スプラウトの育て方について、「カビが生えそうで怖い」「難しそう」と二の足を踏んでいませんか?実は、スプラウトは基本的なポイントを押さえれば、ご家庭でも安全に栽培できる優れた食材なのです。
発芽したての種子には、乾燥状態では眠っていた栄養がぎゅっと凝縮されています。特に発芽から2~3日の段階で栄養価が最大になります。消化も良く、鳥たちも喜んで食べる「生きたサプリメント」として注目を集めています(鳥飼いさんは発芽シードといえばわかるでしょう)
スプラウトと一口に言っても、茎を伸ばしたカイワレタイプから発芽初期のものまで、種類や育て方はさまざま。でも、どれも清潔な環境と正しい管理があれば、誰でも簡単に始められます。この記事では、スプラウトの基礎知識から種類別の栽培方法まで、失敗しないコツを詳しく解説します。
初心者でも安全に栽培できる具体的な手順と注意点
スプラウトと発芽シードの違いと、それぞれの栄養的特徴
種類別の栽培期間や管理方法の違い
栽培容器の選び方と使い方
これらの知識があれば、家庭でのスプラウト栽培は決して難しくありません。むしろ、毎日の成長を観察する楽しみも味わえます。
- スプラウト・インコ用発芽シードとは
- スプラウト・発芽シードの失敗しない作り方
- 育て方の注意点~盲点に気づき勘違いを防ぐポイント
- スプラウト・インコ用発芽シードの種類リスト
- ブロッコリースーパースプラウト【発芽3日目のスーパーフード】
- アルファルファスプラウト
- フェヌグリーク(コロハ)スプラウト
- ヒマワリスプラウト
- マスタードスプラウト
- ブラウンライス(玄米)スプラウト=発芽玄米
- ワイルドライス(インディアンライス)スプラウト
- キヌア(キノア)スプラウト
- アマランサス(アマランス)スプラウト
- 発芽大麦スプラウト
- 発芽ライ麦
- 発芽小麦
- 発芽そば
- チアシードスプラウト(チアスプラウト)
- 発芽アズキ
- 発芽緑豆(ムング豆・マッペ)
- 発芽ひよこ豆(ガルバンゾー・エジプト豆)
- 発芽エンドウ豆(エンドウ豆スプラウト・豆苗)
- 発芽レンズ豆(ヒラマメ)
- ケールスプラウト(葉キャベツ)
- テフスプラウト
- ミレット(キビ)スプラウト
- オーツ麦スプラウト
- スペルト小麦スプラウト
- 白ゴマスプラウト
- ラディッシュスプラウト
- クレススプラウト(クレソン)
- ビーツスプラウト
- レッドキャベツスプラウト
- 栽培容器は自作・100均・専用ジャーどれでもOK
- スプラウトの育て方で重要なのは清潔な環境と適切な管理【総括】
スプラウト・インコ用発芽シードとは
エンバクやオーチャードグラスを主食にするのがお勧めです。エンバクを食べない場合は、ムキ餌をミルで砕いた物かフォニオパディのような小さいシードを使うこともできますが胃の負担はさほど取れません。どうしてもシードしか食べない場合はスプラウトにしたり、ムキ餌をお湯でふやかして与えます。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) July 27, 2021
スプラウトは芽出し餌のことです。新芽よりも少し発芽したシードを食べさせます。作り方は検索すれば出てきます。
オーチャードグラスは小さい種なので胃に優しいです。— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) July 28, 2021
インコシードのスプラウト(スプラウテッドシード・芽出し餌・発芽シード)は乾燥シードより消化が良いだけでなく、低脂肪で 栄養価が高まっているので、胃弱なインコにおすすめできる食餌です。
最近の飼い主さんは鳥の食に真剣に向き合う勉強熱心な人が多いので、発芽シードを知らない人は少ないかもしれません。
スプラウトと発芽シード(芽出し餌)は「生きている」サプリメント
発芽シード(スプラウト)はほとんどの鳥が好みます。
ペレットにしてもシードにしても、食べる前に水の中に餌を投入するインコがいますよね。
ペレットであれば、喉を通りづらくてオエオエする予防や、ペレットの飲み込みやすさのために水につけてることが多いですが、乾燥した硬いシードならすぐに変化が起こることはないので、タネを水に入れたりつけたりする必要はないはず。
タネを発芽させるためにわざと水につけてるのでは?鳥はそれを本能で知っているのでは?…と思いますが、それは鳥のみぞ知る。
いずれにしても、うちのインコたちは老若男女問わず、発芽シードを好んで食べますし、
挿し餌卒業前の一人餌練習中の幼鳥でも 発芽シードを爆食します。
うちで生まれたオカメインコは幼鳥時からこのような食生活をしていますが、一人餌になってから1歳半くらいまでの間に、体調を崩して落鳥(亡くなる)した子は皆無です。
オカメインコの人生で 最も危うい1歳半前後までの時期を乗り越えられたら、間違ったお世話や管理をしない限り、ほとんどのオカメインコが20年前後の寿命を全うしますが、そのいちばんのキモが適切な食習慣と食生活。
発芽シードの提供もそのひとつですし、私はスプラウト(発芽シード)は主食とサプリメントの役目を兼ね備えたすぐれた食餌だと考えています。ただし…
野鳥は飼い鳥よりグルメ!インコの食のバリエーションを増やすには?
