免責事項:情報の正確性について
本記事は2025年時点の飼育知見に基づき作成されており、一般的な健康維持のヒントを提案するものです。特定の病気を診断・治療するものではありません。インコのビタミン不足による症状や異常を感じた場合は、自己判断せず速やかに鳥専門の獣医師にご相談ください。
インコのビタミン不足による症状と見逃せないサイン

愛鳥のちょっとした変化は、体の中からの深刻なSOSかもしれません。インコのビタミン不足による症状は、単なる「元気がなさそう」という抽象的なものだけでなく、皮膚や粘膜、行動に具体的な異常として現れます。
インコの栄養不足は、見た目の美しさだけでなく、内臓や免疫機能を内側から弱らせます。飼い主さんが日常的にチェックすべき代表的なサインは以下の通りです。
- 羽艶がバサバサした質感になり、全体的に潤いがない
- くしゃみや涙目、鼻の周りの汚れといった粘膜のトラブル
- 換羽がダラダラと続き、新しい筆毛がなかなか開かない
- ケージの底でじっとしている時間が長く、運動量が目に見えて減った
特にセキセイインコに多く見られるのが、ビタミンA欠乏による足の裏の炎症(趾瘤症:しりゅうしょう)です。皮膚の保護機能が低下することで雑菌が入りやすくなり、重症化すると歩行困難になる恐れがあります。また、文鳥のビタミン不足による症状でも、こうした粘膜・皮膚の弱体化は共通して見られるため注意が必要です。趾瘤症の具体的な対策については、専用記事で詳しく解説しています。
餌箱の縁などにずっととまっていると趾瘤症になることがあります。この場合は餌箱の変更と共に止まり木も工夫をすると足の改善に役立ちます。ニームパーチは趾瘤症治療や予防の他、齧ることによるエンリッチメントにも繋がります。また既存の止まり木に保護テープを巻くのも趾瘤症改善に有効です。 pic.twitter.com/blJAMciKsF
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) February 13, 2021
シード食の落とし穴!「潜在的飢餓」から愛鳥を守る

アワ、ヒエ、キビ、カナリーシードなどの混合シードは、鳥にとって「剥いて食べる」喜びがある素晴らしい食事です。しかし、そこにはお腹はいっぱいなのに栄養が枯渇する「潜在的飢餓」という大きな落とし穴があります。
シードは主に炭水化物と脂質がメインであり、特定のビタミンやミネラルが著しく不足しています。セキセイインコの栄養補給としてサプリメントが必要な理由は以下の3点です。
- カナリーシードやオーツ麦ばかりを食べる「偏食」による栄養の偏り
- 野菜やボレー粉だけでは、ビタミンAやD3の必要量を満たしきれない
- 穀物の中身は糖質が多く、微量栄養素がほとんど含まれていない
愛鳥が満足そうに食べているからと安心せず、食事内容を客観的に見直すことが大切です。見た目はふっくらしていても、内側では深刻なビタミン不足が進行している可能性があるからです。こうしたリスクを補完するために、ネクトンSを日常的に活用しましょう。
ネクトンSの使い方と成分の劣化を防ぐコツ

インコのビタミン不足を効率的に補うには、世界的に支持されているネクトンSが最適です。しかし、ネクトンSの使い方を間違えたり、期限切れのものを使ったりすると、十分な効果が得られません。
ネクトンSの成分を新鮮なまま届けるためには、日々の管理にコツがあります。セキセイインコにネクトンSを与える際は、以下のポイントを徹底してください。
- 飲み水に溶かす:250mlの水に対し1g(スプーン1杯)が基本です
- 餌にふりかける:水での腐敗を防ぎたい時や、少量ずつ試したい時に
- 開封後の「3ヶ月ルール」:酸化して黒ずんだものは、迷わず処分する
ネクトンSを毎日与えることは健康維持に有効ですが、水に溶かした場合は細菌が繁殖しやすくなります。特に夏場は半日、冬場でも1日1回は必ず新しいものに交換してください。また、容器内に湿気が入らないよう冷暗所で密閉保存し、開封後は使用期限に関わらず早めに使い切るのが劣化を防ぐポイントです。
ビタミンD3不足と日光浴|ガラス越しの落とし穴

ビタミンの中でも、特に室内飼育の鳥に不足しがちなのが「ビタミンD3」です。カルシウムの吸収を助けるこの栄養素が欠乏すると、骨の脆さや産卵トラブルに直結します。
ビタミンD3は紫外線を浴びることで体内で合成されます。しかし、多くの飼い主さんが見落としがちなのが「窓ガラスの壁」です。
- 窓ガラス越しの日光では、D3合成に必要な紫外線がほとんど遮断される(日光浴になっていない)
- 欠乏するとメス鳥では軟卵や卵詰まりのリスクが激増する
- 網戸越しの日光浴を行うか、ネクトンSによる効率的な補給を併用する
日光浴が十分にできない環境こそ、サプリメントの真価が発揮されます。ネクトンSには室内飼育の鳥に最適なバランスでビタミンD3が配合されており、愛鳥を内側からサポートしてくれます。セキセイインコの栄養補給の柱として、日光浴とセットで活用していきましょう。メス鳥の場合は、カルシウム補給に特化したネクトンMSAの併用も検討してください。
よくある質問|インコのビタミン不足

正しい知識で愛鳥の健康寿命を延ばそう【総括】

インコの健康維持にとって、ビタミンは欠かせない「生命の維持装置」です。シード食をメインとしている場合、どうしても不足しがちな栄養素が出てしまいますが、ネクトンSを賢く活用することで、その不足を効率よく補うことができます。
羽艶が悪かったり、元気がなかったりする状態を「年齢のせい」と諦める前に、まずは毎日の食事内容を見直し、適切な栄養補給をプラスしてみてください。愛鳥の小さな体に合わせたきめ細やかな管理こそが、病気に負けない強い体を作る第一歩となります。
また、サプリメントと並行して、将来的に栄養バランスが安定したペレットへの切り替えを検討するのも良い選択です。今日からの小さな配慮で、愛鳥との幸せな時間を一日でも長く伸ばしていきましょう。








