インコの餌に野菜を切らさないエコでサステナブルな方法をお探しですか?本記事では、インコのための家庭菜園(インコポタジェ)と保存食作りのノウハウをご紹介します。毎日の新鮮な野菜給餌が難しいと感じている愛鳥家の方に、ぜひ知っていただきたい情報です。
インコたちの健康維持には新鮮な野菜の毎日の摂取が理想的ですが、日々の準備が大変と感じることも多いでしょう。しかし、本格的な菜園を始める前に、まず身近なところから取り組める方法があります。それは保存食作りやコンパクトな家庭菜園の活用です。
この記事では、インコに最適な野菜の選び方から栽培方法、そして収穫物を無駄なく保存する技術まで詳しく解説します。また、一歩進んで 雨水タンクの設置や生ゴミ処理機を使った土づくりなど、エコでサステナブルな鳥育てにつなげていく方法も紹介しています。

フードドライヤーを使って インコごはん(バードチョップ)に混ぜるドライハーブ作り
インコに最適な野菜・果物・ハーブの種類と栽培方法
収穫した野菜を長期保存するためのフードドライヤー・フローズン・ボトリング
雨水タンクや生ゴミ処理機を活用したエコなインコ菜園の運営方法
インコの食べ残しを活用した循環型のライフスタイル
これらの方法は環境にやさしいだけでなく、家計の節約にもつながります。
毎日の忙しい生活の中で、インコたちに安全で栄養豊富な食事を提供するための実践的なヒントが詰まった内容となっています。小さな一歩から始めて、愛鳥とともに持続可能な生活を実現していきましょう。
インコの餌に野菜を毎日与えるエコなアプローチと菜園のメリット
インコの健康維持には新鮮な野菜の毎日の摂取が大切です。しかし、市販の野菜は季節によって価格が変動し、品質にもばらつきがあります。また、残った野菜を処分することになれば食品ロスにもつながってしまいます。
インコ菜園(インコポタジェ)を始めることで、こうした問題を解決できます。家庭で野菜を育てれば、必要な分だけ収穫でき、無駄がありません。また、無農薬栽培ができるため、インコに安全な野菜を提供できます。
インコ菜園のメリットは次のとおりです。
必要な時に必要な分だけ新鮮な野菜を収穫できる
無農薬栽培で安全な食材を確保できる
食品ロスを減らし、環境に優しい
長期的に見れば経済的である
余った種や食べ残しを活用して循環型の育鳥が可能
入手方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
市販品購入 | 手軽に入手できる | 農薬の心配、鮮度低下 |
インコ菜園 | 新鮮・安全・エコ | 初期投資と手間が必要 |
保存食活用 | 常時提供可能 | 保存方法の知識が必要 |
菜園で育てた野菜は、そのまま与えるだけでなく、乾燥や冷凍などの方法で保存しておけば、オフシーズンにもインコたちに栄養価の高い食材を与え続けることができます。
また、雨水を活用した水やりや、生ゴミ処理機を使った堆肥づくりなど、環境に配慮した取り組みを取り入れることで、SDGsにも貢献できます。
これから紹介するインコ菜園の方法は、初心者でも始めやすい実践的なアプローチです。
野菜を切らさないインコポタジェ(家庭菜園)と保存食の工夫
インコを飼育する愛鳥家の寄稿
私はオオハナインコ、オカメインコ、オオホンセイインコ、ウロコインコなど6羽のインコを飼育しています。今までここまでたくさん飼育したことはなく、さすがに賃貸では大家さんが嘆くであろうと思い、とうとう一昨年に中古戸建を購入し、野菜やハーブ・果樹を育てる庭を確保しました。
インコ菜園(インコ用の家庭菜園)はとにかく、いいこと尽くしです。去年の春からポタジェに野菜苗を植えていきました。余ったインコのシードを庭にまいておくと粟穂、キビ穂、ひまわり、ソバが育ち、実がなりました。
インコに与える唐辛子やズッキーニの花は必要な分だけ少しずつ収穫出来るので、余らせて腐らせたり、冷蔵庫内で新鮮さが失われることなく、フレッシュな野菜を与えられます。