主食がシード100%の飼い鳥は、四六時中、脂肪分が高めの乾燥したシードを食べていますが、野鳥は「生」「乾燥」「発芽」の3パターンのシードを食しています。
生は未完熟で水分が多めのタネ。乾燥は市販されているような乾いたタネ。発芽は発芽スイッチがオンになって芽と根を伸ばし始めたタネ。
発芽段階のタネは脂肪が減り、アミノ酸が増大して栄養価が高まった優れた食餌に大変身しています。
発芽時に、デンプンを蓄えた栄養の貯蔵庫である胚乳が炭水化物に変わっていき、この過程で甘みも増すため、鳥にとっては「これはうまい!」と感じるおいしいごはんに変化するのです。
鳥の餌の「乾燥シード」は、そのままではうんともすんとも言わない「眠っている」(あるいは死んでる・または仮死状態の)タネです。
皮付きのシードでも、餌に加工する工程によりすでに死んでしまっているものもあります。
「皮付き」を選んでもそのタネがすでに死んでいるなら、むき餌(発芽しない死んだタネ)を食べさせているのと同じようなものです。
野鳥たちは種が動き出す「その瞬間」を狙って「生きたタネ」を食べているだけでなく、昆虫などの優れたたんぱく質をチャンスがあれば摂ることができます。
旬の野菜や野草、果実も、新鮮かついちばんおいしいところを狙って自由に食べられます。
我が家の冬のプランター菜園などは野鳥にめっちゃ食べられていて、敵ながらあっぱれ!と感心します。本当においしいところをよく知っているからです。
こうしてみると、飼い鳥は食に困ることはないものの、野鳥と比べたらおいしいものを食べていないなと実感します。
発芽シードは飼い鳥の中に眠るわずかな野生の本能を刺激しているから、シードを水につけたりするのかなあと思ったりしますが。
鳥が発芽シードを喜んで食べる理由は、発芽の過程でタネが甘くなっておいしさがアップすることも大きいです。
インコは甘みを好みますし、トウモロコシ大好きっ子が多いのはそんな味覚のせいもあるでしょうね。
自分でスプラウト(発芽シード)を作ってインコに与えてもいいのですか?
その質問に対する回答がこちら
基本は自分で作るものです。与えて食べ残したら、臭いが出る前に撤去すれば問題ありません。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) July 28, 2021
「自分で作っていいのか?」…と疑問に感じてしまう理由は、発芽シードを作ることよりもその管理に自信がないからでしょう。
「スプラウトがぬめっとした」とか「変なにおいがする」とか…でもそれはスプラウトが悪いのではなく、作る人の管理が悪いのです。
そりゃあ、管理が悪ければカビが生えたりぬるぬるしてきますよ。濡れてるんですから。それは自然の摂理。
それを防ぐために温度管理と殺菌・消毒への配慮をするのは、食べ物なんですから当たり前です。
食べるのが鳥であれヒトであれ、スプラウトは「食品」であり「衛生」を第一に考えるのが前提です。
高温多湿な時節がある日本ではスプラウト作りは難しいという人もいますがそれは全くの誤解で、ポイントをきちんと押さえれば、1年じゅう安全に発芽シードを作れます。
…と思っているのに、スプラウトを作る期間が限定されていたら?療養食的に使いたいのに、作れる時期と作れない時期があるのでは困りますよね。それではまったく使いものになりません。
ですが、適切な管理さえできれば、発芽シード作りは1年じゅう可能です。
うちでも365日欠かさず発芽シードを作って与えています。真夏であれ真冬であれ、工夫次第で誰でも問題なく1年中スプラウト(発芽シード)作りはできます。
インコの発芽シードはすぐできる!茎が伸びたスプラウトでなくていい
植物の種子は発芽する時に生命エネルギーが最大になります。
その最大の恩恵を愛鳥に与えられるのですから、スプラウトは最高のごちそうであり、鮮度抜群の生きたサプリメントです。合成サプリなどの比ではありません。
「生きたサプリメント」と言われる所以は、発芽することで栄養成分が増大したり、新しく合成されるところにあります。
植物の種子が発芽する時と芽が成長する時では必要な栄養成分が異なります。そこで芽が伸びる時には「タネ」だった頃には存在しなかったビタミンやミネラルが必要となり、植物が自分で合成していきます。
ビタミンでは特にB群やE、アミノ酸、酵素、食物繊維などが大幅に増加します。全体的に微量栄養素の量も種類もバラエティに富むので「生きたサプリメント」と呼ぶにふさわしいものです。
種子が発芽して胚芽に新しい細胞が生まれる時、新たに作り出された栄養素が最高レベルになっているわけで、この段階を利用しているのが発芽玄米をはじめとした発芽食です。
インコスプラウトと発芽シードの違いは?
