セキセイインコの適温は何度?年齢・状態別の温度管理

セキセイインコの適温は年齢や健康状態によって異なります。雛や幼鳥は25~30度、成鳥は20~25度、老鳥や病鳥は28~30度が目安です。ただし個体差があるため、温度計を設置してインコの様子を観察しながら調整することが大切です。
セキセイインコが快適に過ごせる温度範囲

セキセイインコの体温は約41~42度と、人間よりも高めです。そのため寒さには弱く、適切な温度管理が欠かせません。
これらはあくまで目安です。セキセイインコは個体差が大きいため、温度計を必ずケージ内に設置し、インコの様子を観察しながら調整してください。
雛・幼鳥の適温(25~30度)
羽が生え揃っていない雛や、一人餌になったばかりの幼鳥は、体温調節機能が未熟です。そのため25~30度の高めの温度を維持する必要があります。
ただし、いつまでも過保護にしすぎるのも良くありません。
- 挿し餌中の雛:28~30度をキープ(最重要)
- 一人餌~生後半年:25~28度を目安に、元気なら少しずつ下げる
- 生後半年以降(若鳥):羽が生え揃い骨格がしっかりしてくれば、成鳥と同じ20~25度へ徐々に慣らしていく
特に挿し餌中の雛は免疫力が低く、感染症のリスクも高いため、温度管理を怠ると命に関わります。サーモスタットを使用すると温度の上がりすぎを防げて安心です。
初めての冬を迎える若鳥(生後1年未満)の場合は、成鳥よりも少し甘めに(20〜23度程度)設定して様子を見ると安心です。
健康な成鳥の適温(20~25度)
1歳から6歳くらいの健康な成鳥は、20~25度が快適な温度範囲です。ただし、過保護にしすぎると寒さへの適応力が弱まってしまいます。
健康な成鳥の場合、人間が「少し肌寒いかな」と感じる15度くらいまでなら短時間は耐えられることが多いです。しかし初めての冬を迎える個体や、室内飼育で育った個体は寒さに弱い傾向があるため、様子を見ながら徐々に慣らしていきましょう。
- 急激な温度変化は体調不良の原因になる
- 季節の変わり目は特に注意が必要
- 継続的な飼育では18度以上を維持するのが安全
バリバリ元気な時期だからこそ、ちょっとした寒さに慣らしておくことで、抵抗力を鍛えることができます。ただし「寒がっているサイン」が見られたら、すぐに温度を上げてください。
老鳥・病鳥の適温(25~30度)
7歳を超えた老鳥や、体調不良のセキセイインコは、体温を維持する体力が低下しています。そのため高めの温度設定が必要です。
病気の時は「保温第一」が鉄則です。28~30度に設定し、体力の消耗を最小限に抑えます。ただし保温したからといって病気が治るわけではないので、必ず動物病院を受診してください。
若い頃は保温なしで過ごせていても、年齢とともに寒さに弱くなることがあります。「今まで大丈夫だったから」と油断せず、その年ごとに様子をチェックしましょう。
セキセイインコは寒さに強い?耐えられる温度と個体差

セキセイインコは他のインコに比べて「比較的」寒さに強いと言われますが、これはあくまで相対的な話です。室内飼育で育った個体は野生のインコほどの適応力はありません。個体差も大きく、無保温で過ごせる個体もいれば、20度以下で体調を崩す個体もいます。
セキセイインコの原産地と気候適応
セキセイインコの原産地は、オーストラリアの内陸部(乾燥地帯)です。この地域は昼夜の寒暖差が非常に激しく、夜間には気温が氷点下近くまで下がることもあります。
「現地が寒いなら、日本の冬も大丈夫では?」と思うかもしれませんが、それは大きな間違いです。
野生と飼育下の決定的な違い:
- 野生:何千羽もの群れで身を寄せ合い、お互いの体温で寒さを凌いでいる
- 飼育下:一羽(または少数)でケージにいるため、暖め合うことができない
- 移動:野生は暖かい場所へ移動できるが、カゴの中のインコは自分で場所を選べない
日本の冬は「底冷え」する寒さです。空調管理された室内で育ったペットのセキセイインコにとって、日本の真冬の寒さは命に関わる過酷な環境であることを理解しておきましょう。
室内飼育のセキセイインコが寒さに弱い理由
繁殖され、室内で育ったセキセイインコは、野生の個体とは環境適応能力が大きく異なります。
