を開けて網戸越し、またはUVカット加工のないカーテン越しにするか、専用のUVライトを使用しましょう。
網戸越し・カーテン越しの日光浴の効果と安全性
網戸越しやカーテン越しの日光浴は、安全性と効果のバランスが取れた優れた方法です。特に網戸越しの日光浴は、脱走防止にもなり、おすすめです。
網戸は紫外線(UVB)を70〜90%通す
遮光機能のないカーテン越しも一定の効果あり
脱走や外敵からの安全を確保できる
赤目のインコにも適した方法
方法 | メリット | 注意点 |
---|---|---|
網戸越し | 高い紫外線透過率、脱走防止 | UVカット網戸は効果減少 |
レースカーテン越し | 光を和らげ、赤目種にも安全 | 素材により効果が変わる |
薄手のカーテン越し | 光を適度に調節できる | 厚手や遮光カーテンはNG |
網戸越しの日光浴は、自然の紫外線を適度に取り入れながらも、インコの安全を確保できる理想的な方法です。特に、室内飼育のインコにとっては最も現実的で効果的な選択肢となります。
レースカーテンや薄手のカーテン越しでも一定の効果は期待できますが、厚手のカーテンや遮光カーテンではほとんど効果がありません。カーテンの素材や厚さによって透過率が大きく変わるため、確実な効果を得たい場合は網戸越しまたはUVライトがおすすめです。
屋外でのインコの日光浴時間と安全対策
晴れた日に屋外で行う日光浴は最も効果的ですが、同時に様々なリスクも伴います。安全に実施するためのポイントを押さえておきましょう。
常にインコから目を離さない
脱走防止策を徹底する(ステンレス製 のナスカン、ケージカバーなど)
カラスや猫などの外敵に注意
季節に応じた時間管理を徹底する
亜鉛合金製のナスカンを使ったらセキセイインコが吐いて下痢をしたとのことで来院しました。このナスカンはしばらく使っておらず古いもので、腐食が見られました。扉に使ったらずっと舐めていたとのことでした。レントゲン検査で金属片は見られませんでしたが金属中毒の可能性が高いです。 pic.twitter.com/hp5WTORIIm
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) September 19, 2022
金属中毒を防ぐために、ナスカンはステンレス製のものを使いましょう
リスク | 対策 |
---|---|
脱走 | ステンレス製ナスカンでケージ扉を固定 |
カラス・猫の襲撃 | 常に監視、目を離さない |
熱中症 | 日陰を確保、水分補給、時間厳守 |
鳥インフルエンザ(冬季) | 野鳥との接触を避ける、流行時は室内のみ |
屋外での日光浴は確かに最も効果的ですが、愛鳥の安全を第一に考えると、ベランダや庭でも常に細心の注意が必要です。特にカラスによる攻撃事例は意外と多く報告されており、ほんの数分目を離しただけで被害にあうケースもあります。
脱走防止のためには、ケージの扉をステンレス製のナスカンでしっかりと固定することが重要です。また、野生動物からの攻撃を防ぐため、常にインコのそばにいて見守ることを徹底しましょう。特に、カラスの繁殖期(4〜6月)は特に警戒が必要です。
冬季は野鳥の飛来も多くなるため、鳥インフルエンザへの感染リスクも考慮する必要があります。流行時期には室内での日光浴(UVライト使用)に切り替えることも検討しましょう。
日光浴ライトの選び方と効果的な使用方法
自然の日光浴が難しい環境や季節には、鳥用UVライト(紫外線ライト)が大変有効です。適切な製品選びと正しい使用方法で、インコに必要な紫外線を安全に提供しましょう。
鳥用のフルスペクトラムUVライトを選ぶ
爬虫類用は強すぎるので避ける
照射距離は30〜50cm程度(製品の説明書を確認)
1日1〜2時間程度の使用を推奨
ポイント | 推奨内容 |
---|---|
種類 | 鳥専用フルスペクトラムUVライト |
設置位置 | ケージ上部から照射(横からは避ける) |
照射時間 | 1日1〜2時間(朝〜昼が理想的) |
交換時期 | 6ヶ月〜1年(製品による) |
UVライトの選択では、必ず鳥用に設計されたものを選びましょう。爬虫類用のUVライトは紫外線量が多すぎて、インコの目や皮膚にダメージを与える可能性があります。おすすめは「フルスペクトラム」と表記された、太陽光に近いスペクトルを持つライトです。
設置位置は非常に重要で、ケージの上部から照射するのが理想的です。横からの照射は鳥の目に直接紫外線が入り、目の健康を損なうリスクがあります。また、ケージ内に日陰となる場所も確保し、インコが自分で調整できるようにしましょう。
使用時間は一般的に1日1〜2時間程度が推奨されますが、製品によって適切な時間が異なるため、必ず説明書を確認してください。また、UVライトは使用時間とともに紫外線の出力が低下するため、定期的な交換(多くは6ヶ月〜1年)も重要です。