発芽シードは1ミリくらいちょろっと芽(ツノ)が出たところで与えるのがいちばん栄養価が高いので、もやしみたいに「発芽しました!」と主張するところまで置いておく必要はないです。
原理は「発芽玄米」と同じです。
ブロッコリースプラウトや豆苗のように茎が伸長したものは野菜扱いになります。
これは粟穂を発芽させたものですが ここまで育つともはや野菜ですね。これはそもそも食餌用ではなくおもちゃ用に作っているものなので、わざとここまで育てたのですけど。
この記事でいうところの発芽シードはその手前の段階…
つまりインコの発芽シードとは「栄養価がグーンと高まり、おいしくなった胚乳」をインコに食べさせるものを指しています。
ずいぶん前のことですが、ネットで市販されている発芽シードを見たことがあるのですが、すでにもやしになっているものもちらほらあったり、見た目の鮮度がいまいちだったりで、もったいないなあと思ったことがあります。
なにがもったいないって、成長のためにだいぶエネルギーを削がれてしまっていること。あれでは栄養価がダダ下がりです。
タネから自分の手で発芽シードを作らないと、栄養価の高い「生きたサプリメント」とは呼べません。
スプラウト・発芽シードの失敗しない作り方
スプラウト(インコの発芽シード)の栽培方法は、モヤシ型とカイワレ型の2種類に大別されます。
スプラウトを栽培する季節(温度)と、どの程度の大きさまで育てるかにもよりますが、収穫期間の目安は
スプラウトの育て方のコツ【モヤシタイプ】
種にする豆は新豆にすること(古いと発芽しないことがある)
「スプラウト専用」の種子を使う。できればオーガニックが理想的。
1日2回以上のすすぎが必要。ひよこ豆のように傷みやすい種類は1日4回以上。
人が食べる用で炊き込みご飯や煮豆に使う場合は1~2日程度のものでもOK
市販の豆もやしはエチレンガスを使って太く短く育てている。家庭ではエチレン処理しないため細く長くなることが多い(細長くても出来が悪いわけではない)
モヤシを大きくする(伸ばす)には1日2回のすすぎを続け、暗いところにしばらく置いて、本葉を開かせないようにするのがコツ。
スプラウトの育て方のコツ【カイワレタイプ】
「スプラウト専用」の種子を選ぶ。
ある程度発芽が揃ったら覆いを外し、霧吹きで湿度を保つ。
双葉が開いたら明るいところへ置いて、緑が濃くなり茎が伸びたら収穫する。
スプラウトの育て方【水・空気・温度・日光・栽培場所】
水
スプラウト栽培に使う水は水道水でOKですが、浄水器の水ならベターです。
空気・風
植物の栽培においては空気が循環している(風がある)のが理想的ですが、すすぎの時に酸素の入れ替えが強制的に行われるので、短期間で完結するスプラウト栽培ではそれほど問題になりません。
温度
植物の発芽温度は一般的に18~22℃ ヒトが快適に思う温度が最適です。
植物は発芽が始まると熱とガスを放出するので、密閉性の高い容器を使っている場合は、栽培容器内部が高温にならないように注意が必要です。
私は冬場の発芽にはヨーグルトメーカーを利用しています。
おすすめのヨーグルトメーカー
抗菌対策
いろいろなやり方がありますが、初夏から夏にかけてはカビや腐敗を防止するために涼しい場所に置き、すすぎの回数を増やすのが基本です。
それに加えて、私はGSEリキッドを愛用しています。
日光と栽培場所
置き場所は基本的に室内で、関節腔が当たる場所が理想的。冬は暖房の風が直接当たるところは避けて温かい場所に置きます。
発芽初期に日光に当てると、スプラウトの伸びが止まるので、伸長させさせたい場合は注意しましょう。
直射日光に当てると栽培容器内の温度が上がり、ダメになってしまう場合がありますので、その点も気を配ってください。冬場は太陽光線が弱くなるので、明るい場所に置きます。
育て方の注意点~盲点に気づき勘違いを防ぐポイント
スプラウトは季節問わず1年じゅう栽培・収穫でき、天候に左右されることもなく好きな時期に栽培できます。
茎を長くのばすカイワレ型でも1週間程度でぎっしり育ちますので自分のペースで育てられますし、インコに与える発芽シードなら2~3日で完成です。