人工繁殖のセキセイインコの特徴:
- 生まれた時から温度管理された環境で育っている
- 急激な温度変化を経験していない
- 寒さへの適応力が世代を重ねるごとに低下している
- 羽毛の質も野生個体とは異なる可能性がある
特に初めての冬を迎える若鳥は、季節の変化に体が対応できず体調を崩しやすいです。「昨年の冬は平気だったのに、今年は寒がっている」というケースもあるため、毎年の様子をしっかり観察しましょう。
「比較的寒さに強い」を過信してはいけない理由
「セキセイインコは寒さに強いからヒーターは不要」という情報を見かけることがありますが、これは危険な誤解です。
過信による失敗例:
- 「去年は平気だったから」と油断して、寒い朝に体調を崩した
- 「寒さに強い」という情報を信じて無保温飼育をしたら風邪をひいた
- 老鳥になって寒さに弱くなったことに気づかず、急死してしまった
重要なのは、「セキセイインコは個体差が大きい」という事実を理解することです。無保温で元気に過ごせる個体もいれば、20度以下になると急激に体調を崩す個体もいます。
「うちの子はどうか」を知るためには、日々の観察が欠かせません。寒がっているサインを見逃さず、その子に合った温度管理をしてあげましょう。冬を無事に乗り越えた後も、「今年も同じでいいか」ではなく、毎年確認することが大切です。
季節別の温度管理とセキセイインコの過ごし方【年間カレンダー】

セキセイインコの温度管理は季節ごとに異なります。春と秋は基本的に何もしなくても快適ですが、夏は熱中症対策、冬は保温対策が必須です。特に季節の変わり目は急激な温度変化で体調を崩しやすいため、こまめな観察が重要になります。
春(3~5月)の温度管理とポイント
春は気温が安定し、セキセイインコにとって過ごしやすい季節です。ただし朝晩の冷え込みや、急に寒い日があるため油断は禁物です。
春の屋外平均気温(気象庁データ):
- 3月:約15度
- 4月:約20度
- 5月:約22度
※これらは屋外の平均気温です。室内は外気温より数度高いことが多いですが、暖房なしでは10~15度程度まで下がることがあります。
春の温度管理と日光浴の注意点:
- 保温:基本的にヒーターは不要ですが、寒暖差に備えてすぐに使えるよう準備しておく
- 日光浴の注意:「窓を開けて日光浴」は逃亡事故の原因No.1です。必ず放鳥していない状態で、ケージ越しに行いましょう。
- 紫外線の効果:ガラス越しの日光浴はUVが遮断され、ビタミンD3生成の効果が薄れます。網戸越しにするか、キャリーに入れて短時間の外気浴(脱走防止ナスカン必須)がおすすめです。詳しい日光浴の方法はインコの日光浴時間をご覧ください。
- 朝晩の冷え込みに注意し、温度計をチェック
3月はまだ寒い日も多いため、保温器具をすぐに使える状態にしておくと安心です。4月以降は基本的に何もしなくても快適に過ごせますが、天気予報をチェックして急な冷え込みに備えましょう。
夏(6~8月)の暑さ対策と熱中症予防
夏はセキセイインコにとって最も危険な季節です。熱中症は命に関わるため、エアコンでの温度管理が必須です。
夏の屋外平均気温(気象庁データ):
- 6月:約22度
- 7月:約25度
- 8月:約27度
※これらは屋外の平均気温です。冷房のない室内は日中これより大幅に高くなることがあります。
ただし、これは平均気温です。日中は30度を超え、室内では40度近くまで上がることも珍しくありません。特に日当たりの良い部屋や、2階以上の部屋は要注意です。
夏の温度管理の必須対策:
- エアコンで室温を25~28度に保つ
- 直射日光が当たらない場所にケージを移動
- 遮光カーテンや断熱シートで窓からの熱を遮断
- 扇風機で空気を循環させる(直接風を当てない)
- 留守中も必ずエアコンをつけておく
「エアコンの電気代が…」と思うかもしれませんが、熱中症は数時間で命を落とす危険があります。夏場のエアコンは命綱だと考えてください。
夏の熱中症対策や留守番時の注意点については、インコの熱中症対策完全ガイドで詳しく解説しています。
秋(9~11月)の温度変化への対応
秋は春と同様に過ごしやすい季節ですが、気温の変動が激しく体調を崩しやすい時期でもあります。
秋の屋外平均気温(気象庁データ):
