セキセイインコの呼び鳴きでお悩みの方はいませんか?可愛らしい見た目とは裏腹に、時に耳をつんざくような大きな声で鳴き続けるセキセイインコの行動に頭を抱えている飼い主さんは少なくありません。
特に飼い主の姿が見えなくなると激しく鳴き続ける「呼び鳴き」は、ご近所トラブルの原因にもなりかねない深刻な問題です。「とにかくうるさい!」「何とかしたい!」という気持ちから、叱ったり無視したりしてしまうこともあるでしょう。
しかし、そうした対応は必ずしも効果的ではなく、むしろインコの心に深い傷を残してしまうことがあります。今回の体験談に登場する「ピー太郎」も、呼び鳴きを無視し続けた結果、食欲不振や羽毛の抜け落ちといった症状を示すようになりました。
この記事では、セキセイインコの呼び鳴きの原因と、実体験に基づく効果的な4つの対処法をご紹介します。インコの心理に寄り添った適切な対応で、騒音問題を解決しながら愛鳥との絆を深める方法をお伝えします。
セキセイインコが呼び鳴きをする本当の理由
無視や叱責が逆効果になる心理的メカニズム
声掛けやおもちゃの活用など実践的な4つの対策
インコの心に寄り添った接し方のポイント
約1ヶ月で呼び鳴きが改善した実体験談
呼び鳴きの問題は、単なる「うるさい」だけの問題ではなく、インコの不安や寂しさなど心理的な要因が大きく関わっています。
野生では群れで生活するセキセイインコは、一人ぼっちになることに本能的な不安を感じます。そして、幼少期から常に飼い主がそばにいる環境で育つと、独りになることへの恐怖がより強くなります。
これから紹介する対策は、そうしたインコの心理に配慮した方法ばかりです。一時的な対症療法ではなく、インコが心から安心できる環境づくりを目指しましょう。呼び鳴きの解消だけでなく、より深い信頼関係の構築にもつながります。
セキセイインコの呼び鳴きの原因はかまいすぎたこと!?
セキセイインコの呼び鳴き問題は多くの飼い主が直面する悩みです。特に飼い主の姿が見えなくなると大きな声で鳴き続ける行動は、ご近所トラブルの原因にもなりかねません。この記事では実体験に基づく効果的な対策をご紹介します。
突然始まった呼び鳴きとその原因
セキセイインコの飼い主の寄稿
私の悩みはセキセイインコ(オス・ピー太郎)の呼び鳴きでした。お迎えしたばかりの頃のピー太郎は小さなキャリーケースに入れてお世話をしていましたが、できるだけそばにいた方がいいと思い、頻繁にキャリーを移動したりしていました。
やがてピー太郎も大きくなり、もうそんなにそばにいる必要はないだろう…と考えてから、住まいをキャリーからケージに移しリビングに置くようになりました。それからというもの、私の姿が見えないとものすごい大声で呼び鳴きをするようになりました。私がお風呂やトイレに入っていて姿が見えない時でも甲高い呼び鳴きが聞こえてきます。
呼び鳴きに驚いた私がケージに駆けつけると、心配する飼い主をよそに、本人は何もなかったようなすました顔をして止まり木に止まっています。慌てて駆けつけて損したな…などと思いながらも、また呼び鳴きが聞こえてくるとやはり私は放っておくことができずにいそいそと駆けつけてしまいます。
しばらくこの繰り返しが続いてほとほと困りましたが、もっと心配になったのはご近所への騒音問題です。ピー太郎の甲高い声は周囲にかなり響いていたので、どうやら近所にもつつぬけていて迷惑をかけていたようでした。これではいずれはご近所トラブルに発展するかもしれない!…と私は不安になりました。
ですが、犬ならともかく、セキセイインコを躾けるなんてとても無理だろうと思いました。そこで外部に呼び鳴きが聞こえないように、納戸として使っている北向きの部屋にケージを移動させることにしました。
それで呼び鳴きが完全に聞こえないとか収まったということなく、しかもそこは日当たりが悪くて小鳥が日常を過ごすには少しかわいそうなところだと感じていたのですが、その時の私にはほかになすすべが思いつきませんでした。
呼び鳴きのひどさに頭を抱えて…
問題の深刻さに気づいた私は、友人に相談することにしましたが、個体差もあるため、解決法を見つけるのは容易ではありませんでした。
我が家はピー太郎の前にもセキセイインコ(オス)を飼っていたことがありましたが、その子はとても静かだったので、鳴き声が心配になる事など一度もありませんでした。そのため呼び鳴き問題をどうしたらいいのか私には見当がつきませんでした。
そこでインコを飼ったことがある友人にそのことを相談すると
…と言われました。
確かに、そうかもしれません。呼び鳴きを早く落ち着かせなくては!と思うあまり、ついつい駆けつけてしまうのです。
この言葉にハッとした私は、その行動を改めることにしました。最初は心情的につらいものがありました。まるで悲鳴のような鳴き声で「早く来て~!!」と言われているようで、何度も駆けつけたくなったのです。