そんなスプラウト栽培で悩むことが多いのは、発芽までの管理やすすぎの頻度でしょう。これらは…
そのポイントを以下で詳細に紹介します。
【スプラウトの育て方の盲点】衛生管理を徹底すれば安心・安全
タネの浸水時間
スプラウト栽培には共通点が多いが、種類によって浸水時間が異なるため、種子袋の取説に従う。
温度管理
暑くなったら冷蔵庫をうまく利用して、衛生面や成長度合いを各自でコントロールする。
衛生管理
衛生管理上の盲点が人間の手。種子を不用意に手で触らないこと。直接手で触れるとタネに雑菌がついてカビやすくなるので、清潔なスプーンなどを使うこと。
天然の抗菌性を利用する
マスタードやラディッシュの種子には植物性の抗生物質が含まれるので、これらを少し混ぜておくと、カビの発生を抑制する効果があると言われている。
カビと変質の防止
前出の、私が愛用しているGSEリキッド(grapefruit seed extract)もおすすめですが、一晩水につける前に、少量のアップルサイダー(リンゴ酢)を入れた水に浸して、バクテリアやカビを殺菌してもOKです。
【スプラウトの育て方の勘違い】ひげ根・根毛とカビの見分け方
スプラウト初心者は、根毛をカビだと勘違いしないようご注意ください。
慣れてくると見た目だけで判断できますが、よくわからない場合に根毛なのかカビなのかを見分ける決め手は「におい」です。
悪臭がするならカビ、スプラウト特有の植物性の芳香なら、根毛(またはひげ根)です。
根毛はすすぎで消えることがあるので、適切なすすぎを繰り返していればすぐに見分けがつきます。すすぎが適切に行えていれば、カビが生えることはまずありません。
もし少しでも悪臭がしたら躊躇せず 直ちに植物は全廃棄の上、栽培容器をしっかり洗浄・消毒・乾燥してください。
スプラウト種子を浸した水の濁りや泡立ちは正常な発芽プロセス
インコの発芽シード作りもスプラウト栽培もタネを水に浸漬することから始まりますが、浸漬時間(概ねひと晩)を過ぎるとタネを浸した水が濁って表面が泡立ちます。
んん~!?と思う臭いがしたりしますが、ここでそれを捨ててはいけません。
これは悪くなったわけではなくて発芽に向けて当然起こるべきプロセスです。
ここで捨てていたら、発芽シードもスプラウトも一生作れません。

ここまで水に濃い色が付きませんが、大体こんなイメージです。
この濁りや泡立ちは浸漬により種の中の酵素抑制物質が水に流出して中和されているだけであり、酵素抑制物質が失活すれば酵素の働きが活発になって、ようやく発芽スイッチがオンになります。
こんな動きがみられるのはタネが生きている証拠。
しっかりとすすぎを繰り返してから適切な場所に移動して、スプラウト栽培を進めていきましょう。
スプラウト・インコ用発芽シードの種類リスト
via:recipets ご利用は自己責任にてお願いします。
スプラウトが種子や豆そのものより栄養価が高くなるのは、発芽エネルギーのためにビタミン・ミネラル、フィトケミカル(ファイトケミカル)が生成されて、栄養価と共に抗菌力や抗酸化力が高まるから。
その栄養やエネルギーがピークになるのは発芽直後で、その最大値は成長するにつれて下降していきます。
以下で紹介している「ブロッコリースーパースプラウト」は発芽3日目だから「スーパー」であって、そのピークを逃したら本来望んでいた効果・効能が失われ、普通の「ブロッコリースプラウト」に成り下がり(?)ます。
普通のブロッコリースプラウトもスルフォラファンを含有していて栄養価も高いですが、「スーパー」と呼ばれるのは期間限定。
栄養素はそのくらいデリケートなもの。だから食べるのが人であれ鳥であれ、発芽直後の爆発的な生命エネルギーを摂りたいなら、できるだけ早く食べることが肝要です。
インコの発芽シードであれば、1ミリほどツノが出たところで食べさせるのが理想的なのも、この理由からです。
ブロッコリースーパースプラウト【発芽3日目のスーパーフード】
スプラウトの代名詞的存在がブロッコリースプラウトでしょう。