- 9月:約24度
- 10月:約19度
- 11月:約11度
※これらは屋外の平均気温です。暖房のない室内はこれより数度低くなることがあります。
11月になると平均気温が11度まで下がり、セキセイインコには肌寒い季節になります。この時期から冬支度を始める必要があります。
秋の温度管理のポイント:
- 9月:基本的に何もしなくてOK、ただし夜の冷え込みに注意
- 10月:保温器具の動作確認を行う
- 11月:寒がるサインが見られたら保温を開始
- 朝晩の気温差が大きいため、こまめに温度計をチェック
10月のうちに保温器具の点検をしておくと、急に寒くなった時に慌てずに済みます。サーモスタットや布製の遮光カバーなど、冬に必要なアイテムも早めに準備しておきましょう。
冬(12~2月)の保温の必要性と開始時期
冬はセキセイインコにとって最も過酷な季節です。保温対策は必須と考えてください。
冬の平均気温(気象庁データ):
- 12月:約9度
- 1月:約6度
- 2月:約7度
この気温はセキセイインコには低すぎます。室内でも暖房なしでは10度前後まで下がることも珍しくなく、保温器具なしでは命に関わります。
保温を始めるタイミング:
- 室温が15度を下回るようになったら準備開始
- セキセイインコが寒がるサインを見せたらすぐに保温
- 目安は10月下旬~11月から(地域による)
- 終了は3月下旬~4月頃(急に寒い日もあるため油断しない)
冬の保温方法には、初心者向けのマイカヒーターから本格的な保温電球まで、さまざまな選択肢があります。詳しくはインコの保温対策完全ガイドをご覧ください。
ケージの配置場所も重要です。窓際は冷気が入りやすいため避け、部屋の中央寄りで床から少し高い場所に置くと保温効果が高まります。アクリルケースを併用すると、さらに保温効果がアップします。
ケージ選びの詳細はセキセイインコケージ選びをご覧ください。
セキセイインコが寒がる・暑がるサインの見分け方

セキセイインコは言葉で寒い・暑いを伝えられないため、体のサインで教えてくれます。寒い時は羽を膨らませて丸くなり、片足立ちをすることが多くなります。逆に暑い時は口を開けてハァハァし、羽を広げて体から熱を逃がそうとします。これらのサインを見逃さず、すぐに温度を調整することが大切です。
寒がっているサインと対処法
セキセイインコが寒がっている時は、体温を逃がさないようにさまざまな行動を取ります。普段と違う姿勢や様子が見られたら、まず寒さを疑いましょう。
寒がっている時の主なサイン:
- 羽を膨らませて丸くなっている(膨羽・ぼうう):最もわかりやすいサイン
- 顔を背中の羽に埋める:クチバシまで埋めてじっとしている
- 両足でうずくまる:お腹を止まり木につけるように低くなっている
- 動きが鈍く、活気がない
- くしゃみ(「プシュッ」と濡れた音)が増える
「片足立ち」について
片足をお腹の羽毛に収納する仕草は、寒さ対策の場合もありますが、リラックスして眠い時にもよく行います。「羽が体にピタッとしていて片足立ち」ならリラックス、「羽を膨らませて片足立ち」なら寒い可能性が高いです。
特に注意すべきは「羽を膨らませて丸くなっている」状態です。これは羽毛の間に空気を溜めて断熱層を作り、体温を逃がさないようにしている証拠です。
寒がっているサインが見られたら、すぐに以下の対応を取りましょう:
- ヒーターの温度を2~3度上げる
- カバーをかけて保温効果を高める
- 冷気が入る窓際からケージを離す
- 温度を上げた後、30分~1時間様子を見る
温度を上げても改善しない場合は、病気の可能性があるため動物病院を受診してください。
暑がっているサインと対処法
セキセイインコが暑がっている時は、体から熱を逃がそうとする行動が見られます。夏場は特に注意深く観察が必要です。
暑がっている時の主なサイン:
- 口を開けてハァハァと呼吸している(開口呼吸)
- 羽を体から離して広げている(ワキワキしている)
- 水を普段より多く飲む
- ケージの底でぐったりしている
- 食欲がなくなる
- ぐったりして動かない
特に危険なのは口を開けてハァハァしている状態です。これは熱中症の初期症状であり、放置すると命に関わります。