植物は多かれ少なからず、反栄養素をそれぞれ含んでいます。おくらやズッキーニ、きゅうりは完熟していくと消化吸収を阻害する反栄養素が増していきます。そういった野菜の性質がわかっていれば少し早めに収穫することもでき、意識的に栄養価が高い素材を選んでインコに食べさせることができます。
あまった野菜はフードドライヤーを使って乾燥させれば、後でインコに与えることが出来ます。ドライにした場合は再度湿気を含まぬように気を付けて保存します。
乾燥野菜は冬の閑散期に与える大事な栄養素になります。また植物の枝やハーブは乾燥させるとさらに香り高くなり、インコの美味しいおもちゃになります。
自分で野菜や果物を育てる場合、種や苗さえ無農薬であれば完全無農薬の安全な収穫物をインコに与えることができます。安全でお金もかからず栄養価も高く健康的。一石四鳥以上のメリットが盛りだくさんです。
インコ菜園におすすめの野菜・果物・ハーブ・エディブルフラワー
家庭菜園で育てる野菜は 人間とインコが食べられるもの 簡単に栽培出来るもの …に焦点を当てて種類を選定しました。
【野菜】ズッキーニ・唐辛子・ブロッコリー・オクラ・インゲン豆
小松菜…オカメインコの大喜びの葉物
(主に人間向き)きゅうり、なす、しそ、トマト
ズッキーニ…花・実両方食べられます。特に花はインコたちに大人気。
唐辛子…どのインコもよく食べます。水溶性ビタミン A、ビタミン B 複合体、ビタミン C、カルシウムなどの重要な栄養素が豊富。
ブロッコリー、パセリ、イタリアンパセリ、ピーマン
おくら…肝臓にいい食べ物。育ちすぎるとよくないので、早めに収穫してインコに与える。
とうもろこし…言わずと知れた王道であるが、与えすぎに注意。乾燥させてもよい栄養やおもちゃになる。
インゲン豆…我が家で唯一与えている「豆」
【ハーブ】カモミール・ナスタチウム・レモングラス他
簡単に栽培できるもの 薬効効果の高いもの …に焦点を当てて育てるハーブを選定しました。
(ほぼ人間用)ローズマリー、バジル
カモミール…花、乾燥葉、またはお茶として最適。
ナスタチウム…オオハナインコのメスに似た赤
レモングラス
フェンネル
【果物】ザクロ・ブラックベリー
フルーツはインコ優先に選びました。
ざくろ…オオハナインコ・オオホンセイインコ・ウロコインコが奪い合う大好物。
ブラックベリー…キイチゴ系が欲しかったので、いちばん簡単そうなものを植えた。
【食べられる花】エディブルフラワーとハーブ系
バラ…生花・乾燥させて与える。
パンジー…生花
カーネーション…生花
ハイビスカス…生花・乾燥させて与える。
キンセンカ(カレンデュラ)…乾燥させて花を食べさせる。
あざみ…生花・乾燥させて与える ※マリアアザミが最も有名だがノアザミでもよい。
たんぽぽ…葉・花を生・乾燥させて与える。
自然の恵みを利用するエコノミー×エコロジーな小ワザ
このセクションでは、インコ菜園をより効率的に、そして環境にやさしく運営するための実践的なテクニックをご紹介します。費用を抑えながらも、インコたちに安全で栄養豊富な食べ物を提供するエコな工夫の数々です。
お金をかけないで植物が喜ぶ土づくり
よい土を作るために必要な肥料にインコの食べ残しや糞を利用して野菜や果物を育てます。
台所の生ゴミは生ゴミ処理機で乾燥させて土に還します。自家精米の米ぬかも生ごみと混ぜて土に埋めています。コンポストやぼかしを作れば、土も植物も喜びます。
インコの餌の食べ残しを庭にまいておけば、キビ穂やひまわりや蕎麦の芽が出て育ち、インコたちのおやつになりますから、一挙両得です。
また、米のとぎ汁を畑にまけば、水道代の節約にもなります。
日本は他国と比べて水が豊富なので、雨水を貯める必要性に迫られる地域はごく一部。水に恵まれているがゆえに、その大切さを見失ってしまいがちです。近年頻発しているゲリラ豪雨で浸水被害が多い理由のひとつが