…と自分に向かって何度も言い聞かせました。
そこで無視という対策を実践したところ、予想外の結果に直面することになりました。行動の変化は見られましたが、思いがけない問題も生じたのです。
呼び鳴きしてもシカトを繰り返していたところ、やがてピー太郎はあまり呼び鳴きをしなくなりました。家族全員がホッとして「良かったね~」と言っていましたが、実はそんな単純な話ではすみませんでした。
今度はピー太郎がしょんぼりと、元気をなくしてしまったのです。あまり餌を食べなくなり、羽根も抜け落ちてきて見た目が少しみすぼらしくなり、私が呼んでもそばまで来てくれなくなりました。
呼び鳴きしても私や家族が駆けつけてこないことをピー太郎なりに悩んだのでしょうか?他に原因が考えられなかったので、シカトがピー太郎の食欲不振や羽根が抜ける原因になったとしか思えませんでした。
それに気づいた私は一体どうすればいいのだろう?と悩みました。かかりつけの獣医にも相談したのですが、明確な答えはもらえませんでした。
…と初めて知りました。
インコの気持ちと言動に沿った4つの対策を実行してみた
問題の本質を理解するため、私たち家族はインコの心理を考慮した対策を検討しました。
そこでこれまでのピー太郎に対する言動について何度も振り返ってみて、4つの対策を考えました。
呼び鳴きしても怒らない・叱らない
まず思いついた問題点は、直近で呼び鳴きで駆けつけた時にピー太郎を強く叱ってしまったことでした。
…と考えた私は、ピー太郎が呼び鳴きをしても怒らない・叱らないことに決めました。
ケージから離れる時にインコに声掛けをする
次にリビングにピー太郎のケージを戻し、呼び鳴きしていない時にそばに行って声掛けをするように心がけました。それでピー太郎も元気が出てきたのか、自然と食欲も出てきたのです。
良かった…とホッと胸を撫で下ろしたのも束の間。やはりそこからまた呼び鳴きの嵐が始まりました。それも以前よりもかなり激しく。それでも叱らずに普段通りに声をかけるようにしました。
さらにリビングから離れる時は一言声をかけてから離れるようにしてみました。たとえば、
…のように。
最初は「こんなことを言ってもわかるわけないんだけどな…」…と思いつつ声掛けしていました。しかしたったそれだけのことでピー太郎は呼び鳴きせずに静かに待っているようになったのです。
言葉が分かるはずはないので、気持ちが伝わったのか?人間でも家族の誰かが黙って外出すれば不安になることはあるのだからセキセイインコも同じなのでは?…と感じたことが声掛けをやってみようと思ったきっかけでした。
飼い主が戻ってくるかどうかわからなければ、インコだって不安になるんじゃないか…と思ったのです。それからは必ずピー太郎にひと声をかけてから部屋を出るようにしました。
外出時にテレビをつけたままにする
外出する時にテレビを消さないようにしてみました。家族がリビングにいる時にはテレビを必ずつけています。これは私の想像に過ぎませんが、テレビの音が消えることもピー太郎の不安に繋がっているような気がしました。
セキセイインコにおもちゃを与えたら呼び鳴きがなくなった
もうひとつ困っていたのが夜の呼び鳴きでした。夜間、不意にピー太郎が目を覚まして呼び鳴きが始まることがあったので、ケージの中におもちゃを入れてみたのです。
するとこちらが驚くくらいてきめんに呼び鳴きがおさまりました。夜にそっと見てみると鳥のオモチャに寄り添って寝ていたので、どうやらおもちゃを気に入ったようでした。
インコの心に寄り添うことで呼び鳴きがおさまってきた
継続的な対策により、徐々に問題が解決していきました。インコの習性と心理を理解することが、問題解決の大きな鍵となったのです。
いろいろ試行錯誤して1ヶ月後には、ピー太郎は人がいなくても呼び鳴きをしなくなりました。
…とようやく理解ができたようで、家族全員でホッと胸をなでおろしたのです。
元々群れで暮らす習性のセキセイインコですから、どの鳥でも「ひとりぼっちでいることへの漠然とした不安」を「本能」として多かれ少なかれ抱えているはずです。それに加えて飼い主がいつもそばにいることを幼少期から刷り込んで習慣化してしまった…これがピー太郎の呼び鳴きの原因でした。
インコの呼び鳴きにはいろいろな理由があると思いますが、飼い主が感情的になるのがいちばんやってはいけないことだと痛感しました。どんなときにも平常心で接すること、飼い主がインコの心に寄り添うことの大切さを感じた出来事でした。
インコの呼び鳴きでよくある質問と回答
セキセイインコの呼び鳴き問題について、多くの飼い主が抱える疑問とその回答をまとめました。正しい対応で愛鳥との関係をより良いものにしていきましょう。
セキセイインコの呼び鳴きはなぜ起こるのですか?