暑がっているサインが見られたら、すぐに以下の対応を取りましょう:
- エアコンの設定温度を下げる(25~26度に)
- 直射日光を遮る
- 扇風機で空気を循環させる(直接風を当てない)
- 新鮮な水を用意する
口を開けてハァハァしている場合は、熱中症の危険があるため緊急対応が必要です。詳しい対処法はインコの熱中症対策完全ガイドをご覧ください。
日常的な観察のポイント
寒がるサイン・暑がるサインを見逃さないためには、日頃からセキセイインコの「普段の様子」を知っておくことが重要です。
毎日チェックしたいポイント:
- 朝起きた時の様子(元気に鳴いているか)
- 餌を食べる量と食べ方
- フンの状態(色・形・水分量)
- 羽繕いの頻度と丁寧さ
- 止まり木での姿勢(両足か片足か)
- 活動量(よく動いているか)
温度計は必ずケージ内に設置し、セキセイインコの目線より少し下の位置に取り付けましょう。室温とケージ内の温度は異なることがあるため、ケージ内の温度を測ることが大切です。
個体差も大きいため、「うちの子は何度で寒がるのか」「何度で暑がるのか」というパーソナルデータを知っておくと、より適切な温度管理ができます。たとえば「20度を下回ると片足立ちが増える」「28度を超えると羽を広げ始める」など、その子特有のサインを覚えておきましょう。
季節の変わり目や、年齢を重ねるごとに適温が変わることもあります。「去年はこれで大丈夫だったから」と決めつけず、その年ごとに様子を観察することが大切です。
セキセイインコに適した保温方法の基本

セキセイインコの保温には、マイカヒーター・保温電球・アクリルケースなどの方法があります。サーモスタットと温度計を使って温度を管理し、布カバーやアクリルケースで保温効果を高めつつ、適切な換気も忘れずに行いましょう。
保温が必要になる温度の目安
セキセイインコに保温が必要かどうかは、温度だけでなくインコの様子を見て判断することが大切です。
保温を開始する目安:
- 室温が15度を下回るようになったら
- セキセイインコが羽を膨らませて寒がるサインを見せたら
- 10月下旬~11月頃から(地域や個体による)
「何度から保温が必要か」は個体差が大きく、一概には言えません。健康な成鳥なら15度くらいまで短時間は耐えられることもありますが、継続的な飼育では18度を下回るようになったら保温を開始するのがおすすめです。15度以下が続く環境では、たとえ寒がるサインが見られなくても保温を検討しましょう。
保温器具の基本的な種類
セキセイインコの保温には、マイカヒーター・保温電球・アクリルケースなどの選択肢があります。温暖地域や季節の変わり目には安全性の高いマイカヒーターが、寒冷地には保温電球とアクリルケースの併用がおすすめです。
あなたの状況(地域・予算・飼育レベル)に合った保温方法の詳しい選び方は、インコの保温対策完全ガイドをご覧ください。
サーモスタットと温度計の重要性
保温器具を使う上で、サーモスタットと温度計は必須アイテムです。これらがないと、温度の上がりすぎや下がりすぎに気づけません。
サーモスタットの役割:
- 設定温度に達したら自動でヒーターをOFF
- 温度が下がったら自動でヒーターをON
- 温度の上がりすぎを防ぎ、火事や熱中症のリスクを軽減
- 電気代の節約にもなる
保温電球を使う場合は、サーモスタットは必須と考えてください。保温電球は温度上昇力が高い分、サーモスタットなしで使うと温度が上がりすぎる危険があります。
温度計の選び方:
- デジタル式で誤差の少ないもの
- 最高・最低温度を記録できるタイプが便利
- センサーと本体が分かれているタイプもおすすめ
- ケージ内に設置し、セキセイインコの目線より少し下に取り付ける
室温とケージ内の温度は異なることがあるため、必ずケージ内の温度を測るようにしましょう。
布カバー・アクリルケースと換気のバランス
保温効果を高めるには、布製の遮光カバーやアクリルケースを使用するのが効果的です。ビニール製のカバーは静電気や有害ガスの発生、酸欠のリスクがあるため推奨しません。詳しくはインコのビニールカバーの危険性をご覧ください。
布カバー(遮光カバー)の正しい使い方:
- ケージの上部・背面・両側面を覆う