スルフォラファンの効果が最大になるのは発芽して3日目の若芽の部分。
この3日目の新芽はブロッコリースーパースプラウトと呼ばれていて、通常のブロッコリースプラウトの3倍。成熟したブロッコリーの20倍のスルフォラファンが含まれるとされています。
アルファルファスプラウト
アルファルファはもともとはサラブレッドの飼育に使われていた牧草です。見た目からは想像できないほど栄養豊富な植物です。
フェヌグリーク(コロハ)スプラウト
フェヌグリーク(コロハ)はマメ科の1年草で、種子はカレーの風味づけに使うスパイスです。
ヒマワリスプラウト
肉厚な葉に太い茎で存在感抜群の、アメリカで人気のスプラウトです。
マスタードスプラウト
マスタードはそのイメージ通りピリッとスパイシーな味わいのカラシのスプラウトです。
マスタードの種子から出る精油に抗菌作用があるため、他のスプラウトを栽培する時に少しだけ混ぜると、カビの繁殖を防いでくれます。ただし刺激があるので、人間用にはいいですが、小鳥にはおすすめできないかもしれません。
ブラウンライス(玄米)スプラウト=発芽玄米
玄米は胚の部分を0.5~1ミリ程度発芽させることで飛躍的に栄養価がアップします。
GABAも発芽により増加する有効成分です。
ワイルドライス(インディアンライス)スプラウト
名前は「ライス」ですが米ではなく、マコモの一種の多年草の種子ですが、主食として食べられます。
発芽前は非常に硬いのでゆでるのに時間がかかりますが、発芽させると早くゆであがります。


キヌア(キノア)スプラウト
キヌアはアワやキビに似ているので一見すると穀物かと思いきや、イネ科ではなくアカザ科の一年草です。
アンデス高地では数千年も主食として食べ継がれており、インカ帝国ではキヌアを「穀物の母」と呼んでいたとか。
NASAの宇宙食にも推奨された栄養バランスの良い疑似雑穀で、くせのない味わいです。
浸水すると短時間で発芽しやすく、条件が合えば3時間ほどで発芽が始まるので扱いやすいです。
ほんの少し種子にくせがあるのは、苦み成分「サポニン」で覆われているため。サポニンを除去したキヌアも市販されています。
サポニンは反栄養素(抗栄養素)のひとつで、コレステロールの吸収を阻害しますが、鳥類はコレステロールゼロの植物性の食物を食べていることが多いので、ヒトと比べると支障は少ないと言われています。
そもそも反栄養素は そればかりを大量に食べなければ毒にはならないことが多いです。ほんの少量食べるなら問題ありません。
キヌアは食後の血糖値が上がりにくく、ハリウッドセレブがダイエットフードにしたことから有名になりました。
よく見かけるキヌアは白色ですが、赤・黄・紫・黒色の種もあります。


アマランサス(アマランス)スプラウト
アマランサスもキヌアと同様にNASAが宇宙食として取り入れたスーパーフードで、WHO(世界保健機構)も「未来の食物」と評価する疑似雑穀です。
「スーパーグレイン」(驚異の穀物)とも呼ばれていますが、穀物ではないのでグルテンを含まず(グルテンフリー)小麦アレルギーの人によく利用されています。
アマランサスだけで炊くと何だかたらこみたいなプチプチ食感がおもしろく、加熱すると白い糸状のものが出てくることがありますが、それは胚芽なので問題ありません。
発芽大麦スプラウト
大麦はもっとも古くから栽培されている穀物のひとつで、1万年前のメソポタミア文明の頃から栽培されていました。
雑穀の中でも特に食物繊維が多く、大麦の一種である「もち麦」は人気ですよね。
食物繊維には「水溶性」と「不溶性」があり、穀類に含まれるのはほとんどが「不溶性」
腸の調子を整えるためには水溶性と不溶性の両方が必要ですが、大麦は両方を豊富に含んでいるため、腸活には特におすすめです。
プチプチ食感と優しい香りが特徴の大麦は、発芽させて緑葉になるまで育てれば「大麦若葉」です。
発芽ライ麦
ドイツの黒パンで有名なライ麦は独特な香りが特徴で、小麦より細長くてくすんだ色合いをしている穀物です。
発芽小麦
発芽小麦も発芽により必須アミノ酸がぐんと増えます。