そこでおすすめなのが、雨どいから直接取り込む雨水タンクの設置。市から補助金がもらえる市町村も多くあります。
家庭菜園だけでなく災害時にも活躍する雨水タンク
昔ながらの雨水タンクにはボウフラが湧いてしまうデメリットもありましたが、最近の雨水タンクは浄水器を併設すれば飲用にできるほど高性能なものも登場しています。そこまで徹底しておけば、災害時の利用も可能です。
家庭菜園に使う水も雨水タンクで貯めた水がおすすめです。
雨水には窒素分(N)が含まれるので、植物の葉・茎の健やかな成長を促す効果があります。水道水で水やりされている植物よりも、雨ざらしの植物の方が緑の生長が旺盛なのはこのためです。「雨水」という名の自然の恵みを受けることは、植物に薄めの窒素肥料を施しているのと同じです。
植物育て以外でも雨水タンクを利用すれば、アイデア次第で水道代の大幅節約が可能です。これらは我が家のインコライフから始めたSDGsですが、環境を考えることは家庭の節約に通じます。
インコの餌の野菜や果物を賢く保存する3つの方法
家庭菜園で育てた新鮮な野菜や果物をいつでもインコに与えられるよう、効率的に保存することは重要です。ここでは、栄養素を損なわずに長期保存できる方法を紹介します。
家庭菜園で採れたフレッシュな作物は、そのままではすぐダメになります。たくさんの収穫があってもなんだか損した気がする理由のひとつはここにあります。作物を上手に保存して、数か月楽しみながら活かしましょう。
【ドライ】野菜や果物を乾燥して保存する
フリーズドライにするには高額な機械が必要ですが、食品乾燥機(フードドライヤー)はリーズナブルです。フードドライヤーを夜にセットすれば翌朝にはドライフードが完成しています。
果物や野菜を切って乾燥させれば、日持ちするインコのおやつに出来ます。
果物を洗い、適切な大きさに切る
変色防止のためレモン汁などに浸す
フードドライヤーのトレイに均等に並べる
ドライフルーツなら50~55℃で6~12時間乾燥させる
干し芋なら40~50℃で12時間前後乾燥させる
【フローズン】野菜や果物を冷凍して保存する
収穫したベリー類は冷凍にしておいて、解凍してからでもうちの鳥は食べます。
冷凍保存の基本手順
果物や野菜をよく洗い、水気を拭き取る
適切なサイズにカットする
ジップロックなどの冷凍用保存袋に入れる
空気をなるべく抜いて密閉する
冷凍保存は栄養価をほぼ損なわずに長期保存できる方法です。ただし、解凍後は食感が変わるため、インコの好みに合わせて活用しましょう。
【ボトリング】野菜や果物を瓶詰めで保存する
イチゴやオレンジ、レモンやブルーベリー、ラズベリーはジャムにします。
砂糖を入れるので人間用ですが、インコにとって砂糖は塩よりは毒ではありません。インコのための手作りパン(バードブレッド)を作る時に、これらをほんの少し入れる程度なら、あまり問題ありません。
ジャムやコンフィチュールを消毒した瓶に入れて常温保存すれば、万一の食糧危機に重宝するので、ヨーロッパでは一般家庭で専用の貯蔵庫を持ち、沢山の瓶詰を保存しています。きちんと脱気すればホームメイドでも長期保存が可能になります。
ドライフルーツ作りにはフードドライヤーが便利
食品を乾燥させるのは天日干しでもよいのですが、特に水分量が多い果物をドライフルーツにするには、フードドライヤーを使う方がおすすめです。
ドライ後はカビが生えないようにしっかり乾燥剤を入れて密閉するとか、真空パックにするなど、バクテリアには気を付けることも重要課題のひとつです。
保存容器はいろいろありますが、高気密性のフレッシュロックシリーズがおすすめです。
家庭菜園や保存食によくある質問と回答
インコ菜園や野菜の保存方法について、愛鳥家からよく寄せられる質問にお答えします。初めてインコ菜園に挑戦する方や、より効率的な方法を模索している方の参考になれば幸いです。
インコ菜園に適した場所はどこですか?