- 前面は開けておく(餌や水の交換もしやすい)
- 下部に10cm程度の隙間を開けて空気の通り道を作る
- ヒーターや電球に布が直接触れないように注意(火災防止)
- 洗濯可能な素材を選び、定期的に清潔にする
アクリルケースを使う場合も、換気は非常に重要です。密閉性が高い分、酸欠のリスクも高まります。詳しくは鳥のアクリルケースで酸欠は起こる?をご覧ください。
やってはいけないNGな保温方法:
- ビニールカバーの使用:静電気で脂粉が付着し呼吸器に悪影響、有害ガス発生、酸欠のリスクあり
- 使い捨てカイロの使用:酸素を大量に消費するため、ケージ内や密閉空間では酸欠の危険大
- 不適切なヒーターの設置:「外付け専用」のヒーターをケージ内に入れるのは火傷・感電の原因になり危険
- 完全密閉:呼吸のための酸素確保と、温度の上がりすぎを防ぐ通気口が必須
- 人間用暖房への近接:こたつやストーブに近づけすぎると、乾燥や一酸化炭素中毒のリスクあり
セキセイインコの温度管理でよくある失敗と注意点

温度管理で最も多い失敗は、温めすぎと急激な温度変化です。温めすぎは発情を促進し、産卵過多や体調不良の原因になります。また急激な温度変化は体に大きな負担をかけ、免疫力を低下させます。換気不足による酸欠や、夏のエアコン冷えすぎにも注意が必要です。
温めすぎによる発情と体調不良
「寒いのはかわいそう」という気持ちから温度を上げすぎてしまうのは、よくある失敗パターンです。温めすぎは寒さと同じくらい危険なのです。
温めすぎによる悪影響:
- 発情が促進され、メスは過剰な産卵をする
- 産卵過多によるカルシウム不足、卵詰まりのリスク
- 過食による肥満
- 寒さへの適応力が低下する
- のぼせや熱中症のリスク
特に繁殖適齢期(1~6歳)の健康なセキセイインコの場合、常に25度以上に保つと発情しやすくなります。発情は体力を消耗し、メスの場合は産卵による健康リスクも高まります。
適切な温度設定の目安:
- 健康な成鳥:20~25度で十分
- 寒がるサインがなければ、それ以上上げない
- 季節感を残す(冬は少し涼しめ、夏は少し暖かめ)
- 雛・老鳥・病鳥以外は、過保護にしすぎない
「かわいそう」という気持ちは分かりますが、適度な寒さに慣らすことも、セキセイインコの健康維持には大切です。
急激な温度変化のリスク
温度管理で最も避けたいのが、急激な温度変化です。数時間で5度以上の温度変化は、セキセイインコの体に大きな負担をかけます。
急激な温度変化が起こりやすい場面:
- 暖かい部屋から寒い廊下への移動
- 窓を開けて換気した時の冷気
- ヒーターの故障や電源の切り忘れ
- エアコンの風が直接当たる場所
- 朝晩の気温差が激しい季節の変わり目
温度変化を最小限にするための工夫:
- ケージの配置場所を固定し、不要な移動を避ける
- 換気する時は別の部屋に一時移動させる
- エアコンの風が直接当たらない場所に置く
- 窓際や玄関近くなど、外気の影響を受けやすい場所を避ける
- サーモスタットで温度を自動調整する
季節の変わり目は特に注意が必要です。日中は暖かくても、夜間や明け方に急に冷え込むことがあります。最高・最低温度を記録できる温度計を使うと、留守中の温度変化も把握できて安心です。
換気不足による酸欠・空気の悪化
保温効果を高めようとビニールカバーやアクリルケースで完全に密閉してしまうと、酸欠のリスクが高まります。
換気不足による問題:
- 酸欠による呼吸困難
- 二酸化炭素濃度の上昇
- フンから発生するアンモニアの蓄積
- 脂粉やホコリの蓄積
セキセイインコは体が小さい分、空気の悪化による影響を受けやすいです。特にアクリルケースは密閉性が高いため、換気口の確保が必須です。
適切な換気のポイント:
- 布カバーは前面を開けておく
- 下部に10cm程度の隙間を作る
- 1日1回は新鮮な空気を入れる(別室に移動させて換気)
- アクリルケースは適切な換気口があるものを選ぶ
- ビニールカバーは静電気・有害ガス・酸欠のリスクがあるため使用しない
使い捨てカイロをケージ内に入れるのは、絶対にNGです。カイロは発熱時に酸素を消費するため、密閉空間では酸欠の危険が非常に高くなります。
夏のエアコン冷えすぎ