小麦若葉も大麦若葉も青汁にされますが、小麦若葉の方が芳香も甘みもあります。
発芽そば

右側がそばの芽
ソバの実は麺だけでなくゆでて粒食もできる雑穀です。インコシードに入っているソバの実で、たまたま庭に落ちたこぼれ種でさえすぐに芽を出して花を咲かせるので、私の中では「発芽率が高くて生命力が強い植物」というイメージがあります。


チアシードスプラウト(チアスプラウト)
ハリウッドセレブの間で流行ったことで日本でも知名度が上がり人気に火が付いたチアシードは、紀元前3000年以前からマヤやアステカで食べられていたそうで、現在も中米では常食されています。
チアシードはシソ科の植物の種で、その栄養価の高さは「水とチアシードがあれば人は生命維持ができる」といわれるほどです。
チアシードには白と黒がありますが、白の方が優れていると言われています。
チアシードの特徴は水に浸すと12倍の水分を吸収し、タネの周りにゼリー状の食物繊維をまとって膨らみます。粒のサイズはゴマよりも小さく、味も香りもしません。
そんなチアシード最大のメリットはオメガ3脂肪酸を56%も含むこと。ヒトの場合、大さじ1杯(10g)のチアシードを摂ることで、厚労省が推奨している1日分のオメガ3脂肪酸を摂取できます。
運動に慣れてきたら運動時間と回数を増やします。体調を確認しながらやりましょう。もちろん健康状態が良くない場合や高齢の場合は無理にやらない方が良いです。運動自体のカロリー消費はさほど高くありません。運動の目的は代謝を上げることです。代謝が上がると摂取量を増やすことができます。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) April 25, 2021
鳥は血中の脂質が上がりやすいので、低脂肪がお勧めです。オメガ3脂肪酸は血中の脂質を下げるので、摂取してもいいと思います。
— 海老沢和荘 (@kazuebisawa) April 26, 2021
小鳥の場合は餌がシードでもペレットでも、オメガ3脂肪酸摂取の目的で チアシードを与えることが推奨されていてます。ただこれも「タネ」ですから高脂肪なので、その提供量は1日に1~5%未満に留めてください。
スプラウトも簡単 庭のこぼれ種でもすぐ発芽して育つくらいで、シソ科植物はかなり強健です。
そのまま与える
サラダやチョップに混ぜ込む
バードチョップのトッピング
ニンジンやカボチャなどのマッシュにふりかける
発芽させてスプラウト(チアスプラウト)としてそのまま与えたり、サラダにする。
バードブレッドに卵代わりに混ぜ込んで焼く
チアシードの粘着剤が、バーディーブレッド(鳥用のパン)を作る時の卵の代わりになる…と海外サイトで読んだことがありますが、同様にフラックスシード(亜麻仁)も溶き卵代わりに使えるとのことで
フラックスシードはパン、マフィン、クラッカーなどに焼き込む、粉末にして片栗粉の代わりにバーガー、餃子、シチュー、カレー、スープ、麻婆豆腐などのとろみ付けや、スムージーにも。さらにはケーキやマフィンなどを焼くときの溶き卵の代わり(卵1個分に対してフラックスシード大さじ1、水大さじ2~3)など、さまざまに利用できます。
via:Natshell
チアシードもフラックスシードも水につけると粘液に覆われるので、この粘液がつなぎになるのでしょう。
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発芽アズキ
日本人におなじみの食材ですが、お赤飯を作る時にも普通の小豆ではなく発芽小豆を使えば、栄養価が飛躍的に上がります。
発芽小豆は根を少し長く伸ばすと、緑豆もやし(市販のもやし)によく似た風味です。
発芽緑豆(ムング豆・マッペ)
市販のもやしや春雨に使われているマメです。
市販のモヤシは軸を太くするために栽培行程でエチレンガスを使っています。
家庭で育てるスプラウトはどうしても細くて長いもやしになりますが、これはエチレン処理していないので当然。もやしがひょろひょろなのは自分の育て方が悪いのかも!?…などと考えなくて大丈夫です。