インコ菜園を始めるにあたって、場所選びは重要なポイントです。以下のことを考慮しましょう。
日当たりの良い場所を選ぶ(1日6時間以上の日光が理想的)
風通しが良く、風の強い日でも植物が倒れない環境
水はけが良い土壌の場所
場所 | メリット | デメリット |
---|---|---|
庭 | 広さがあり多品種栽培可能 | 害虫や野生動物の侵入リスク |
ベランダ | アクセスが良く管理しやすい | スペースが限られる |
室内窓際 | ハーブ類の栽培に適している | 大型野菜には不向き |
スペースが限られている場合でも、プランターや鉢植えを活用すれば、ベランダや窓際でもコンパクトなインコ菜園を楽しむことができます。特にハーブ類は室内でも十分育てられるので、まずはミントやパセリから始めてみるのもよいでしょう。
インコに与えてはいけない野菜や果物はありますか?
インコの健康を守るため、与えてはいけない野菜や果物を知っておくことは重要です。
アボカド(全体に毒性あり、特に皮と種)
タマネギ、ニンニク、ネギ類(赤血球を損傷する可能性)
アルコール含有食品(果物の発酵したものを含む)
カフェイン含有食品(チョコレート、コーヒー)
高塩分、高脂肪、高糖度の調理済み食品
フードドライヤーの選び方と使い方のコツは?
フードドライヤーはインコの保存食作りに大変役立ちますが、選び方や使い方にコツがあります。
温度調節機能がついたものを選ぶ(35℃~70℃の範囲が理想的)
タイマー機能付きで長時間運転できるもの
トレイの数は必要に応じて選択(拡張可能なものが便利)
消費電力と運転音も確認ポイント
清掃のしやすさもチェック
フードドライヤーを使用する際は、食材を均等な厚さに切り、トレイに重ならないように並べることがポイントです。また、乾燥後は完全に冷ましてから密閉容器に保存し、定期的に湿気がないか確認することが大切です。
雨水タンクの設置方法と注意点は?
雨水タンクはエコで経済的なインコ菜園の水やり方法ですが、設置には以下のポイントがあります。
設置場所は雨樋の近くで安定した場所を選ぶ
タンクの大きさは利用目的と庭の広さに合わせて選定
蓋付きのものを選び、蚊などの虫が繁殖しないよう対策
冬季の凍結対策も考慮(空にする、または保温)
定期的な清掃でタンク内を清潔に保つ
タンク容量 | 適した用途 | 水やり可能な面積目安 |
---|---|---|
100L未満 | 小規模菜園・鉢植え | ~5㎡ |
100-200L | 中規模菜園 | 5-15㎡ |
200L以上 | 大規模菜園・災害対策 | 15㎡以上 |
雨水タンクを設置する際は、自治体の補助金制度を確認してみましょう。多くの自治体では環境対策の一環として、雨水タンク設置の補助金制度 を設けています。
また、水質を維持するために、最初の雨水(ファーストフラッシュ)を捨てる仕組みを取り入れると、より清潔な雨水を集めることができます。
インコの餌に野菜を切らさないエコでサステナブルな方法【総括】
インコに新鮮な野菜を毎日与えるためにインコポタジェ(家庭菜園)が効果的
家庭菜園は安全でコスト削減と栄養価の高い野菜提供を同時に実現
小松菜・ズッキーニ・唐辛子・ブロッコリー・オクラはインコ向け野菜の代表格
ハーブ類(カモミール・ナスタチウム・レモングラス)も簡単に栽培可能
エディブルフラワー(食用花)もインコの重要な栄養源になる
雨水タンクの設置で水道代節約と植物の健やかな成長を促進
生ゴミ処理機を活用した肥料作りで土づくりを無駄なくエコに
インコの食べ残しを再利用して庭に種をまくと新たな餌が育つ循環型システム
収穫した野菜・果物はドライ・フローズン・ボトリングで保存可能
フードドライヤーを活用してオフシーズンでも栄養価の高い野菜を提供
これらの取り組みはSDGsにも通じるエコロジーな生活スタイル
インコたちの健康のために新鮮な野菜を毎日与えることは、飼い主として大切な役割です。インコポタジェや保存食作りに少しずつ取り組むことで、愛鳥たちの食生活が豊かになるだけでなく、家計の節約や環境への貢献にもつながります。
ぜひ身近なところからスタートしてみてください。あなたのその一歩が、インコたちの笑顔と健康な未来を育みます。
参考資料
農林水産省「家庭菜園の基礎知識と実践ガイド」
環境省「家庭でできる持続可能な取り組み事例集」
国立環境研究所「雨水利用の環境効果に関する調査報告」