セキセイインコの呼び鳴きには主に以下のような理由があります。
飼い主への愛着と寂しさの表現
群れで生活する本能からくる不安感
飼い主の注目を引きたい気持ち
幼少期からの習慣や刷り込み
野生のセキセイインコは群れで生活する鳥なので、一人ぼっちになることへの不安が強いです。また、飼い主に甘えたい気持ちや、注目を集めたいという心理も呼び鳴きの原因になります。幼い頃から常に飼い主がそばにいる環境で育つと、特に呼び鳴きが強くなる傾向があります。
呼び鳴きを完全に無視するのは本当に効果的なのでしょうか?
単純な無視は必ずしも最適な対策とは言えません。
一時的に鳴き止むことはあるが心理的ダメージのリスク
不安や寂しさが根本的に解消されない
うつ症状や自傷行為につながる可能性もある
記事で紹介したように、単純に無視するだけではインコが精神的に落ち込んでしまうケースがあります。食欲不振や羽根が抜けるなどの症状が出ることもあります。
より効果的なのは、無視するのではなく、インコの心理に配慮した総合的なアプローチです。声掛けやおもちゃの活用など、複合的な対策が重要です。
呼び鳴きが激しいセキセイインコをしつけることは可能ですか?
セキセイインコは知能が高く、基本的なしつけは可能です。ただし、犬や猫とは異なるアプローチが必要です。
ポジティブな強化が効果的
叱責や罰は逆効果になりやすい
一貫性のある対応が重要
セキセイインコには叱責や怒りなどのネガティブな感情は伝わりやすく、むしろ恐怖や不安を増幅させてしまいます。良い行動をしたときに褒める、おやつを与えるなどのポジティブな強化が効果的です。
また、飼い主の一貫した対応が鍵となります。記事で紹介したような声掛けの習慣をつけることで、徐々に呼び鳴きをコントロールできるようになります。
新しい環境に移動させると呼び鳴きは収まりますか?
環境の変化だけでは根本的な解決にはならないことが多いです。
一時的に音が聞こえなくなるだけの場合が多い
日当たりや生活環境の悪化で新たな問題が生じる可能性
インコの心理的な不安は解消されない
記事でも触れたように、単に納戸など離れた場所に移動させるだけでは問題の根本的な解決にはなりません。むしろ日当たりや空気の流れが悪い場所ではインコの健康を害する恐れもあります。
最も効果的なのは、リビングなど家族が集まる場所でインコが安心して過ごせる環境を整えることです。心理的な安心感が得られれば、呼び鳴きは自然と減っていきます。
セキセイインコの呼び鳴き問題は心に寄り添う対応で解決できる【総括】
呼び鳴きは群れで生活する本能からくる不安の表れ
単純な無視は精神的ダメージを与える可能性がある
叱責や怒りは逆効果で問題を悪化させる
ケージから離れる際の声掛けが効果的
外出時のテレビの音が安心感を与える
おもちゃの設置が特に夜間の呼び鳴きに効果的
ポジティブな対応と一貫性のある接し方が重要
インコの心理的安心感が呼び鳴き解消の鍵
幼少期の過度な密着が後の呼び鳴きの原因になる
個体差があるため複数の対策を試みることが大切
インコの心に寄り添う姿勢が何より重要
セキセイインコの呼び鳴き問題は、根気よく適切な対応を続けることで必ず改善します。飼い主の一貫した態度と心に寄り添う姿勢が、愛鳥との信頼関係を強化し、より良い共生につながります。
インコは敏感な生き物ですが、その分だけ愛情表現も豊かです。問題行動の裏にある気持ちを理解することで、より深い絆を築いていきましょう。