発芽ひよこ豆(ガルバンゾー・エジプト豆)
ひよこのくちばしのような突起物から「ひよこ豆」の名がついています。
乾燥状態ではカチカチですが、ひよこ豆は煮るとほっこりした味わいになり、高たんぱく・低カロリーなので、ダイエット向きの食材でもあります。
ひよこ豆を煮て食べる場合は、発芽した豆は煮えるのが早くて、煮すぎると割れてくずれてくるので、少し腹が割れた程度が食べごろです。
発芽エンドウ豆(エンドウ豆スプラウト・豆苗)
エンドウ豆(グリーンピース)が発芽した若芽がおなじみの野菜の「豆苗」です。
豆苗はエンドウ豆(グリーンピース)の新芽と茎を食べる、インコにも大人気野菜。
豆苗はビタミンが多くバランスよく含まれており、他の緑黄色野菜と比べても優秀な野菜です。
発芽レンズ豆(ヒラマメ)
豆の形がレンズに似ているから「レンズ豆」と呼ばれます。
レンズ豆の色は緑褐色やベージュ系ですが、皮をむくと鮮やかなオレンジ色もあります。
レンズ豆は質感が柔らかめなので優しく扱わないと根がちぎれやすいため、あまり長く芽を伸ばさないうちに食べてしまった方がいいでしょう。




ケールスプラウト(葉キャベツ)
ケールはアブラナ科の野菜で、ブロッコリーやキャベツの原種ですが、苦みが強いのが特徴で、ケールの青汁も苦いです。
抗凝固薬(ワーファリン)を服用している人は摂取してはいけません。
テフスプラウト
テフは5000年も前からアフリカで栽培されていた古代穀物で、イネ科最小の穀物です。
フォニオパディもアンパンの上に乗っているけしの実のように細かな粒ですが、テフはさらに微細で、現地の言葉で「見失う」を意味するくらい細かな穀物です。

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ミレット(キビ)スプラウト
オーツ麦スプラウト
スペルト小麦スプラウト
白ゴマスプラウト
栽培方法はカイワレ型だけでなくモヤシ型スプラウトでもイケます。
ラディッシュスプラウト
和名は二十日大根。カイワレ大根の近縁なのでよく似た風味で食べやすいスプラウトです。
クレススプラウト(クレソン)
「クレソン」は水辺で育つので「ウォータークレス」と呼ばれますが、スプラウトにする「クレス」は畑地で育つ「ガーデンクレス」です。
クレスはクレソンと近縁種で、クレソン=クレスとするところもありますが、これらは正確には別種です。
クレスはピリッとしたスパイシーな辛みが特徴で、カイワレよりもやや刺激的な味わいです。
ビーツスプラウト
ビーツは赤い根の部分だけでなく葉っぱも食べられるのですが、シュウ酸を多く含む野菜です。
レッドキャベツスプラウト
レッドキャベツが少し伸びたスプラウトはくせがなくてほんのり甘く、よくかむとキャベツの味がします。
うちでもこのスプラウトをよく作りますが、この紫色のが レッドキャベツです。
栽培容器は自作・100均・専用ジャーどれでもOK
スプラウトは生長形態からカイワレ型スプラウトとモヤシ型スプラウトがありますが、スプラウトの栽培容器で分類すると4つのタイプあります。
スプラウト栽培専用容器
プラスチックか金網の容器・ざるの類…底面積が広いものが使いやすい
広口瓶(メイソンジャーその他)
通気性のある袋(麻袋・水切りネット・洗濯ネットなど)
スプラウト栽培専用容器の特徴~カイワレ型・モヤシ型・自動栽培にも対応
スプラウト栽培に特化して作られている専用容器は水や空気の循環がうまくいくように設計されているので、管理が楽で失敗が少ないのが特徴です。
段重ねできる形状のものは省スペースであると同時にスプラウトの成長観察がしやすいので、複数の種類を同時栽培する場合におすすめです。
スプラウト栽培容器に種子が同梱されている「栽培キット」もあります。
スプラウト専用栽培容器にはモヤシ型スプラウトやカイワレ型スプラウト、どちらにも使えるハイブリッド型からモヤシ栽培マシーンまで多種多様な選択肢があります。


スプラウト容器自作は100均でもOK!ざるやトレイのスプラウト栽培の特徴は?