- STEP1適切な鳥用UVライトを選ぶ小型鳥用のフルスペクトラムUVライトを選びましょう。爬虫類用は避けてください。
- STEP2適切な位置に設置するケージの上部から30〜50cm程度の距離で設置します。横からの照射は避けましょう。
- STEP3徐々に慣らす最初は10〜15分程度から始め、インコの様子を見ながら徐々に時間を延ばします。
- STEP4適切な時間で使用する1日1〜2時間程度、できれば午前中に照射します。タイマーの使用もおすすめです。
- STEP5定期的に交換する6ヶ月〜1年を目安に、効果が低下する前に定期的に交換します。
野生と同等の日光が理想的な可能性がありますが、長時間の紫外線は酸化ストレスを増やす原因になります。そのため日光浴はできる範囲で行い、できない時は紫外線ライトを使用し、シード食であればカルシウムとビタミンDを補うようにしてください。日光浴や栄養が足りているかは血液検査で判定します。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) October 24, 2020
UVライトは自然の日光浴が難しい環境にいるインコにとって、健康維持のための強い味方になります。特に、マンション住まいや寒冷地、雨の多い地域では、UVライトの導入を積極的に検討するとよいでしょう。
よくある質問と回答
インコの日光浴に関するよくある疑問や特殊なケースについて、具体的な対応策を解説します。
インコが日光浴を嫌がる場合はどうすればいい?
インコが日光浴を嫌がる場合は、無理強いせず徐々に慣らしていくことが大切です。
最初は非常に短い時間(2〜3分)から始める
好きなおもちゃやおやつを用意して気を紛らわせる
飼い主も一緒にいて安心感を与える
日陰が十分にある環境で行う
対策 | 効果 |
---|---|
短時間から徐々に慣らす | ストレスを最小限に抑えられる |
おやつを与える | ポジティブな経験と結びつける |
飼い主も一緒にいる | 安心感を与え、恐怖を軽減 |
UVライトへの切り替え | より穏やかな環境で紫外線を提供 |
インコが日光浴を嫌がる理由はさまざまです。直射日光の強さや明るさに驚いている場合もあれば、外の音や動きに警戒している場合もあります。無理に日光浴をさせるとストレスになるため、少しずつ慣らすことが大切です。
特に強い日差しが苦手なインコには、薄手のカーテン越しや網戸越しの日光浴から始めるとよいでしょう。それでも難しい場合は、UVライトの使用も検討してください。UVライトは通常の室内照明に近い印象で、インコにとってストレスが少ない場合が多いです。
何より大切なのは、日光浴を嫌がるからといって完全に諦めないことです。ビタミンD3は健康維持に不可欠なため、何らかの形で紫外線を提供することを心がけましょう。
アルビノなど赤目のインコの日光浴時間は?
アルビノやルチノーなどの赤目のインコは、メラニン色素が少ないため紫外線に対して特に注意が必要です。
通常の半分程度(5〜10分)に時間を短縮
直射日光は避け、日陰や反射光で行う
網戸越しやレースカーテン越しが理想的
UVライトを使用する場合は距離をやや離す
方法 | 推奨時間 | 注意点 |
---|---|---|
網戸越し/レースカーテン越し | 5〜10分 | 直射日光が直接当たらないよう配慮 |
日陰での反射光 | 10〜15分 | 地面からの反射光を利用 |
UVライト | 30〜60分 | 通常より距離を10cm程度離す |
赤目のインコ(アルビノ、ルチノー、パイド系の赤目など)は、目を守るメラニン色素が少ないため、紫外線による目のダメージを受けやすいと言われています。直射日光での日光浴は避け、必ず弱めの光で行うことが重要です。
赤目は弱いと言われる理由はメラニンがないためです。メラニンは目も紫外線から保護しています。老齢性白内障の原因は紫外線である事が分かっています。目にメラニンがないと直接紫外線が入るため目の老化を早める可能性があります。赤目に限らず紫外線ライトは上から浴びるようにしましょう。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) January 14, 2021
紫外線が当たることで、尾脂腺からでるビタミンD前駆物質がビタミンDに変わるので、紫外線は必要です。ビタミンDはサプリで補ますが、自分の物の方が効果が高いと思われます。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) January 15, 2021
メラニン色素が少ないと直接紫外線が入るため目の老化を早める可能性があります。赤目のインコに日光浴をさせる場合は、網戸越しやレースカーテン越しの穏やかな光を選びましょう。または、UVライトを使用する場合は、通常よりも距離を離して(40〜60cm程度)照射するとよいでしょう。
換羽期の日光浴はどうすればいい?