夏の温度管理でよくあるのが、エアコンの冷えすぎです。人間には快適な温度でも、セキセイインコには寒すぎることがあります。
夏のエアコン使用時の注意点:
- 設定温度は26~28度が目安
- 風が直接当たらない場所にケージを置く
- 冷気は下にたまるため、床置きは避ける
- 24時間連続運転が基本(留守中も必ずつける)
人間が「涼しくて快適」と感じる23~24度は、セキセイインコには少し寒い可能性があります。エアコンをつけている時も、ケージ内に温度計を設置して確認しましょう。
エアコンの風が直接当たる場所に置くと、表示温度より実際には寒くなることがあります。また、エアコンの故障や停電に備えて、保冷剤や扇風機などの代替手段も用意しておくと安心です。
夏の温度管理や熱中症対策の詳細は、インコの熱中症対策完全ガイドをご覧ください。
よくある質問|セキセイインコの温度管理

セキセイインコの温度管理に関してよく寄せられる質問をまとめました。寒がる温度、夏の耐熱温度、急な温度低下への対処、無保温飼育の可否など、飼い主が悩みやすいポイントを解説します。
セキセイインコの温度管理で快適な環境を【総括】

セキセイインコの温度管理は、年齢や健康状態、季節によって適切な温度が異なります。雛や幼鳥には25~30度、健康な成鳥には20~25度、老鳥や病鳥には28~30度が目安ですが、最も大切なのは温度計の数値だけでなく、セキセイインコの様子を観察することです。
羽を膨らませて寒がっているサイン、口を開けて暑がっているサインを見逃さず、その子に合った温度環境を整えてあげましょう。春と秋は比較的過ごしやすい季節ですが、夏は熱中症対策としてエアコンが必須、冬は保温器具を使った寒さ対策が欠かせません。特に季節の変わり目は急激な温度変化で体調を崩しやすいため、こまめな観察が重要です。
温度管理でよくある失敗は、温めすぎと急激な温度変化です。適度な寒さに慣らすことも健康維持には大切で、過保護にしすぎると寒さへの適応力が低下し、発情も促進されてしまいます。また、保温効果を高めようとビニールカバーで完全に密閉すると酸欠のリスクがあるため、必ず換気口を確保してください。
セキセイインコは個体差が非常に大きく、無保温で元気に過ごせる個体もいれば、20度以下で体調を崩す個体もいます。「比較的寒さに強い」という情報を過信せず、「うちの子はどうか」を日々の観察で把握することが何より重要です。去年は平気だったから今年も大丈夫とは限りません。年齢とともに寒さへの耐性も変わるため、毎年確認しながら適切な温度管理をしてあげてください。
保温方法には、初心者向けのマイカヒーターから本格的なアクリルケース×保温電球まで、さまざまな選択肢があります。あなたとセキセイインコに合った温度管理の方法は、インコの保温対策完全ガイドで詳しく解説しています。
適切な温度管理は、セキセイインコの健康で長生きするための基本です。この記事が、あなたのセキセイインコとの暮らしに役立てば幸いです。
参考文献・出典
本記事は、以下の信頼できる情報源を参考に作成しました。正確性と信頼性を確保するため、公式情報、実体験、および専門家の知見を組み合わせています。
学術的根拠
- 鳥類の体温調節機能に関する研究
- セキセイインコの生態に関する文献
- 気象庁:季節別平均気温データ
獣医学的知見
- 鳥類専門獣医師による温度管理ガイドライン
- 年齢別・状態別の適温に関する臨床データ
飼育経験者の実体験
- セキセイインコ飼育者コミュニティ:温度管理の実践報告
- 当サイト運営者による30年以上の飼育経験
関連記事(当サイト内)
※本記事の情報は2025年11月時点のものです。温度管理方法や保温器具の仕様は変更される可能性がありますので、使用前にメーカーの最新情報をご確認ください。
記事監修者情報
名前: 山木
経歴: フィンチ・インコ・オウム・家禽の飼育経験を持つ、飼い鳥歴30年以上の愛鳥家。オカメインコブリーダー。愛玩動物飼養管理士。現在はセキセイインコとオカメインコを中心とした小型~中型インコ専門サイト「ハッピーインコライフ」を運営。科学的根拠と愛情に基づいた実体験を発信し、一羽でも多くのインコとその飼い主が幸せな毎日を送れるようサポートします。