ザルを使ったスプラウト栽培では、穀類の種子や豆類の発芽に使い勝手がいいです。
ざるの下に別にバットやトレイを敷いて栽培します。
底面積が広い容器ならキッチンペーパーなどのシートを二重・三重に敷けば小粒の種子にも対応できますが、ザルを使うスプラウト栽培はどちらかというと粒の大きな種子を発芽させるのに向いています。
ザルはプラスチックか金網が最適。竹ざるはカビが生えやすいので
おすすめできません。
栽培するのが少量なら小さな茶こしとマグカップの組み合わせもいいですし、水と空気が流通できるなら100均で売っている容器でどんなものでも使えます。
それがもやし型スプラウト向きか、カイワレ型スプラウトに向きかは、容器の形状により変幻自在です。
ふくろ(麻袋や洗濯ネット)を使ったスプラウト栽培の特徴
これは袋に種子を入れて吊るし、定期的なすすぎを繰り返しながらスプラウトを育てる方法で、袋に入れて蛇口の所に吊るしてスプラウトを育てている方もいます。
麻で袋を作ったり、洗濯ネットを使えば手軽ですが、この場合は湿度への配慮が大切です。
たとえば洗濯ネットを使うと水切れが良い場合に乾燥しすぎます。ビニール袋で洗濯ネットをすっぽり覆ってしまうなど、適湿を保つための工夫が必要です。
袋型のスプラウト栽培では中身が見えないので、すすぎの時に逐一袋を開けて中の状態をチェックする
必要もあります。
袋を使ったスプラウト栽培はモヤシ型スプラウト特化ですが、インコの発芽シードのように発芽直後に食べさせる…つまり、光を利用する必要がない種子のスプラウト栽培に向いています。
スプラウトジャーのスプラウト栽培(ガラス広口瓶・メイソンジャー)は中級者以上向き
スプラウトジャーのような広口瓶は手軽にスプラウト栽培ができ、見た目もおしゃれにうつるかもしれませんが、スプラウト栽培レベルとしては中級者以上向きです。
そしてモヤシ型スプラウトに特化した栽培方法となります。
スプラウトジャーの特徴は水切りが不完全になりやすく、空気が流通しづらく、光の当たり方にムラができること。
そのため外側と内側では生長にムラができやすく、発芽時に発生するガスや熱のせいでスプラウトがダメになることも、季節によっては起こります。
また、広口瓶でのスプラウト栽培は他の栽培容器よりもこまめなすすぎが必要です。
たとえば、他の栽培方法で1日2回すすぎをするところを、スプラウトジャー栽培では3回以上すすぐ…といった具合です。
メイソンジャーの栽培ボトルがキッチンカウンター上にずらっと並んでいる様子は壮観ですが、スプラウトジャー栽培は植物にとってはやさしい方法とは言えません。


スプラウトの育て方で重要なのは清潔な環境と適切な管理【総括】
スプラウトは発芽直後が最も栄養価が高い「生きたサプリメント」
種類に応じた適切な浸漬時間と発芽時間の把握が重要
モヤシ型とカイワレ型で栽培方法が異なる
1日2回以上のすすぎが鮮度と衛生を保つ鍵
18~22℃の温度環境が発芽に最適
種子はなるべく手で触らず清潔な器具で扱う
根毛とカビの見分けはにおいで判断できる
浸水後の水の濁りや泡立ちは正常な発芽プロセス
栽培容器は専用品だけでなく100均アイテムでも代用可能
ブロッコリースプラウトは発芽3日目で栄養価が最大に
インコ用発芽シードは1ミリほど芽が出た段階で与えるのが理想的
季節に関わらず1年中栽培可能だが夏場は特に衛生管理に注意
GSEリキッドやマスタード種子の抗菌作用を活用するとカビ予防に効果的
発芽シードは低脂肪で消化が良く栄養価が高まった優れた食餌
スプラウト栽培は基本をおさえれば難しくなく、毎日の食卓やペットの食事に取り入れることで、新鮮で栄養豊富な「生きたサプリメント」を手軽に楽しむことができます。ぜひこの記事を参考に、あなたも発芽の驚くべき栄養パワーを体験してみてください。
参考資料
農林水産省「スプラウト生産における衛生管理指針」
日本スプラウト協会「スプラウト栽培ガイドライン」
アメリカ食品医薬品局(FDA)「Guidance for Industry: Reducing Microbial Food Safety Hazards For Sprouted Seeds」
カリフォルニア大学「Sprouts: What You Should Know for Your Good Health」、Sprout People「Sprouting Instructions」