換羽期(羽が生え変わる時期)には、インコの体力が消耗しがちなため、日光浴にも特別な配慮が必要です。
通常より短めの時間(10〜15分程度)
穏やかな環境(直射日光は避ける)
栄養補給と水分補給を十分に
体調不良の兆候がある場合は中止する
項目 | 推奨内容 |
---|---|
日光浴時間 | 10〜15分/日 |
環境 | 網戸越しや薄いカーテン越し |
栄養補給 | タンパク質を増やす |
休息 | 十分な休息と静かな環境を確保 |
換羽期は、インコにとってエネルギーを大量に消費する時期です。羽毛の主成分であるケラチンの合成には多くの栄養が必要なため、体に負担がかかっています。そのため、日光浴も控えめにし、穏やかな形で行うことが望ましいです。
特に激しい換羽(全身の羽が一度に生え変わる場合)では、体力が大幅に低下しているため、日光浴の時間を通常の半分程度に短縮し、直射日光は避けるようにしましょう。
換羽期の日光浴は、インコの状態を見ながら柔軟に対応することが大切です。元気がなかったり、食欲が落ちている場合は、一時的に中止することも検討しましょう。
雛インコの日光浴はいつから始める?
雛インコは成鳥に比べて体が未発達なため、日光浴の開始時期と方法には特別な配慮が必要です。
生後3ヶ月頃(90日齢前後)から開始するのが理想的
最初は非常に短時間(2〜5分)から始める
網戸越しやカーテン越しの穏やかな光から慣らす
徐々に時間を延ばし、1〜2週間かけて通常の時間に
週数 | 推奨時間 | 環境 |
---|---|---|
1週目 | 2〜5分/日 | 網戸越し/薄手カーテン越し |
2週目 | 5〜7分/日 | 網戸越し/薄手カーテン越し |
3週目 | 7〜10分/日 | 網戸越し |
4週目以降 | 種類に応じた通常時間 | 通常の環境 |
雛インコは体温調節能力が未熟なため、日光浴を始める時期と方法には特に慎重な対応が必要です。早すぎる開始や長時間の日光浴は、体力の消耗や熱中症のリスクを高めます。
生後3ヶ月(約90日)頃には、羽毛が十分に生え揃い、体温調節能力も向上するため、日光浴を始めるのに適した時期と言えます。
雛の日光浴を始める際は、最初は非常に短時間(2〜5分程度)から始め、インコの様子を観察しながら徐々に時間を延ばしていきましょう。また、直射日光は避け、網戸越しやカーテン越しの穏やかな光からスタートするのが安全です。
健全な骨格形成のためにビタミンD3は重要ですが、雛の段階では適切な栄養バランスの食事(良質なペレットなど)を与えることも併せて重要です。
インコの日光浴時間をしっかり管理して健康長寿を実現しよう【総括】
インコの日光浴時間は、種類や季節、環境によって適切に管理することが重要です。正しい知識と方法で実践することで、愛鳥の健康と幸せな生活をサポートしましょう。
セキセイインコは10〜15分、オカメインコは20〜30分が基本
午前中の涼しい時間帯に実施するのが理想的
ガラス越しでは効果がなく、網戸越しが安全で効果的
夏は熱中症に注意し、短時間で実施
冬や雨の多い環境では鳥用UVライトが有効
アルビノなどの赤目種は時間を短くし、直射日光を避ける
換羽期は体力消耗に配慮し、短めの時間に
雛は生後3ヶ月頃から少しずつ慣らす
屋外での日光浴は脱走や外敵に十分注意
日光浴を嫌がる場合は無理強いせず徐々に慣らす
定期的な日光浴はビタミンD3生成を促し骨の健康を維持
自然の日光浴とUVライトを組み合わせた管理が理想的
愛鳥の様子を観察しながら柔軟に調整することが大切
インコの健康長寿のためには、適切な日光浴管理が欠かせません。自然の日光浴が定期的に難しい場合は、鳥用UVライトの導入を検討してみてください。適切な紫外線量を確保することで、骨の健康維持や羽の美しさ、メンタルの安定など、多くのメリットを得ることができます。

愛鳥の健康を第一に考え、種類や環境に合わせた最適な日光浴管理を行いましょう。正しい知識と方法で、インコとの長く健康的な生活を実現してください。
参考資料
Avian Avenue “Proper Sunbathing Techniques for Budgies”
Beauty of Birds “UV Light Requirements for Pet Birds”
鳥類獣医師 海老沢和荘先生(横浜小鳥の病院院長 獣医学博士)のX